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日本の美意識
昨年まで、芸術系の大学で、日本の美意識について、研究考察してました。卒論も、そのことを書きましたが、私が研究したことなんて、本当に氷山の一角。どころか、大宇宙の中の月にも満たないことしかわからなかった。
でも、それらは、決して無駄では無かったと思っています。そして、それらは、元々、茶席のしつらえに活かしたいと思って始めたことなので、これから、そんなことを念頭に、色々考えてゆきたいと思います。
先ずは、その卒業研究で論じたことを、少しづつ、こちらにあげてゆこうと。
そのままではなく、あらたに考察したことなども加えてゆきます
「自然を背景にうまれた日本の美意識」①
日本は、明治になるまで長らく制限された外交のもと、世界の中で孤立し独自の文化を育んできた。例えば、伝統文化とて皆が知る茶道などあるが、それらの「日本独自」といわれる文化の多くは、決して日本発祥のオリジナルのものではなく、もとをたどれば外来のものであるだろう。それら外来のものが、他国との交流が少なかった日本という環境の中で独自の発展を遂げたものと考える。
日本文化やその美意識について、多くの者が論じており、近年では、ドナルド・キーンが『日本人の美意識(1990年 中央公論社)』で、日本国外の視点からの日本の美意識を述べた。それら、外国からみる日本の文化は、驚くことや新鮮に映る点があるようだ。
このように、多くの日本の文化や美意識について述べたものがあるが、諸外国と比べた日本文化や、その種類の紹介に終わってしまっているものも多い。あるいは、無常やわび、さびといったキーワード毎の研究は多くあるが、それらを日本文化の流れとしてまとめてとらえるものは少ないようである。
キーワードとなる意識や感覚を持つに至った根本的なものはいったいどこにあり、どのようなものがあるのだろうか。
2014年に開催された『ボストン美術館 華麗なるジャポニズム展』では、19世紀に西欧でブームとなった「ジャポニズム」の風潮を、それに影響された作品とともに、素材や技法、構図や表現などを展示し、日本と西洋の感覚のちがいを視覚的に紹介していた。日本の感性や感覚を、視覚的に紹介した展示から、日本には独特の感性があり、それらの多くは「自然」と大きく関わっているのではないか。そして、「日本の美意識」には、自然を欠くことができないのではないだろうかと考える。
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ということを、卒業研究としてすすめた。
要約すると、今日、日本的といわれる文化のもとは、多くは外来のものを日本の環境の中で吸収昇華して、日本的といわれるものにリノベーションした結果のもので、その際に注入されたものこそ、日本文化の軸となるものだろう。そして、その、注入されたものこそが、日本の美意識だと思うが、それのさらに、源は、日本の得意な自然環境が大きく関わっていると思う。
という結論に向けて、日本の美意識といわれるものを、いくつかみていきながら、それらが自然とどのように関りがあるのか。ってことを研究した。