チャベリ買収秘話
2005年。入社直後に立ち上げたサービス。会社には丸3年在籍した。退社後も、業務委託という形でチャベリの管理人は続けた。3年目で同時接続者数2000〜3000名ぐらいだっただろうか。それだけ利用者がいるサービスの問い合わせ対応、通報対応を、本業とは別に、夜や休日に一人で対応しつつ、企画や開発のディレクションも全て一人。結構たいへんだったけど、我が子がすくすくと育って行くのを見ることができるのはものすごく幸せだったし、充実していた。
業務委託形式になってから約1年、色々あって委託契約を終了することになった。その際、チャベリの買収交渉を持ちかけた。2005年9月にサービスをはじめて、2009年5月に同時接続者数5000名を突破。その直後ぐらいの話。
流れ的には、交渉がうまく進みそうな気配も一瞬あったけれど、最終的に交渉決裂。断腸の思いでチャベリから離れた。会社としては、C向けサービスは事業方針から外れており、といってユーザー規模もそこそこあったので閉鎖という判断にはいたらず、基本放置しつつ、広告売上取れるだけ取ろうという判断になったようだった。
変わっていく我が子の姿を見るたびに、涙が出てきた。何も出来ない状態になった自分が悔しかった。
それから約7年ほど。転機が訪れた。
昔の上司であり、その時のチャベリの運営責任者から突然連絡が来た。
「チャベリ、閉鎖しようと思うんだけど、どうする?」
その時のユーザー数は、同時接続者数でいうと100名ちょっと。どれほど搾り取って、どれほどチャベリを愛してくれていた人たちが離れていったのか……。
事業としてはほとんど売上は見込めないのは分かりつつも、脳反射的に引き取らせてくださいと伝えた。買収に必要なお金は自分と、同じ時期にチャベリを育ててくれていたエンジニアの二人で出した。
幸い、自分の個人会社が残っていたので、会社名義で買収した。もちろんエンジニアにも会社にジョインしてもらった。個人会社はタイミング的に、特別な事業を持っておらず、チャベリ専用の会社として存続させることにした。
売上は雀の涙。会社を運営維持するのに最低限足りるかどうか。
買収以来ずっと、役員報酬はふたりとも0円で続けている。
子供を育てるのに親は贅沢してはいけない。何より、近くで観ていられる、自分たちの理想を自分たちの手で進められる。そこが喜びであり、幸せを感じられる。
2名の役員と、ごくごく少数の業務委託のメンバーで運営しているので、至らない点について、たくさんクレームも貰うけれど、それすらもありがたい。チャベリという存在を認識して、何かを感じてくれている人がいるということ。
二度目の買収交渉の話があるとは思っていなかったけど、そんな経緯で今に至ったチャベリでした。
今後どういう展開が待っているかわからないけれど、純粋にコミュニケーションを楽しめる匿名のリアルタイムチャットサービスは他にはほぼないのが現状。この文化は残したいし残すつもり。
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