今、改めて考える南海トラフ地震
※本記事は定期的にChainable運営チームが配信しているメールマガジンを再編集したものです。一部、お読みいただいている時期の状況にそぐわない場合がございます。あらかじめご了承ください。
今月のテーマ
『今、改めて考える南海トラフ地震』
2024年8月8日に日向灘で発生したマグニチュード7.1の地震を受けて発表されていた「南海トラフ地震臨時情報」が8月15日17時に終了しました。この発表を受けて、改めて南海トラフ地震について調べた方も多かったと思います。そこで今月は、改めて南海トラフ地震について考えてみます。
1.南海トラフ地震臨時情報とは?
既にニュース報道などで繰り返し説明されている通り、南海トラフ臨時情報とは「南海トラフ沿いで異常な現象が観測され、その現象が南海トラフ沿いの大規模な地震と関連するかどうか調査を開始した場合、または調査を継続している場合」に発表される情報です。2019年5月の運用開始以降、今回初めて発表されました。
この臨時情報には「調査中」「巨大地震警戒」「巨大地震注意」「調査終了」のキーワードが付されます。今回の発表では「巨大地震注意」の対象となりました。
さて、これらの情報が出された場合に、企業はどう動くべきなのでしょうか。
下記が現時点で最もまとめられた資料の一つであり、パートⅢが「企業編」ですので、ぜひご確認ください。
「南海トラフ地震の多様な発生形態に備えた防災対応検討ガイドライン」(2021年5月改訂)
上記から引用した一文です。
2.南海トラフ地震における被害想定
「日頃からの地震の備え」、とありますが、まずは各拠点がどのくらいの危険にさらされているかを知ることが備えの第一歩です。
さて、今回臨時情報が出た際、あなたの会社の各拠点でどの程度の地震動が想定されているか、認識して動けたでしょうか。
現在内閣府が想定する南海トラフ地震の想定震度は、内閣府中央防災会議「南海トラフ巨大地震対策検討ワーキンググループ」の「市町村別最大震度一覧表(資料1-6)」に示されています。
この中では、地震ケースが「基本」「陸側」「東側」「西側」「経験的手法」の5つ想定されています。各ケースによって想定震度は異なるのですが、迷う場合には「基本」ケースを想定して下さい。
2013年に内閣府が想定した、このマグニチュード9クラスの南海トラフ地震想定は、100~200年間隔で繰り返し発生する南海トラフ地震よりも発生頻度が低い、理論上発生する最大クラスの地震を想定したものです。「基本」ケースの発生頻度で、1,000年以上に一度程度とされます。
その他のケースは建物を壊す強震動生成域の位置を「基本」ケースから変えて検討したものです。例えば、揺れによる被害が最大になる想定の「陸側」ケースは、「基本」ケースよりもさらに発生頻度が低くなります。「基本」ケースに加えて必要な場合に、その他のケースを検討することをお勧めします。
一度「基本」ケースの想定震度を確認してみて下さい。
なお、南海トラフ地震による津波の被害は、また異なるケースで想定されています。
3.地震による揺れに対する備え
地震に対する防災・減災の対策として、ハード対策、ソフト対策の両面が必要です。
代表的なハード対策は耐震診断・補強といった建物構造体の耐震対策であり、代表的なソフト対策としてBCP(事業継続計画)による備え、早期復旧が挙げられます。
過去からの蓄積により、多くの大企業にこれらの対策は浸透してきました。
これからの対策としては、建物の非構造部材(天井等)の耐震対策、重要設備の耐震対策や、策定済みのBCPの実効性を高める対策が必要となってきます。
関連情報
設備の耐震診断
東日本大震災で被災した企業へのアンケート調査によると、製造業における操業率の低下の主な要因は「生産設備(機械)の損傷」が「建築物(構造躯体)の損傷」の約4倍多かったと言われています。建物の耐震化は済んだが、設備やユーティリティ、非構造部材を耐震化して事業を継続したい方はご覧ください。
Chainable(チェイナブル)
国内外で発生する洪水、熱帯低気圧、地震のアラートを受け取って対応を早めたい、という方はご確認ください。BCPの実効性を高めるため、南海トラフ地震などの災害を想定して、影響報告を模擬的に訓練できる「訓練」モードのリリースを9月に予定しています。
メルマガ登録(無料)はこちらから
Chainable運営チームでは定期的に風水害・地震等の自然災害、火災・爆発、BCPなどリスク管理に関連する情報を無料で配信しています。日々のリスク管理にお役立てください。
お申込みはこちらから