映画レビュー:アカデミー脚本賞に輝いた作品「ゲットアウト」の感想
https://www.amazon.co.jp/ゲット・アウト-字幕版-ダニエル・カルーヤ/dp/B0791WHTPX
2017年に脚本賞としてアカデミー賞を飾ったホラー映画「ゲット・アウト」を今更見てみた。同じ映画監督がメガホンを取った「Us」を先に観ていたが、そちらは演出や音楽は凄いが脚本に関しては超展開が多過ぎて、個人的にあまり好きにはなれなかったのを覚えてる。
但し今回のゲット・アウトに関しては別だった。序盤から中盤にかけては徐々に徐々に、主人公と一緒に観客を騙すかのように異変を小出しに出し続けて「あれ?この場所と人。説明出来ないけど何かおかしいぞ?」と自然と気付くことが出来る。
中盤のパーティー現場では異変を隠す気も無く、舞台となる場所の異常性を言葉を用いる事も無く状況と行動で観客に解らせる手法。
もうね、これが一番凄かった。TRPGのシナリオ書いてる身としてはここが一番心と印象に残ってる。ダラダラダラダラと会話をさせる訳でも無く、万人が知る方法で事の異常性を伝えるこのシーン。ここだけでも観る価値はあった。
更に驚いたのは伏線回収、危機からの脱出方法。そしてラストのどんでん返しもどれもこれもが違和感無く自然とコンパクトにまとめ上げられていて思わず嫉妬してしまった。
登場するキャラクターは一癖も二癖もあって深みを見せてくれるのも良かった。個人的には主人公の親友ロッドと恋人のローズが好きなキャラクターだ。前者は作品の雰囲気に温かみを、後者は冷たさを感じさせてくれる。詳しい事は観てみれば分かると思う。
最初見る前は「今流行りの差別や貧富などの差別問題を取り扱った作品なのかな」と思っていたが、実際は全然そんな小難しいものでは無い。