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野鳥撮影のレンズと分解能について

野鳥撮影は遠くからしか撮れないことが多い。近づけるときでも野鳥にストレスを与えないため近づかずに撮ることが多いし、うかつに近づくと飛ばれてしまう。

遠くからどの程度の絵が撮れるかは、機材の性能にかかってくるけれど、止まっている鳥を相手にする場合、最近のデジタルカメラのセンサー性能は極めて高いので、律速はレンズ性能になっている。

レンズ性能にもいろいろな要素があり、均質で高い光学性能を持つ材料が設計通りに研磨され、剛性の高い筐体に収められたものであることや、絞りやピントなどの駆動系が高い精度で動作することは大切だ。

もっともそれ以前に、光を扱う以上、光の波長からくる分解能の限界があり、理論上の限界値を想定することができる。

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私が最近よく使っているソニーのSEL200600Gは望遠端で600mm F6.3のレンズだ。野鳥写真でくっきり撮れていると評価できるぐらいの0.1mmの解像度の写真は、どのくらいの距離までの被写体で撮影可能かを計算してみる。

有効口径は焦点距離をF値で割ると得られるので、600mm F6.3のレンズでは、95.2mmとなる。解像度は有効口径に1778を乗じて近似できるので、約169000となる。0.1mmの解像度が得られる距離の上限は約16.9mとなる。

これは理論上の限界値なので、手ぶれや被写体ぶれ、ピントがあってなかったり暗かったりするとこれよりも悪くなってしまうのだけど、この上限距離を超えるとどんなに条件がよくても0.1mmの解像度では撮れない。

鷹の写真などは70mぐらいの距離で近いなと感じるくらいなので、もとより羽毛まで解像させるような写真を期待してはいけないということだ。解像していなければダメかというとけっしてそんなことはないのである。0.5mm解像度ぐらいでもちゃんと目が見えてれば満足したいところ。

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ちなみにフルサイズに切り替える前にマイクロフォーサース機でよく使っていたレンズはLEICA DG VARIO-ELMAR 100-400mm / F4.0-6.3だった。マイクロフォーサースなので換算800mmになるけれど、望遠端で0.1mm解像度が得られる距離を計算してみる。

有効口径は400/6.3=63.5 であり1778を乗じると約113000になる。0.1mm解像度が得られる限界距離は約11.3mとなる。だいたい体感にも合っている感じがする。換算800mmといっても400mmの普通のレンズ程度の性能だということがわかるけど、このくらいの性能があると普段の野鳥撮影には十分な力を発揮してくれる。

LEICA DG VARIO-ELMAR 100-400mm / F4.0-6.3の前に使っていたレンズは、G VARIO 100-300mm/F4.0-5.6だった。0.1mm解像度の限界距離で約9.5m。分解能自体は大きく変わらないけれど、体感はもっと差があるようにも感じた。この辺は数字に表れないレンズの力かもしれない。

ちなみにロクヨン(600mm F4)やヨンニッパ(400mmF2.8)/ハチゴロー(800mm F5.6)について同様に計算してみると、0.1mm解像度の限界距離はロクヨンで約26.7m、ヨンニッパ/ハチゴローで25.4mとなる。あらためてロクヨンのすごさがわかる。値段もすごいけど。

キャプチャ

SONY SEL600F40GM  600mm F4




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