
高橋優斗の退所に思う
最後のスペオキ
高橋優斗が退所する。
これはJr.担のみならず全ジャニオタにとってショッキングなニュースだ。
ご存じない方のために説明すると、高橋優斗は故ジャニー喜田川の最後のスペオキ(スペシャルオキニ)だ。
私が最初に高橋優斗の存在を認識したのはジャニーさんのお別れ会での報道だった。
Jr.代表としてお別れの言葉を述べたというその彼を見て「こんなにジャニーさんの好みの顔の若い子がいるんだな!!!」と思った。
当時まだジャニオタでない私が見ても高橋優斗はジャニーズど真ん中だった。
その数日後私は現在の推しであるSixTONESに出会い、Jr.の出演番組である少クラを視聴するようになる。
高橋優斗はいつだって抜群にジャニーズアイドルだった。
キラキラの衣装を着てローラースケートを履くグループのセンター、歌とダンスは決して上手いとは言えないが圧倒的に華があった。
多少つたないが一生懸命なMCもかわいらしく、誰もが応援したくなるアイドル性に満ちあふれていた。
まだJr.の事情に疎かった私でも、彼が所属するグループHiHi Jetsのデビューはそう遠くなく
いつか彼らが新世代の”THEジャニーズアイドル”として世に送り出されていくものだと信じて疑わなかった。
その高橋優斗が5年後、デビューできずに退所していくなんて、誰が想像できただろうか。
高橋優斗退所の発表があってから、SNSは「ジャニーさんが生きていたら」「生き返って優斗をデビューさせてくれ」という声で溢れかえっていた。
だが、人の命は永遠ではない。
彼を寵愛し、目をかけてくれたジャニーさんはもういない。
そしてその後の変化の中で彼はデビューをつかむことができず、アイドルであることに見切りをつけた。
残酷だがそれが全てだと思う。
創業者の罪
昨年ジャニーズ問題が発覚し、あの会社がいかに創業者任せで組織として体をなしていなかったかが露呈した。
多くの子供たちを集め育成し世に送り出す立場でありながら、そこに組織的な体制やノウハウはなくすべてが創業者の一存であった。
(ある意味それがジャニーズ”らしい”アイドルを輩出することに繋がっていたのだが)
誰と誰をグループにし、誰をデビューさせるかも基本的にすべてはジャニーさんが独断で決めていたのだと思う。
その体制の中、高橋優斗は見出された。
歌もダンスも未経験の15歳の野球少年は、事務所歴の長い先輩達を差し置いてグループのセンターに抜擢された。
歌・ダンス・ローラースケート・トーク、彼は必死に努力したのだと思う。
数年後、多くのJr.のセンターとしてステージに立ち「0番が最も似合うJr.」とまで言われるようになった。
だが、そこに彼の葛藤はなかったのだろうか?
K-POPの台頭からボーイズグループが乱立し、もはや男性アイドルは高い水準で歌って踊れることが当たり前となった。
そんな中他界隈のオタクから「ジャニーズはお遊戯会」という心無い声を浴びせられることも増えた。
彼の歌もダンスも、決して下手ではないがK-POPアイドルと比べれば見劣りしてしまうことは否めない。
(アイドル性は抜群だよ)
そして自分の存在を見出し、抜擢してくれた恩師はもういない。
それどころか、大好きだった恩師は世紀の大犯罪者のように扱われている。
(事実がどうかはわからないが)
家族のような絆で繋がっていた事務所は名前を変え、スタッフも大きく入れ替わってしまった。
彼の心がどれだけ傷ついたのかを想像するだけで胸が苦しくなる。
24歳、もう何もわからない年齢じゃない。
彼が退所を決断したとしても、何も不思議ではないのだ。
アイドルでいること
まだデビュー前の20代の青年が「アイドル人生は最高でした」といってステージを降りる。
悲しいけれど、でも彼は間違いなく多くの人を魅了し多くの人に愛されたアイドルで、それを「最高でした」と言えるって素晴らしいじゃないか。
もちろんもっと早くに、あの頃にデビューしてれば・・・たらればを言えばきりがないのだけれど。
アイドルでいることって難しい。
「アイドルのくせに」「アイドルの自覚が」「アイドルなんだから」
「アイドルだから良い」「アイドルだからダメ」
みんな好き勝手な偶像を押し付けてくるのだ。
でも高橋優斗は完璧なアイドルだった。
その事実は揺らがない。
今後彼がどのような人生を選択するのかはわからないけれど
いつまでもあの笑顔で笑っていてくれたらいいなと思う。
・・・この後Jr.がどうなっていくのか、それは怖いよね。