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飲中八仙図屏風 与謝蕪村
「飲中八仙」とは、杜甫が八仙に因んで戯れに同時代の名だたる酒客八人を選び、『飲中八仙歌』を作ったことに由来する。
その八仙は、中唐初めの八人の酒豪(賀知章・汝陽王李璡・李適之・崔宗之・蘇晋・李白・張旭・焦遂)。
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縦:149cm 横:360cm
6曲1隻
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海北友松の図は、2隻で描かれたものだが、残念ながら一隻しか残っておらず、4人の仙人しかいない
そして、飲んでいるのは、お酒とみられる。
もう、飲めないんじゃ〜というような会話が聞こえてきそうです
これは杜甫の歌に沿った内容
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こちらは、長沢芦雪の飲中八仙図
人々の中に、各々パフォーマンスをみせる仙人が描かれる。絵を描いたり、書を書いたり、それぞれに楽しんでいて、「友松本」のような、飲んだくれている者の姿はみられない
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そして、取り上げた、与謝蕪村の《飲中八仙図屏風》
山中で、八仙らが、楽しそうに何やらやっています
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もう少しアップでみると
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絵を描いていたり、書をしるしていたり、
何やら飲食していたり、「芦雪本」の仙人たちと同じように、それぞれたのしんでいます
その中の
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これは、お酒を飲んでいるのか?
大きな壺を持つ人が、お酒をガンガン注いでいるのか?
それとも、杯の横に、急須型のものがあるので、もしかして、お茶を淹れているのか?
でも、飲中八仙歌の舞台は、唐の時代です。その頃のお茶といえば、陸羽の『茶経』にもあるように、煎じて煮出したもの。急須は登場しません。
この絵を描いた与謝蕪村は、江戸時代の画家です。ここで、興味深いのは、蕪村は、あの売茶翁の元に通って、当時中国から入ってきた淹茶(煎茶)、つまり急須で淹れるリーフティーを嗜んでいました。売茶翁のもとには、与謝蕪村や伊藤若冲、らも集っていました。
このころの最先端のお茶を知っていた蕪村なら、描くお茶も、煎茶でも全然アリでしょう。
アルコールの後の重焙煎の鉄観音は格別。と個人的に思っていますが、そんなのを淹れて、「うん、やっぱこれでしょ」なんて言ってると良いなあと思うシーン
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こっちは何をしているのでしょうか
色々なものを混ぜて、もしかしたら、奥の三つ足の竈のようなもので煮出す、唐時代の煎茶みたいなものを入れようとしているのかもしれないですし、秘薬を調合しているのかもしれないです。
何せ、仙人なので、何でもやってしまう
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これも、何かの道具
ですが、飲食物では無さそうな雰囲気
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これも色々並んでいます
杯が2客ある。足下には、水差しでしょうか?そして、卓上の、脚付の蓋ものが気になります
もしかしたら、煮出したお茶で、それを杯に掬い分けるのかもしれないし、全然違う、食べ物系かもしれない
周りの人は、ちょっと頬を赤らめて、楽しそうに微笑んでいるので、酔っ払っているようですが。
酒豪の8人のはずなのに、描く人によっては、お酒ではなく、各々の特技を楽しむ場になっているというのが、面白い絵です