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オートバイのある風景 22 やっと出会えたSR

 息子のバイクデビューが着々と進む中、僕のバイク選びも進んでいた。バイク便を経営していた頃と違ってお小遣いの範囲内で、という制約があるのでバイク選びは一進一退していた。しかし乗りたいバイクを次々と乗り換えていた以前と比べ、一定の制約がある中でのバイク選びはこれはこれで楽しいものだった。
 その中でゼファー750、W650といった候補を押し退けSR(400or500)が最終候補となった。理由はいくつもあるけれど、SRは以前代車として乗った時の印象が良かった事、メンテナンスが自分の技量と設備の中でやり切る自信があった事、それから排気量や車格といったバイク界のヒエラルキーから外れた唯一無二の存在としてニュートラルに扱えそうなところだったと思う。
 ネットオークションをくまなくチェックしてなるべく地元で探していたのだが、排ガス規制後の個体は高年式で綺麗でも試乗してみるとやはりパンチに欠ける印象があり却下、その中でかなりの旧車マニアの方が出品していたSR400が最終候補となった。現車確認に伺うとガレージでは4速スポーツスターのミッションOHと並行してAJSのレストアが行われていた。この人なら信頼出来る、そう思いオークション最終日にパソコンに向かったところ、それ程競る事もなく1987年式、型式で言うと1JRのSR400を予算内で落札する事が出来た。
 このSRは当たりの個体で、当時から8年経った今でも僕の手元にあり、5万kmを超えたエンジンも車体もしっかりしていてノーマルからカフェレーサー、スクランブラーと姿を変えながら僕を楽しませてくれている。このSRを選んで本当に良かったと、今でもそう思っている。


現在のスクランブラー仕様

 話は戻るが息子と自分、ふたりのバイク探しを通してこの春僕がやった事が当時の日記に記されている。

・相模原までSRVを引き取りに行った。
・新しい帽子を買った。
・物置から工具類を引っ張り出した。
・孫を心配するお袋に「変な親だ」と怒られた。
・陸自と軽協に行き2台のナンバーを取った。
・そして2台で道路に出た。

これらのひとつひとつが相当に嬉しかったのだろう、箇条書きの文面の中にも息子と一緒にバイクに乗るという喜びが感じ取れる。
 いざ走り出すと納車整備を端折ったSRVはすぐに調子が悪くなってキャブのオーバーホールをする事になり、SRは配線がショートして危うく車両火災を起こし掛けたりとひと通りのトラブルを出し、その都度家の裏にあるカーポート下で夜中までバイクをいじるのが僕らの日課となった。

季節はまさに夏を迎えようとしていて、
夏、夜、バイク
を手に入れた僕らは少し遅れた青春の真っ只中にいた。



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