モノゴトのミエカタ
確たる信念があってのポリシーのようなものであれば、それは不変であるべきだが、多くの場合、自分からの世界や世間の見え方であるとか、何かに対する考え方などというものは、どのような経験をしてきて、どのような環境経て今があるか、今がどのようなライフステージにあるのかなどによって、徐々に変化していくものだ。
年月を重ねても思考プロセスや感情のアウトプットが何ら変わることがないといったケースは、ある意味特殊な何の変化も起こり得ない環境に身を置き、同じ日常を繰り返し続けているような場合などであろうと思う。
自分自身を振り返る。
セルフマネジメントや啓発系などの書籍を読み、意図的に何か違いを取り入れようとすることはあっても、自己の本質の部分について「変えよう」と意識的に操作しようとしたはなかった。しかしながら、5年前、10年前、15年前……と、以前の自分の意識レベルに立ち戻ってみると、今この瞬間に同じことを見聞きしたとしても、おおよそ現在の自分のそれとはかけ離れたものになることは想像に難くない。
それは立場的なものでもあったり、現在の境遇的なものであったり、過去の成功や失敗に基づくものであったり、はたまた周囲の人間関係や親しい人やメディアなど他の方からの影響だったりもするだろう。
その是非はここでは論じることはない。変化前を否定もしなければ、特に変化後を讃美するつもりもない。ただ、無駄な人生を歩んでいるとも思わないので、変化後が完全に間違ってるとも考えない。
一つ言えるのは、普段は古いまま引き出しに眠ってはいるが、ふとした瞬間に「これがあなたのポリシーでしょう」と、にょきにょきと我が物顔であらわれ、自分の行動や思考に過大な影響を与えているようなものに関しては、速やかに、「これが自分の信念でありポリシーなのである」といったお墨付きを意図的に剥奪してみるべきだということだ。
自分の中の悪しきレガシーとでもいうべきか。
自戒の念も含めて。