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書籍版『モーションデザインことはじめ』刊行に際して、個人的な話 #モーデザことはじめ

2023年11月20日にボーンデジタルより、書籍『Webデザイナーのためのモーションデザインことはじめ』が刊行されました。書籍の元となったオンライン講座を含め、私が「やりたいです」と言って色々とやらせて頂いた企画が、こうして書籍というひとつの大きなゴールに行き着き、ほっとしております。ここでは少し個人的な話などを書こうかと思います。

育児で勉強する時間が無いので勉強を仕事にした

第一子が乳児期(10ヶ月くらいの頃)に最初の企画をAdobeさんに持ち込みました。当時はマミーブレインで解像度が低下した頭と、目の前の仕事と、もちろん育児とでびっくりするぐらいインプットする時間がありませんでした。通信制の大学も退学届を出した中、長期的に考えてコレはイカンということでちょっと頭をひねって、勉強を仕事にすればいいのでは?と思い至ったのがこの講座を企画したきっかけです。

その後Adobeさんからの承認が降り、山下大輔さんにAfter Effectsやモーションの指導をいただきつつ、Adobeさんの公式コンテンツとして、12回のオンライン講座の企画と12本のチュートリアルを作成しました。山下さんがお題を出し、それを私が咀嚼して手順をまとめる、という流れを基本にしていましたので、素人の私が分からないことは、分かるまで載せない、というスタンスを基本にしていました。

「育休中のリスキリング」がバズワードに

2023年1月末に、岸田総理が"育児休業中の人たちのリスキリングを「後押しする」"と発言してこれが批判を浴びました。現在、日本リスキリングコンソーシアム のウェブサイトで、私が講師をつとめていたAdobe製品のチュートリアルへのリンク(Illustratorことはじめ、Photoshopことはじめ ※現在は終了、アーカイブのみ)が継続して注目を集めているようで、今回の『モーションデザインことはじめ』を含め、講師としてはありがたい限りです。一方で、まさに子供の年齢的に育児休業相当の立場からは「…無理すんなよ」と申し上げておきたいです。

私は好きで&仕事でやっていることなので別として、乳幼児の子育て+勉強は万人には勧められないなと感じました。子供を第一に、体を労ってください。ただ、やはり漠然と勉強しても意味が薄いですから、こうした勉強に対してなにかしら目標や締切を設けるのはよいと思います。

実務経験0で本を書いてしまった

これまで本を書いた経験は何度かありますが、動画についてはまったくの素人の状態で執筆に携わってしまったので、実際の所、動画制作に関する実務経験が現在、私には圧倒的に不足しています(書籍の内容については山下さんにチェック・執筆していただいていますので問題ありません、私個人の問題です)。こうしたチュートリアルを作る能力や教える能力と、クリエイトする能力は別のものです。ですから、来年以降は一旦本を書いた事実は忘れて、モーション・アニメーションづくりに取り組んでいきたいと思っています。「チュートリアルにする」ということが縛りになって出来なかったことも多いので、色々取り組んでみたいと思っています(たとえば有料のプラグインを駆使してみるとか、超絶数の多いレイヤーや複雑なコンポジションを作るとか)。

一方で、このレベルまで書かないと(素人の私には)分からないでしょ、という点を追求できたのは良かったなと思っています。ここは編集のKさんの功績もたいへんに大きいものでした。

千里のモーションも一つのキーフレームから

書名である「モーションデザイン」という言葉からみなさんはどんなモノを想像されますか?アグレッシブにロゴが動くようなものを想像しませんか?私はします。ところが、この『モーションデザインことはじめ』にはそういった作例は載っていません。が、この本に出てくる内容をひとつひとつ積み重ねていくことで、その先に面白いモーションができると思っています。
……と言いますのも、特にアグレッシブに動く作例の場合、After Effectsのレイヤーは枚数が膨大で「初心者殺し」と言ってもいい見た目をしているのです。これは(原稿を書く私の)心が折れる。これからこの本を手に取る私と同じ初心者の皆さんには、まずは少ないレイヤーとキーフレームからコツコツ取り組んでいっていただきたいと思っています。後はアイディアと組み合わせ、そして根気と愛。その先に面白い世界が待っているはず!そう信じております。

この世はモーションでできている

普段、子育てにリソースの多くを割いているので、たとえばモーションデザイナーさんの作品を見る、ですとかYoutubeのチュートリアルに取り組む、といったことを殆どできませんでした。けれど、意識的に日常生活を見てみると、この世は動いているものばかり。あーはやくパソコンの前に座りたいなーーーーーーと思いながらも、モーションについての色々なことを考えられたのはよい習慣づけになったかなと思います。あとは、昔見倒したビンテージディズニーのmyリファレンスが地味に生きている気もします。大人になった今、ある程度の知識がついた状態で約80年前のアニメーションを見返すと頭を殴られたような衝撃が走ります(蒸気船ウィリーから95年!)。

来年度(2024年4月〜)の話

オンライン講座、書籍としての「モーデザことはじめ」はこちらで一旦区切りと考えているのですが、ご縁あり、来年度から高校と大学で映像制作のコースの教員の内定をいただいております。デザインや映像を生徒・学生の皆さんと一緒に作っていくわけですが、私も引き続き真摯な気持ちで取り組んでいきたいと思っております。

読んでいただきありがとうございました!


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