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自分のお店を人に任せるハードルと、大事だと思うこと

こんにちは、NagiCrepeという戸越銀座のクレープ店を経営している、渚です。

5月末にオープンして1ヶ月半が経ちました。
ありがたいことに、常連さんや戸越銀座商店街のお店の皆さん、おおさきっちんや桜上水NagiCrepeのお客様も含め、多くの方に足を運んでいただいてます。
※ここ数週間は暑すぎてパッタリですが汗

なんと、6月の1か月で2,500点くらいのクレープが売れているという…素直に、とても嬉しい。

まぁもちろん低評価や改善点などもあるので、そこは徐々に工夫して解決していこうと思っています。

・・・というのが最近のポジティブな近状報告なのですが、やはり店舗を事業として経営していると、解決していきたい課題が山積みなのも正直な現状です。

今回の記事は、
「自分のお店を人に任せるハードルと、大事だと思うこと」
ということについて取り上げて書いていければと思います。

自分自身が厨房に立っている飲食店オーナーさんなら、ちょっと共感してくれるところがあるんじゃないかなと思い、noteに書いて共有したくなりました。

製造や店舗運営を人に任せることへのハードルが超高い

今回の開業では、NagiCrepeのお店運営(製造や販売、その他準備など)をアルバイトさんに教えてお任せしようと奮闘したのですが、「よし!じゃあこれから私の代わりにクレープ製造を頼むぞ!」という気持ちに持っていくのはめちゃくちゃ高いハードルがありました。

そこで、なぜ人に店舗を任せることにこんなに高いハードルがあるのだろう?と我ながら疑問に思ったので、少しでもクリアにしてなにか前に進めればと思い、ここで少し整理していければと思っています。

人にお店を任せることができない理由としては
・クレープの製造が案外難しい
・商品への愛情や責任感の違い

の大きく2つかなと思います。

クレープの製造が案外難しい。経験値も必要。

クレープ作りって、ある程度のクオリティ以上になると「慣れ」や「その人のクセ」というのがかなり出てくるのです。特に焼くところ。

『なんとなく破けずに丸くできるね』くらいなら、数日一緒に練習すれば基本的には到達できます。
ただ、「安定して」「理想の厚みで」「完成形を意識して」しっかり焼けるようになるには、それなりの年数が必要なのだなと、今回の店舗での挑戦で思いました。

クレープの理想の厚みって意外と自分の中であるみたいで、人に焼いてみてもらって初めて「あ、人が生地を伸ばすと全然自分とは厚みが違ってしまうんだな」と思いました。
また私は生地を焼いているときから「トッピングするとき、生地の淵がこのくらいの厚みだときれいだよね」など色々と考えながら焼いているところがあって、それって、かなり慣れてきて他のことを考えながら焼けるようになったからなのだなと思います。

私自身も長く製造してきてやっと…

私自身、初めてキッチンカーで開業する際、焼きを習得するのにかなり練習したのですが、数百枚焼いても安定するまでにはいきませんでした。
成功率でいうと50%くらいで現場に出たのですが(失敗作を食べ続けてめちゃ太りました笑)、結局、3~4年現場で焼き続けて、やっと「まぁ8,9割くらいは満足できるクオリティで焼けるかな~」くらいになりました、、、。

研修でのレクチャーでは届かなかった

私は今まで20回以上クレープの焼き方レクチャーをやってきた経験があるので、「どんな失敗をしやすいのか」「どんな失敗癖があるのか」などはある程度分かるし、教え方も多少上手になったかなと思っています。
なので今回の店舗では、アルバイトさんに製造を教えて焼くところも任せようかなと思い、研修期間をある程度とって、焼きを中心に一緒に練習をしました。

私がクレープを焼けるようになるまでの期間よりは、(ある程度の出来栄えまでは)短い期間で焼けるようになったと思います。

ですが結果、お客様に出せるクオリティ/成功率まではいかなかったので、未だにほとんど製造を任せられていません
たまに、余裕があるとき焼くのをお願いしたりするのですが、やはり生地の厚みや焼き加減など、どうしても「ちょっと違うかな~お客さんには出せないかも…」という感じになってしまいます。

できる限り最高のクオリティで提供したい

自意識過剰なのかもしれないのですが、やはりお金を払って食べに来てもらうお客様には、できる限り最高のクオリティで提供したいという想いがあり。
もちろん材料は一緒なので不味いとかにはならないのですが、厚みや見た目などでどうしても同じクオリティとはいかず。お客様に提供するものは、結局自分が焼きたいと思ってしまいます。

ロスが気になってしまう

正直なところ、失敗したときの材料ロスについてはどうしても気持ちの折り合いがつかず。
もちろん「研修費」「ロス割合」として取っているので費用のなかにロス分も入っているのですが、原材料もぽんぽん捨てられるようなものでもないし、仕込みも割としんどいし、どうしても「この分をお客さんに届けられたら、、、」なんて考えてしまっている自分がいます。

バイトの子に焼いてもらった生地は、どうしても半分くらいはロスになってしまうのですが(私が現場に立ったばかりの頃もそうでした)、どうしても割り切れず、ロスを出さないために「極力自分が焼きたい!!」ってなってしまうのですよね(どうにかこうにか、たまーに製造も手伝ってもらったりしていますが…)。
事業的にロス分も計算に入れてないわけではないのですが、気持ちの問題が大きいです。

商品への愛情や責任感の違い

クレープに限らず、厨房や現場に立つオーナーさんは、皆さんこれは結構悩んでいるのではないかなと、、、。

オーナー自ら作って提供する際には、商品1つ1つを自分の生み出したものとして、責任感と愛情をもってお客様に提供していると思います。

なにか問題が起きたりクレームがあったりしたらすべて自分の責任として受け止める覚悟もある程度できているし、すべてのお客様にリピーターになってもらうつもりで、お客様に安心して喜んでもらえるように製造にも接客にも細心の注意を払っています。

また、店舗の利益のこともちゃんと考えているので、材料はなるべくロスにならないような使い方をするし、入れすぎて原価率が爆上がり、みたいなこともほとんどしません。

一方アルバイトさんになると、そこへの責任感や愛情といったものはそこまでらないので(当たり前で、私もバイトの立場でいるときは気にしないことがほとんどです)、正直「形になって提供できればOK」くらいに考える方がほとんどだと思います。

対応策として、具体的にルールで「このときにはこういう声かけをする」「この材料は〇〇g入れる」「笑顔で接客する」などを決めることで接客も製造も形上のクオリティはカバーできると思います。
ただ、商品に対する愛情の違いって、意外とお客さんは感づいてしまうんですよね。そこまで人に任せる、というのは難しいですね。。。

人に任せるために大事だと思うこと

結局、人にお店の根幹となる部分(クレープ屋さんならクレープ製造と接客)を任せるには「どうして任せたいのか」「どこまでのクオリティを求めるのか」を決めて、自分の中でも折り合いをつけることが大事なのかなと。

「どうして任せたいのか」を決めることで、途中で「やっぱり任せるのはやめようかな~」と悩んだ際にどうすべきかの判断がしやすくなります。
ちゃんと任せる目的を決めておくと、「任せられずに自分だけでやった場合に目的が達成できないデメリット」をちゃんと認識できて、途中で「やはり任せずに自分でやろう」と判断すべきかどうかが、決断しやすくなると思っています。

また、「どこまでのクオリティを求めるのか」を決めるのは、とても大事だけど結構大変です。
そりゃあ一番の理想は、オーナーと同じクオリティです。ただそんなこと求めていたら絶対当分は任せられません。(クレープだと、もう「弟子」として育てるレベルになると思います…1年以上とかかかるかもしれないですし)
なので、お客様が求めているクオリティなどを色々考えながら「このお店ではこのラインまでできていたら提供してOK」みたいな基準を決めないといけないです。
そして、その基準はアルバイトさんでもわかるようにしておく必要があると思います。オーナーの感覚値などではなく。そうしないと、だんだん提供可能ラインがあやふやになっていき「いつのまにかボリュームもりもりのクレープになってしまっていた」とかになりかねません。

そこの基準ラインを決めるのと、その基準をしっかり言語化して伝えられるようにするのが、どちらもかなり大変だと思います。
ましてや、商品に愛情を持っているオーナーさんほど妥協することができないと思うので…。

まとめと付け足し

ざっくりまとめると、自分でやってきた店舗を人に任せるハードルとして、私のクレープ店の場合は
「商品の製造が案外難しくクオリティが担保できなかった」
「商品への愛情の違いがなかなか埋められなかった」
というのがあると思っています。

そして、それでもお店を任せたい場合は、
「どうして任せたいのか」
「どこまでのクオリティを求めるのか」
を決めた上で、任せていくのがいいのかなと思っています。

もう一つ大事だと思うこと

少し違う視点ですが、誰かにスタッフとして働いてもらう際に大事だと思うのは、
「スタッフにもそのお店or商品orオーナーのファンになってもらうこと」
かなと思っています。

お店や商品のファンになってもらえれば、オーナーと近い愛情をもってお客さんに商品を提供することができるし(技術力などは置いておいて)、「このお店を好きになってもらいたい!」と思う気持ちはきっとお客さんに伝わるからです。

もしくは、オーナーのファンになってもらうことができれば、「その人が心を込めて作ったブランド(商品・お店)だから、それを守っていこう、傷つけないようにしよう」と思う人が多いはずです。

だから、スタッフを雇うときは少なくとも「この商品もしくは私自身を好きになってくれる人かどうか」は結構重視しています。
1回の面接で、本当に心の底から好きかどうかとかはわからないですが、できる限り。

やっぱりクレープ(飲食)が好きだからこそ、中途半端には任せたくない

ここまで書いて来て、「うーん、私が深く考えすぎてしまっているかもしれないかな」と思うのですが、食品は特に食べた人の命にも直結してくる仕事なので、中途半端な想いで任せたくないしなぁという気持ちが正直なところです。

となると、事業としてやるには私にはクレープ(もしくは飲食店全体?)はあまり向いてないのかなとも思うのですが、やっぱり5年以上付き合ってきた商品や業界だからか、こだわりや好きが結構積もってしまっているのだろうなと実感する日々です笑

とりあえず「お客さんにちゃんと満足いただけるクレープを提供する」というのを最優先に置きながら、少しづつ私自身や事業のことにも目を向けて、「任せる」ということも考えながらやっていきたいなと思います。


また色々note書いていきたいのですが、熱がこもって書き始めても、その後「やっぱり考えていることはちょっと違うかも」と思うことがありがちなのでなかなか進まないのです笑

時間をかけて少しずつ書いていこうかなと思います。
また覗いてくれたら嬉しいです!✨

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