水シャワーという修行✴︎遊学日記week12@Oaxaca, México
3日前にはじめましてをした人の家のリビングで、ハンモックに乗ってゆらゆら揺れる。
6/30 tortilla が大きい
さて、今日から1ヶ月のOaxaca生活が始まる。
Oaxacaの1ヶ月滞在を決めたのは、誰に聞いても食に興味があるなら絶対にここ!と言われたから。そして7月に La Guelagetza というお祭りがある。お祭りに合わせてまち全体が盛り上がることを見込んで、この時期に滞在することにした。
1週間は Workaway を使って見つけたお家に滞在する。
Workaway は、お手伝いをする代わりに無料で滞在させてもらえるサービス。滞在先は一般の家庭から農家、ホステルなど、様々。場所によって手伝いをする内容も異なる。
Oaxaca のWorkaway はアメリカから移住してきて中心部で暮らすおじいちゃん、海沿いでホステルを営む家族、サステナブルな暮らしを目指して家を建設中のお兄さんなどなどがいた。自分の見たいもの、安全性、滞在期間などを考慮して選んだ。
返信率が80%とそこまで高くなかったのが懸念だったのだが、メッセージを送ってすぐに「是非来て!」との返信があった。おばさんと一緒に暮らす30歳前後のアーティストの女性がホスト。家の掃除やごはんづくり、庭の手入れなどをしてほしいとのことだった。
滞在先が決まったのは Oaxaca に行く2週間前ほど。滞在日程が決まっているなら、連絡は早ければ早いだけいい。今回は運良く早く返信がきたが、きっと全ホストが返信をくれるわけではないだろうから。ずっと語学学校に通ってホームステイをするか、Workawayをするか迷っていたら、ぎりぎりになってしまった。
「再来週わからないとかけっこう俺からしたら怖いけど頑張ってて偉い」
友人からの一言。わたしもちゃんと怖かったです笑
夜行バスで Oaxaca に着き、バスターミナルでしばらくの間ぼーっとしてからタクシーで家に向かう。バスターミナル付近は思っていたカラフルでかわいらしいOaxaca とは違って、雑多な田舎といった雰囲気だった。
家までの道がことごとく通行止めされていて、タクシーのお兄さんが警察に行き方をたびたび尋ねながら、無事家まで連れて行ってくれた。日曜日によくあることらしい。
家について、お家の案内と基本的な説明をうける。使わせていただくお部屋はカラフルにペイントされていてかわいらしいけど、ベッドのマットレスは猫のおしっこのしみだらけだった。
日曜日だから家の手伝いというよりかは、自分の使う部屋を使える状態にできたら好きに休んでいいよとのことだった。
マットレスのシミは結局全く落ちなかったけど、特に匂いもしないし、カバーをかければ問題なし。潔癖症だったらやっていけないんだろうな、と思った。お風呂に入る前と後でスリッパを変えるタイプだけど、潔癖症ではない。
移動に疲れてお昼寝をしていたら20:00になっていた。
夜ご飯はメキシコシティの1.5倍くらいの大きさのトルティーヤを使ったケサディーヤと野菜。
7/1 寒いから一杯
久々にストレッチから朝を始めた。
パソコンでnoteを開く。寝ぼけて打ったであろう無駄な5つの読点を消しながら、これからは1〜2週間おきにどこかを転々とすることに楽しみを覚えると同時にゾッとする。
滞在先は文房具屋さんを営んでいる。住宅街にある小売店なので、お客さんがたくさんくるわけでもないので、棚に入った商品はほこりをかぶっている。これらを掃除するのが今日のお仕事。
ゆるーっと今日のやることを終えた後、用事ついでにまちなかに一緒に行ってくれるとのこと。雨上がりで気温がぐっと下がっていた。
「Mezcal一杯飲む?寒いから暖まらなきゃね〜」
当たり前のように外出前にお酒を一杯誘ってくる彼女にびっくりした。
ちなみに mezcal はアガべというサボテンからできるメキシコの代表的なお酒。ものにもよるがアルコール度は35%くらい。ショットグラス1杯分をちびちびと飲んでから出発。たしかに少しぽかぽかした。
たくさん飲まない代わりに、毎日少しずつ飲むらしい。消化にいいからたくさん食べた後に飲んだり、喉にいいのか風邪を引いた時に飲んだり。
23時ごろにお家を出発して、一緒に暮らすおばさんのお友達のお葬式に参列した。
式が始まるまで、日本のお葬式について話していた。そもそもメキシコは土葬が基本なので、火葬なことから違うし、火葬後の骨上げについては不思議そうに聞いていた。お箸を使って骨を移すのはたしかに独特かもしれない。
7/2 新鮮さ
昨日の続きの作業。淡々と作業をこなす。
途中なんで今ここでこれをしているのか、という疑問にかられた。
日本を離れて2ヶ月と少しが経って、毎日続けているのは食べたものの記録と日記をつけること。もちろん新しい発見はあるけど、全部が新鮮だった日は過ぎ去った。一年の休学が劇的に自分を変えてくれる、なんてことは思っていないけど、これでいいのかなと、不安が体をぐるぐるしてきた。
じっとしていてもしょうがないと思って、17時ごろ、家を出てお散歩に出かける。
ようやく大体の人がお昼を食べ終わったぐらいの中途半端な時刻に家を出てしまった。最後のお客さんが帰って店じまいを始めようとしているお店にに滑り込みで入る。お目当ては Oaxaca 名物 tlayuda。
食べながら厨房を見ていると、masa(生地)を平べったくして何かを包んであげていた。食べ終わって何を作っているのか聞いてみたら、molote という食べ物を作っていた。中に詰めていたのはじゃがいもを辛く炒めたもの。興味津々そうにしていたら一ついただけた。
メキシコに来てから、大きさや厚さ、上に乗せるものがどんどん変わった tortilla の派生版を見てきたけど、ついには包んで揚げるかと masa の可能性をまた感じた。
やっぱりまだまだ発見だらけで、新鮮だ。
7/3 掃除機と洗濯機がない
昨日でお店のお掃除がひと段落して、お家のお掃除をした。
土足だし、空気を通すためにドアは基本的に空いているから、お家は砂がすぐにたまる。わたしが掃き掃除をして、ホストがモップ拭きをする。メキシコで掃除機を使っている家をまだ見ていない。土足文化の国では掃除機を使わないのかな。
それと洗濯機もないから洗濯物は手洗い。
日本食を作って欲しいと頼まれごとをした。いろいろ悩んだ結果作ったのはお好み焼き。全ての材料が近くの市場で手に入る。
小麦粉、卵、水、キャベツ、具。ふわふわの秘密、山芋の代わりにはすりおろしたズッキーニをいれた。クックパッド様!
おたふくソースはオイスターソース(なんでかもともと家にあった)、ケチャップ、砂糖を混ぜて再現。鰹節はおもしろいと思って日本から持ってきていた。
7/4 時短ごはん
ホストの彼女は今は木を使ってお仕事をしている。日本の彫刻刀を使っていた。
どこかに提出する、簡単なポートフォリオを作って欲しいと頼まれた。
カメラで作品の撮影をし、InDesignでポートフォリオをつくる。ものすごくおおざっぱなイメージしか伝えられず、困ったのだが、とりあえず作り始める。自分ではない誰かの作品をまとめるのはなんだか新鮮な気分で、わたしが作品を見てきゅんとしたポイントが伝われーと思いながらパソコンと向き合った。
カメラを肌身離さず持っていて、Adobeのいくつかのソフトを触っていてよかったなと思った。こうやって誰かの、そして自分の役にたつときがくるんだ。
この日のお昼ご飯は一緒に暮らすおばさんが作ってくれた。
おばさんはほぼ毎日、午前中に市場に行く。
フルーツや野菜などの食材を買う。それに加えて買うのは、お惣菜たち。
インゲン豆と玉ねぎの炒め物、唐辛子の炒め物。ビニール袋に入れてそれぞれ200円で売っている。これらを卵をいれて炒め直す。ケサディーヤと一緒にいただきます。
お惣菜屋さんは8:00~とか11:00~とか、売る人によって販売開始の時間が違うらしい。2時間もすれば売り切れる。近所の人はどこのお惣菜屋さんが何時に売り始めるのか把握している。日曜日の品揃えが一番豊富らしい。
0から料理をするのはやっぱり大変だし、合理的だなと思った。
でも少し意外だった。市場で買ってきた新鮮な食材を毎食調理するのかなと想像していた。ばりばりに働くビジネスマンが暮らす地域じゃないから、家のことに時間をかけるのかと思っていたのだ。
実はおばさんは、アメリカ産のサプリを販売するお仕事をしていて、思えば毎日外出していて忙しそうである。おばさんだけじゃなくて、この地域で暮らす他の人々もきっとお惣菜をうまく使って、他のことに当てる時間を作っている。
ここで意外と思った自分、そしてそれに気がつけた自分、どちらもいい感度だ。
7/5 できそこないのお寿司
このお家はシャワーが水しかでない。夜寒くなってから入る勇気がなくなり、朝に入るのがここ最近の流れ。
お水では落ち切らない皮脂なのか、冷たさに負けて熱心に頭を洗えていないのか、お風呂に入っても髪の毛が全体的にぎとぎと、ぎしぎししている。基本的に髪は結うからいいのだけれど、なんだか気持ち悪い。
旅の中で出会いたくないのは水シャワーだし、旅の中で一番恋しいのは湯船である。文字にして書き出したらどんどん日本のお風呂に入りたくなってきてしまった。
むずむずして写真の明るさを最後に調節してポートフォリオを完成させた。
このお家にはよく姪っ子ちゃんが遊びにくる。11歳にしては背が高く、大人っぽい子。オリエンタルなご飯が好きらしく、お好み焼きの受けもよかったので、日本食を一緒につくるという頼まれごとをした。
リクエストはお寿司。
前日に日本米、すし酢を買っておいた。海苔は売ってなかったし、姪っ子ちゃんが嫌いみたいで、今回挑戦するのは海苔なし手巻き寿司。当日の午前中、おばさんがサーモンとエビを買ってきてくれた。
ご飯を圧力鍋で炊き、酢飯を作り、具材を切って、早速巻き始める。日本から持ってきたミニ巻き簀を使って巻き巻き。
メキシコでは sushi empanizado といって、「寿司揚げ」が sushi の定番である。巻き寿司に卵とパン粉をつけて揚げるのだ。姪っ子ちゃんのリクエストが入ったため、半分はそのまま、半分は揚げることにした。寿司への冒涜、、と心を痛めながら揚げた。
結論としては、sushi empanizado の方が上手くいった。
お米が少しパラパラしていたこと、海苔なしだったこと、この二つが重なって、切ろうとしたそばからポロポロと崩れていってしまったのだ。パン粉をつけてあげた方は、衣にホールドされて綺麗に切れた。そして味もおいしい。でもわたしが慣れ親しんだお寿司を伝えられず、悔しい。
7/6 餃子とビール
朝ごはんは、フルーツにヨーグルトとナッツをかけておばさんと一緒に食べた。おばさんはいつも淡々とお話をしてくれる。この日はナッツの入手先。
Zaachila という村で木曜日に行われる青空市で買うらしい。家からは車で30分くらい。生のまま売られていたり、煎られて売られていたり、殻つきだったり、綺麗さっぱり全部むかれていたり、自分の好きな形で手に入る。基本的には500g単位。ここではおいしいコーヒー豆も売っているらしい。
もうそろそろなくなってきたから行かなきゃ、そう話してくれた。
スーパーに行けば毎日売っているナッツ。それでも、木曜日の午前中に Zaachila に行って買うのが彼女にとっては都合がいいのだろう。
Oaxaca州では、毎日どこかしらの村で青空市が開かれている。村によって、特産品が違うのだろう。早く行きたい。
今日は餃子を作った。皮からつくるから時間がかかるけど、自信をもって作れる日本食。今回はお肉をあまり食べないこの家族のために、豆腐とキャベツが餡のビーガン餃子。
「ビール飲みたくなるね」と言ったおばさんにわたしはびっくりした。餃子とビールのセットは世界でも通用する。
そんなおばさんは「お米もいいけど、パンと食べたくなるね」と、餃子とパンを食べていた。そういえばお好み焼きもトルティーヤと食べていた。絶対に白いお米でしょ!!
7/7 出発予定だった日
本当は昼頃に Oaxaca 州を離れて、車を5時間ほど走らせて山を越えた Istmo 州に行く予定だった。いろいろあって予定が頓挫し、水曜日までこのお家にいさせてもらうことになった。ありがたい。
ホストのお友達とその3歳の娘さんが来ていて、一緒に遊んだ。なんでも ¿Que es eso?(これなに?) と聞いてくる。なになに期、世界共通だ。
日曜日はお手伝いお休みデーなのでまったりした。初めてリメンバーミーを見た。
死者の日は Oaxaca に戻ってきたい。
手洗い洗濯、食べても食べても減らないマンゴー、水シャワー、カカオと砂糖とシナモンで作ったチョコレート、「普通」の生活。