駅伝のルーツは中国にあり Part3
今回は,どんな人々が駅を利用したのか,また駅を利用するための規則と罰則についてご紹介しましょう。
1. 駅使
駅を利用する人を「駅使」と言います。元々は戦争に関わる情報をできるだけ速やかに伝達するために,軍隊関係者が馬を乗り継ぎ乗り継ぎ戦場に向かうための施設だったのですが,時代が下るにつれ,違う利用のされ方をするようになりました。
駅を利用するのは,以下のような人々です。
① 公文書を運ぶ官吏。
② 京城に報告をするために向かう官員。
③ 新たに赴任をする官員。
④ 臨時に派遣される使臣。
そして駅の利用の仕方には2種類ありました。
A. 乗駅
スピードを求められる,公文書の伝達などに利用され,馬が用いられました。
B. 乗伝
官吏の入朝や赴任など,スピードを要しない場合で,馬車が用いられました。
1. 符券
駅を利用するために必要なのが,門下省や軍から発行される符券でした。
① 銀牌
② 角符…… 緊急時に発行されました。
③ 伝符……龍の形をした銅牌なので,「銅龍伝符」と呼ばれ,乗伝者が利用しました。
④ 紙券……各州の軍隊が発行しました。
ただし開元以降は,全て紙券になり,これを「駅券」と言います。
1. 駅利用の規則
まず利用する人によって使用できる馬の頭数が変わってきます。
官位が三品以上 4頭
四品および国公以上 3頭
五品および爵位が三品以上 2頭
散官 1頭
その他爵位も官位もない者 1頭
宿泊は,どんなに事情があっても3日まで。長安の都亭駅は1日のみ。
一日の移動距離も定められており,
馬は70里。
徒歩または驢馬で50里。
馬車で30里。
最速で500里移動したこともあったそうです。
船は黄河を遡るのであれば30里。長江は40里。その他の河は45里。
(唐代の1里は約500m)
またスピードを維持するため,駅使は衣服と杖以外には,私物を持って行くことを禁じられたそうです。
1. 罰則
駅制では,情報の伝達スピードを保証するために,厳に罰則が設けられていました。
① 駅券を偽造した者 絞首刑
紛失 一ヶ月以内に返還できなければ罰を受ける。
② 無断で馬を増やした者
1頭……徒刑1年
1頭プラスするごとに罪一等が加えられる。
③ 遠回りした者
1里……杖刑100
5里プラスするごとに罪一等が加えられる。
目的地を越えた者も同じ。
④ 駅で馬を交換しなかった者
杖刑80
驢馬の場合は,減刑二等。
こんなに細かい規則があったなんて,当時の人々の生業が,ありありと蘇ってくるようではありませんか?
出典:中国古代的郵駅
商務印書館国際有限公司(中国)
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