正論は時に暴力的だから、自分は自分を守るキャプテンでいよう
正誤はっきりつける、自分の考えを主張する。
とても大事なことで、それができる人に出会ったとき、考え方はそちらに引っ張られるし、影響されてしまい、首を縦に振って従ってしまう一面もあります。
そのときの、あなたの気持ちが波立っていたら。
悩みを抱えている時にぶつけられる正論ほど、トゲがあり、時に暴力的なものはありません。
昨日のNHK連続テレビ小説『エール』で、見たシーン。他人事と思えず、共感したシーンがあります。
時代は戦争へと突入した日本。主人公の音(子供に声楽を教える先生)の姉・吟が、婦人会に来てほしいと班長に言われたと誘いに来る。音は軍需工場を訪れてそこで歌う音楽挺身隊で忙しく参加できないと伝えると、吟は言います。「あんたは、好きなことしかせんね。」音は言い返します。「自分の好きなことで世の中の役に立つことって、そんなに悪いこと?」と。
この時の吟に突き刺さる言葉の暴力のパワーたるや。
自分が吟だったらと気持ちを重ねると、私まで身動きできなくなります。
時代は、昭和の戦争期。周りと違うと、生活しにくくなるし、めったなことは口から言うものではない空気感が漂っていたことでしょう。歌手を目指した次女、作家の三女の3人姉妹の長女として生まれた彼女は、好きなことを突き詰める妹たちに比べ、自分は結婚したけど子供がおらず、得意なこともないことで、妹たちへの嫉妬を強く持っています。
私が、吟の隣に住んでいて、行きたくもない婦人会に一緒に行くような間柄だったら、毎日こっそり家から抜け出して、気持ちを聞いてあげたい。姉として虚勢を張って生きてきた気持ち、主人に言いたいけど、言えないこと、本当はどうしたかったか、これからどうしたいのか。そして、我慢してきたことや、これからやりたいことを共にやってみたいです。
吟が、引き戸から化粧道具が入った巾着を取り出し、周りを気にしながら、口紅を少し塗ってみるシーンがありました。
おしゃれして出かけるのは世間の目が気になるでしょう、軍人の主人から行行動を慎むように釘を刺されています。ですから、人目を盗んで家の中で化粧をしたり、きれいな服に袖を通したり、ファッションショーをしたいですね。
婦人会も3回に1回、私がうまい言い訳をして休んでもいい。
一緒に買い物に出かけるのもいいですね。
吟の気持ちが今いるところから、半歩前に進む行動を、3つくらいお供したい。
そうすれば、きっとガチガチの考えだった自分の姿が見えてきて、なんであんなことに固守してたんだろう、と気づいてくれるはず。
とっても狭い、自分の心の中だけに存在するフィールドかもしれませんが、自分の中で旗振りができる、キャプテンの気持ちが湧いてきます。
それは、とても小さい旗で、自分にしか見えないかもしれませんが、吟さんが明るく、前向きになれたら、自分を守れるキャプテンです。
妹たちやお母さんに会ったとき、絶対にこういわれるはずです。
「吟、あんた変わったね。なんか明るくなった!」って。