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民謡の人がボイトレに通って声が変わった話

私は普段は沖縄民謡が専門ですが、沖縄民謡以外の音楽も大好きで、カラオケも大好きです。民謡以外の歌もカッコよく歌いたい!と思って、ボイトレ教室に約2年間通いました。
そこで劇的に声が変わり、結果的に民謡の歌い方も変わったので、その時のことを書いてみたいと思います。

民謡の歌い方しか知らない

私は10代から沖縄民謡を習っていたので、沖縄民謡の歌い方しか知りませんでした。Jポップもジャズも、ブルースも、ボサノバも、私が歌うと全部民謡になります。

リズム感がないのは自覚していましたが、それにしても民謡で声は出るはずなのに歌がサマにならないのはなぜだろうと思っていました。

自分では答えが見つからなかったので、民謡ではなく王道の歌い方というものをプロから学んでみたいと思い、ポップスのボーカルのためのボイトレに通ってみることにしました。

ボイトレの世界では劣等生

初めての課題曲は「涙そうそう」でした。沖縄曲、ラッキー!何度も歌っているし得意と言ってもいい。
自信満々で歌ったところ、意外にも先生の反応はなんともしぶいものでした。なぜ!?!?

そこで、今まで自分の発声は喉を締め付けて歌うものだったということを初めて知りました。
締め付ける歌い方のよくないところは、

  • 喉をいためやすい

    • 一番大きい問題点です。声帯に力を入れているので振動しづらくなる。声を出そうとすればするほど無理な力がかかって、故障につながります。

  • 違和感のある声

    • 極端な場合、ふざけて出した声や、ボイスチェンジャーを通した声みたいになります。民謡を聴き慣れるとわからなくなるので恐ろしい…

  • 表現力が狭まる

    • ずっと力が入った発声になるので、常に歌い方が平坦になります。

この気づきを得てから改めて沖縄民謡を聞き直してみると、

  • 男性はあまり喉を締め付けて歌わない

  • 女性が締めつけ発声のひとがかなり多い。特に古い音源ほど多い

  • 近年の若手の人は、民謡らしさも生かしながら、ポップスのボーカル寄りの締め付けない発声をする人も増えてきている。

ということを感じました。

沖縄民謡で女性が喉を締め付ける歌い方になりやすい理由

私なりに考えた仮説にすぎませんが、男性キーにあわせてきたからではないかと思っています。

沖縄民謡は元々男性のもの、女性がやると眉をひそめられるようなものだったそうです。大城美佐子さんのような、偉大な「わきまえない女性」たちが道を切り拓いてくださって、今私が民謡を歌えている、という歴史の経緯があります。

沖縄民謡が男性だけのものだった頃は、女性は入ってもユニゾンかお囃子で、基本的に男性キーに合わせることとなり、とんでもなく高い声を出さなければならなくなる。
女性がメインボーカルやソロで沖縄民謡を歌えるようになって、歌いやすいキーを選べるようになって、声の出し方が変わってきたのではないかと思っています。

伝統的な歌い方か、今風の歌い方か、どちらが良い、悪いというものではないと思います。
ただ、私の理想としているのは今風の歌い方のほうが近いのではないかと思い、歌い方を根本から変えることに決めました。

「涙そうそう」は今までの声の出し方のクセが出るので、むしろ歌っちゃだめ!禁止!になりました。ガーン。。。

ボイトレ教室で受けたトレーニング

ボーカル教室では、地声で出るギリギリのいちばん低い音で、喉を開けて太い声を出すトレーニングを時間かけてやりました。

聞いたことない自分の声を聴きました。最初は野太くてすごく違和感がありましたが、徐々に適度な締め方も注意深く加えていって、自分の好きな声に整えていくことができました。

締め付ける声はずっと力を入れている必要があるけど、基本が力の入っていない声だと、メリハリをつけることができます。
私は、自分の声がキンキンして味わいのない声だなぁというコンプレックスがずっとあったのですが、このトレーニングを経て、棘がなくて、自然体で優しい、理想と思える声に近づけた気がしました。

現在と今後

まだまだ直したいところは多いし、テクニックも身につけたいけれど、今はボイトレには通わず、YouTubeで発信してくださっている人のコンテンツから学んでいます。

理由は単純にレッスン料が高かったからです。個人レッスンのボイトレ教室だったので、なかなか大きい負担でした。
私はポップスを専門にするつもりではないのと、今は自分が学びたいものがピンポイントで見えてきて、必要なものを自分で取りに行って取捨選択した方がスピード感も出るのかなと思い、先生について習うことはストップしました。
裕福になったとしたら、また自分では突破できない課題がまた見えたら、ボイトレ教室通いを再開してみたいです。通い続けたらどんなふうに自分の声がさらに変わっていくのか、見てみたい気もします。

民謡もボーカルも、正規の教育をうけた人間ではないので、自分なりにいろんな手法をミックスしてきました。これからも試行錯誤して学んでいきたいと思います!


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