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アリババ 、テンセントを超える?スーパーアプリを展開する中国テック界の第3勢力「美団点評」とは?


中国の企業に詳しい方なら「BAT」は聞いた事があるだろう。

Baidu (バイドゥ), Alibaba(アリババ ), Tencent  (テンセント)

しかし今や、中国を代表するIT企業は「BAT」→「MAT」へと変貌しつつある。

Baiduが抜けて、Meituan Dianping(美団点評)が台頭してきたのである。

本日はそんな急成長し、スーパーアプリを展開する「美団点評」を徹底解説する。

1. 美団点評の概要

美団点評は、中国最⼤のO2O(オンライン・トゥ・オフライン)のプラットフォーム。O2Oとは、様々な⽅法でネット(オンライン)上の消費者を実店舗(オフライン)に誘導し、実店舗での消費活動を促す仕組みのこと。

同社は2010年に設⽴された会社で、創業当初は⽶グル―ポンに似た共同購⼊サイトである「美団網」を運営していたが、2015年に⼤⼿⼝コミサイトである「⼤衆点評」と合併し、現在の社名になった。サイトである「美団網」を運営していたが、2015年に⼤⼿⼝コミサイトである「⼤衆点評」と合併し、現在の社名になった。

大衆点評は上海で2003年に創業し、中国初のインターネット×飲食業のサービスとしてユーザーを獲得し、規模を拡大。

一方の美団は、2010年に北京で創業。オンラインクーポンの発行などを行い、インターネット×飲食業の領域に進出。

点評と美団は、特にインターネットから実店舗への送客を行うO2O(Online to Offline)ビジネスの担い手として、「北の美団、南の点評」と称されるようなライバル関係にあったが、同じ領域のサービスを提供する会社として両社は2015年に合併。

そして、美団点評のミッションは

「We help people eat better, life better.」
- 良い食べ物、良い暮らしを提供すること-

を掲げている。ちなみに筆頭株主はテンセント(持ち株⽐率20.8%)

提供サービスはとにかく幅広く、飲食店の検索と予約を行うサービスの他にも、映画館や遊園地のチケットの購入、ホテルや民泊などの検索や予約も可能。

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そして、口コミ総数は55億を超えており、アクティブユーザー数は4億超。中国では3〜4人に1人が使っていることになる。2019年の四半期の第一四半期決算では、1日の平均取引額が1847万元(約2億7900万円)だったという。

また、同社の時価総額は約8.3兆円と、中国のIT業界でアリババ(62.5兆円)とテンセント(51.6兆円)に次ぐ第3位。

これらの数字を見れば、BAT→MATへと成り上がることができた理由が理解できるだろう。

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※2020年1⽉29⽇の時価総額を⽇本円に換算 [出所:ブルームバーグ]

引用:
https://digital-shift.jp/global/191217
https://www.aizawa.co.jp/documents/reports/meigara/HK3690_20200130.pdf


2. 美団点評の歴史

では、続いては年表別に纏めた美団点評の歴史を見ていく。

・2003年:上海で口コミサイト「大衆点評」が創業
・2010年:北京で「美団」が創業
・2015年:「大衆点評」と「美団」合併して「美団点評」が誕生
・2018年4月:自転車シェア「Mobike」を買収
・2019年9月:香港証券取引所へ上場

また、簡単に合併先の「大衆点評」の説明もしておく。
このサービスは日本にも進出しているので、時間ある際に是非AppleStoreでダウンロードして、確認して頂きたい。

「大衆点評」の概要

中国の生活情報と消費者による口コミ投稿のWEBサービスを提供している中国版の食べログのようなサービス。(ただ、食べログの創業は2005年で大衆点評は2003年なのでパクリではない笑)

2015年の時点で月間アクティブユーザー数は2億人、登録された店舗数は1400万件を突破。中国においては、2,500を超える都市、世界においても860を超える都市が登録されている。月間のPV数は150憶PV以上、そのうちモバイル端末からのアクセスは85%を占めている。

日本の飲食店情報も驚く程掲載されいる。試しに、今貴方の周りのオススメの飲食店を大衆点評で探して見て欲しい。凄くマイナーなお店も登録されて驚くだろう。

因みに、日本支社XIGUA株式会社は2017年3月に設立。日本ページにおいては、東京・大阪・京都・名古屋・北海道を中心に142エリアを網羅。既に80万箇所以上の飲食店や商業施設が登録されている。


3. 美団点評の展開するサービス


次は美団点評の展開するサービスについて詳細を見ていく。
美団点評は他のアプリと違って『スーパーアプリ 』と言われている。

スーパーアプリとは?

と疑問持った方もいるだろうが、詳細は第5章にて説明する。

是非、自身でスーパーアプリの定義を考えながら読み進めて欲しい。

下記が実際の美団点評アプリの画面である。

美団画面

これらがアプリ内のサービス内容で、カッコ内は米国にある同種のアプリである。

1. チケット販売  (Fandango)
2. 飲食店レビュー  (Yelp)
3. 配車サービス (Uber)
4. 民泊サービス (Airbnb)
5. ホテル予約 (Booking.com)
6. フードデリバリー (Grabhub)
7. 旅行予約 (Kayak)
8. スーパーマーケット (Walmart)

これだけのサービスが1つのアプリに内包されているのは驚きである。

主要なものだけでも8つ以上のサービスがある。
他にも観光地や娯楽施設を検索する機能も完備されている。

そして、こちらが気になる売上構成である。

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この図からもわかるように本家のサービスであるフードデリバリーが半分以上を売上を占めている。

また、来店、ホテル、旅行予約の分野の粗利率が88.6%と高いのが特徴的である。同社はオンライン旅行予約の領域でも大手旅行予約サイトC-tripを抑えて、中国トップシェアを誇っている。

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(出典:https://kr-asia.com/meituan-an-unexpected-entrant-to-chinas-ota-industry-that-topples-ctrip)

そして、メインのフードデリバリー でも圧倒的勝利を収めている。

調査企業Trustdataが先日発表したデータで、北京本拠の美団は市場規模840億ドル(約8.9兆円)の中国フードデリバリー市場で、65.1%のシェアを握り、2位のウーラマ(27.4%)を大きく引き離している。


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ちなみに、美団デリバリーの規模の凄さであるが、海外の同業「ウーバー・イーツ」と比較するとわかり易い。

ウーバーと比較して、美団デリバリーは売上高が3.4倍、利用者数が3.1倍の規模となっている。

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また、 美団デリバリーのビジネスモデルは、美団のプラットフォームで決済が行われた場合、合計の決済額からプラットフォーム側に⼿数料率は約2割、最⾼で26%支払われる仕組みとなっている。

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4. 美団点評を実際に使ってみた感想

ここからは実際に2018年から2年間中国に住み、美団点評を使った感想を主観ベースで語っていく。

私が最初に中国に来たときはまだ、美団点評はMobike買収前でシェアリングバイクや配車タクシーが無く、ただのフードデリバリーアプリだった。

なので当時はフードデリバリー としてしか活用しておらず、数あるアプリの1つ程度の認識。

しかしながら、Mobikeを買収し、自前のシェアリングバイクを展開し、
さらにシェアライド業界まで参入した辺りからは見方が大きく変わった。

気付けは毎日使うメインアプリ化していた。

中国の自転車やタクシーは本当に安く、ついつい毎日使ってしまう。

どのくらい安いかというと

*自転車は30分で1元(約15円)
*タクシーは初乗りが約12元(約180円)

である。

安すぎる。。。。

また、フードデリバリー もライバルであるアリババ 傘下の餓了麼(ウーラマ)よりもお店の数が多く使いやすい。

そして、自転車も最近できたので、機体が綺麗で漕ぎ易い。
タクシーも参入したばかりなので、他社よりも安く、ユーザーも少ないので待ち時間も少ない。

個人的には利用頻度の高い、フードデリバリー ・自転車・タクシー全ての品質が高く、美団でこれらを全て賄っていた。最高のアプリだ。

(因みに、筆者のデリバリーでお気に入りはすき家の牛丼である。牛丼+味噌汁+配達費用で20元(約300円)と手ごろな価格で日本の牛丼の味を楽しめるので、週に3回は食べていた。)

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5. スーパーアプリ化するためには?


それでは、最後のこのnoteの主題である『スーパーアプリ』について論じていく。

いよいよ、序章で提起した「スーパーアプリの定義」について解説する。

特に公式にスーパーアプリ の定義は無いが、私は下記のように定義している。

スーパーアプリとは日常生活で使う頻度の高いサービスを中心に、様々なサービスをワンストップで提供するアプリ

ここで、ポイントは『日常生活で使う』と『高頻度』である。

必ずしも利用率が高い決済サービスを持っている、WechatやAlipayだけがスーパーアプリとなるわけでは無い。

次はスーパーアプリのトレンドについて見ていく。

下記の世界に名高いベンチャーキャピタルのアンドリーセン・ホロウィッツ(a16z)ゼネラルパートナーであるコニー・チャン氏のプレゼン動画にあるように

「すべてはスーパーアプリになる(Everything becomes a super app)」

この言葉が全てをもの語っている。

私も実際にスーパーアプリを使っていた経験からも
今後スーパーアプリが主流になるのは疑いの余地がない事実だと断言できる。

理由は大きく3つある。

①ダウンロードが面倒
・これは言わずもがなではあるが、いちいち通信量やスマホの容量を消費していちいちアプリダウンロードするのは大変面倒である。
1つのアプリをダウンロードするだけで、日常生活の全てを網羅できるアプリがあればこんな便利な事はない。

②アプリの乱立
・近年はスマートフォンやIoTの普及のおかげで、アプリの数が爆発的に増えたと思う。その副作用ではないが、皆さんのスマートフォン画面がアプリで埋め尽くされているだろう。検索もできるが、いちいちアプリを探す事や、画面の煩雑さを億劫に感じてる方も多いだろう。

③データの活用
・各アプリが同じプラットフォームにあり、お互いのアプリがデータをプライバシーを侵害しないで共有することができれば、ユーザーの利便性を向上させることができるだろう。例えば、スーパーアプリ内の旅行アプリで、ホテルや飛行機を予約すると、ショッピングアプリにて旅行に必要なアイテムがレコメンドとして表示されるといった具合だ。
勿論、個人情報を取得されている事に嫌悪感を感じる人もいるかもしれないが、便利になっている事は事実だ。

因みに、中国では国民性もあるが、日本やヨーロッパ圏に比べて、個人情報が取得される事に抵抗感がない。
個人的には、時間が経てば世界的に個人情報取得に関する嫌悪感は薄れていくと感じている。

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それでは、最後にスーパーアプリになる為の秘訣について説明する。

キーワードは


『Food +Platform』

である。

???

これだけでは恐らく何の事かわからないだろう。

噛み砕いて説明すると

高頻度のフードサービスを通じて獲得したユーザーを、様々な低頻度のサービスへクロスセルさせる

という戦略の事である。

美団は1日あたり平均3,000万回、1人あたり年平均の利用回数26.5回の注文があるフードデリバリーの巨大なフリークエンシー(頻度)を起点に、使用頻度の低い、ホテルやオンライン旅行などサービスを展開していった。

これこそ、まさにスーパーアプリになる為の戦略と言えるだろう。

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実際に、日本のスーパーアプリ候補の1つ「LINE」は日本でフードデリバリーを展開している出前館に対し、2020年3月下旬に300億円の大型出資を表明した。


理由は他にも様々あるだろうが、LINEも日本初のスーパーアプリになる為に、使用頻度が高い「フード」の分野は何がなんでもトップシェアを取りたいというのも大きな理由の1つだろう。

今回は中国でアリババ 、テンセント に次ぐ第3のテック企業の「美団点評」をスーパーアプリという観点から解説した。

この美団の成功例を参考にし、日本で国産のスーパーアプリが生まれる事を心待ちにしている。

6. あとがき


今回も長文となりましたが、最後までご愛読頂き誠にありがとうございました。

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