中国茶のしつらえ チョコ
バレンタインが近づくと、色々なチョコレートが並びます
世界中から集まるチョコレート
とっておきの一粒をたのしむお茶の時間
ところで、バレンタインって何なんでしょうか?そして、チョコレートってどんなものなのでしょう
そんなことをnoteしました
チョコの歴史
苦い水のショコラトル
チョコの原料であるカカオは、紀元前2000年ごろから栽培が始められました。その主な産地は中央アメリカで、嗜好品や薬用として珍重されました。また、通過としても使われました
貴重なカカオを口にできたのは王族などの特権階級や、戦士が「力を与える」を飲むことができました。
当時のチョコレートは、カカオ豆をすりつぶし、水、唐辛子、コーンミールなどを混ぜた飲み物だったようです
ショコラトル(「苦い水」の意味)と呼ばれ、チョコレートの語源となったという説がありますが、真実はいまだ分かっていません
チャカウ(熱いの意味)+ハ(水の意味)が変化したとか、マヤ語のチョコ+ナワトル語のアトル(水の意味)の造語だとか、様々な説があります
ヨーロッパに渡ったカカオ
カカオは16世紀にスペイン人のコルテスによってヨーロッパへと紹介され広がりました(1528年)
しかし、苦味の強い飲料はそのままでは受け入れられず、同じく新大陸からもたらされたバニラや砂糖を加えた飲み物としたところ宮廷や上流階級の間で大流行することになりました。フランスでは「ショコラ」、イギリスでは「チョコレータ」などと呼ばれる飲み物となります
飲み物だったチョコレートが、19世紀に「チョコレートの4大技術革命」といわれる技術革新がおこり、現在たのしまれる形のもとが出来ました
1828年 オランダのコンラッド・ヨハネス・バンホーテンがココアパウダーとココアバターを分離する製法を確立
1847年 イギリスのジョセフ・フライが固形チョコレートを発明
すりつぶしたカカオ豆と砂糖とココアバターを加えることで固形化する製法を編み出します。
1876年 スイスのダニエル・ピーターがミルクチョコレートを開発しました
1879年 スイスのロドルフ・リンツによりコンチング•リファイニングが発明され、ザラザラしていたチョコレートの口当たりが滑らかになりました
日本の「しょくらとお」
日本にチョコレートが伝わったのは江戸時代の史料が初めです
寛政9年(1797年)3月晦日に、長崎の大和路という遊女が、オランダ人から貰った贈り物の中に「しょくらあと六つ」という記載があります
京都の蘭学者の廣川獬がしるした「長崎聞見録(1800年、寛永12年刊行)」にも「しょくらとを」の記録がある。
当時オランダ人が私的に出島に持ち込みんだチョコを目にしたようです
その後、幕末に欧米へ渡った日本人が、現地でチョコレートにふれ、徐々に日本でも口にするようになりました
カカオの効能
カカオの効果でとても期待されるのは次の2つです
カカオポリフェノール
優れた抗酸化作用(体をサビさせない作用)があり、動脈硬化や高血圧など、生活習慣病の予防、脳卒中や心臓病のリスクの軽減など
や花粉症などのアレルギー症状の緩和など、さまざまな健康効果が期待されています。
カカオプロテイン
整腸作用 便通改善
バレンタイン
多くの国や地域で、2/14はバレンタインが楽しまれていますが、バレンタインとは何なのでしょう
バレンタインデー(Valentine's Day)は、キリスト教圏の祝日です。聖ヴァレンティヌスの日として、2月14日に愛を祝う日とされています
聖バレンティヌス
聖ヴァレンティヌス(英語でバレンタイン)は269年2月14日ににローマ皇帝の迫害下で殉教しました
当時のローマでは、まだキリスト教は公認されていない新興宗教でした。そんなキリスト教を信仰するヴァレンティヌスは、いわば異教を広めようとする者です
その頃のローマ皇帝クラウディウスは、ローマ帝国の兵士たちの「士気が落ちる」という理由で、結婚を禁止していました。しかし、それに反して、ヴァレンティヌスは密かに若い恋人たちの結婚を取り計らっていました。それが皇帝に発覚し怒りを買い、斬首されたと伝えられています
この話は、様々な言い伝えが複合されてできているようですが、要は、当時異教とされたキリスト教司祭が処刑されたということです
バレンタインは、聖ヴァレンティヌスの日となっていますが、実はその前進となる、ローマのお祭りがあると云われます
ルペリカリア祭(Lupercalia)
バレンタインデーの始まりは、古代ローマ時代のルペリカリア祭と云われています
古代ローマ(キリスト教公認以前)では、2月14日は結婚の女神ユノの祝日でした
(ユノはギリシア神話のヘラのことで全能の神ゼウスの妻です)
ユノの祝日の翌日の2月15日から「ルペルカリア祭」という繁栄祈願のお祭りが行われていました
このお祭りの内容が、なかなか奇抜で、刺激的な内容だったようです
詳細は割愛しますが、出会い系パーティー的なもので、実践もあったようです。
繁栄祈願のお祭りですから、、
313年にキリスト教が公認され、キリスト教が広まると、ルペリカリア祭の内容が、如何なものかとなり5世紀末ローマ教皇ゲラシウス1世によってルペルカリア祭は禁止されました。
1000年以上も続いた出合い系パーティーに変わるものとして、聖ヴァレンティヌスの伝説を基に、「男女を結びつける」という要素を残して496年に、2月14日は「バレンタインデー」と定められました
このようにして、古代ローマのルペルカリア祭は、リノベーションされ、キリスト教の下で健全な祝日となりました
チョコレートを贈る習慣
欧米など、多くの国では、バレンタインに恋人に花などのプレゼントを贈ります
しかし、日本では、チョコレートを贈る、あるいは、女性が男性に告白をする日となっています
これは諸説ありますが、昭和10年(1935年) にチョコレートショップ「モロゾフ」が英字新聞に広告を掲載したのが始まりで、1970年代に、女性から男性にチョコレートを贈ることが広まったようです。
日本チョコレート・ココア協会も2月14日を「チョコレートの日」と制定し、日本では、バレンタインはチョコを持って女性が告白をする日ということが定着しました
最近では、友人に贈る「友チョコ」や自分への「ご褒美チョコ」など、愛の日ではなく、「チョコを食べる日」になっているようです
カカオは媚薬
愛の日に贈るチョコですが、チョコには、媚薬効果があるとかないとか。
これは、カカオに多く含まれるフェニルエチルアミン(phenylethylamine)が関わっているようです
フェニルエチルアミンは快楽や興奮をつかさどる「ドーパミン」や「ノルアドレナリン」ホルモンの放出を促し性的興奮や快感を誘発します
そのため「恋愛化学物質」とか「恋愛ホルモン」などよ呼ばれます
また、甘いものを摂ることで、「セロトニン」が増加します
セロトニンは「幸せホルモン」ともいわれ、精神の安定や心身をリラックスさせる効果があります。
歌にもなるほど、「チョコは恋の媚薬」というイメージは定着しているようです
古代ローマの恋の祭りが巡り巡ってチョコを贈る日となり、偶然なのか、そのチョコには媚薬効果があるというのは とても面白いことです
「バレンタインにチョコレートを」の仕掛け人は、ルペリカリア祭を知っていたのか?また、チョコの効果を知っていたのか?
分かりませんが、歴史のめぐり合わせというか、不思議な縁があるものだ
などと考えながら、チョコをお茶請けにお茶の時間をたのしみます
中国茶のしつらえ
チョコをお茶請けに
キリスト教の祝日や、西洋からきたチョコレートということで、洋のイメージが強いチョコですが、敢えて和の器で、チョコをたのしむしつらえにしました
幕末のころ、オランダ人をもてなして「しょくらとお」をかじるなら、こんな感じかなということで。
古い色絵の小皿と色絵の覗き猪口を茶杯にして、合わせたお茶は岩茶の夜来香
実はチョコとお茶のマリアージュはとても難しくて、いまだ、これといった組み合わせに出会えていません
ハイカカオのチョコには白茶が合うとか、ミルクチョコにはプーアール生茶が合うとか思ったこともありますが、、、
なので、ここは、なんとなく飲みたいお茶で、しつらえの雰囲気に合いそうなものを選びました