pan de melón✴︎遊学日記week2@CDMX, México
わたしをとりまくあらゆるものが新しい。
新しいことがあらゆる場所にてんでばらばらに落ちていくように感じる。
落ちていくものを全て拾うことは今のわたしには難しくて、でもどれを選んで並べていけばいいのか、検討もつかない。
大きな不安の波に飲み込まれてしまいそうになった一週間だった。
4/23
◯Vancouver International Airport
しっかり予定をたてないまま出国しているので、ほとんどのチケットをぎりぎりに取っている。つまり、メキシコからいつ・どこへ移動するのか、大体の見当をつけているだけでまだ決まっていない。メキシコでいい繋がりがあればいいな、なんて楽観的に過ごしているわけだが、国をまたぐのはそんなに簡単にはいかないので、これだと壁にぶち当たる。
結構な国が出国時に、第三国もしくは母国へ帰る航空券を必要としてくる。何も聞かれずにぽんっと出れる国もあるけど、今回は例に漏れず出国の航空券を見せてとカウンターで言われた。
無駄なお金は発生させたくないから、事前に色々調べていた(その時間があるならいろいろ予定立てればどうかな、わたし)。
日本語だとあまり出てこないけど、'onward ticket'とか'dummy ticket'で調べると色々情報が出てくる。
そんなこんなでペルー行きのダミーチケットを事前に獲得してカウンターで見せたら、「ペルーから日本までのチケットも必要だね」と言われた。
ふぁ!
後々考えたら、多分、メキシコは第三国行きのチケットがあれば入国できるけど、ペルーは母国行きのチケットがないと入国できないから、こうなったんだなと納得した。
渋々ペルーから日本までのダミーチケットをその場で購入した。早朝から焦った。
◯Aeropuerto Internacional de la Ciudad de México
初Aero México。
バービーを見るも、不具合でスペイン語しか見れず、ニュアンスのみ感じ取った。
機内食はたくさんお菓子がついていて残しておこうと思ったけど、いつの間にか全部食べてた。
イミグレも荷物受け取りもすんなりいき、予想の2時間くらい早くゲートから出られた。ホストファミリーが車で空港に迎えに来てくれるまで、ベンチでぼーっとした。
◯車窓から
メキシコで大統領選挙を含め大小さまざまな選挙が6/2に行われる。
まちが候補者のポスターで溢れている。
道路脇に並ぶ該当にずらっと並ぶ同じ顔、橋の手すりにかけられた大きな横断幕、道路から見えるLED電光掲示板に映る大きな顔。
小さな選挙区の人も大々的に通りをポスターで占拠している、この光景に市民はうんざりしている。
印刷代がもったいない。ポスターは選挙が終わっても貼りっぱなしで後のことを考えていない。
○ホストファミリー宅
お家ツアーをしてもらった。
一番楽しみにしていた冷蔵庫、やっぱり楽しかった。
冷蔵庫の中に包むものがたーくさん。
・100%コーンのtortilla
・小麦とコーンが混ざったtortilla
・サボテン(nopale)が混ざったtortilla
・ 唐辛子が混ざったtortilla
・クレープ
・ピタパン
お昼ご飯を食べた後のおやつタイム。
しょっぱいものの後の甘いものは全世界共通だよね〜と思ってたら、メキシコは少し違った。
なんでも辛くしたがる。
日本でスイカに塩を振る感覚で、メキシコではフルーツや野菜にtajinという甘い+しょっぱい+辛いパウダーをかける。
日本で塩飴があるみたいに、メキシコにあるのがキャンディー×チリパウダー。
複雑な味がした。わたしは甘いとしょっぱいで十分。辛いはいらなかった。
4/24
○chopeo pan de melón
朝早く目が覚めてぼーっとしていると、仕事前のホストファザーが朝ごはんを作ってくれた。
スクランブルエッグはchorizo入り。メキシコっぽい!
そしてこの甘いパン!ほぼメロンパン!
conchaといって、メキシコの菓子パンでは王道。スーパーでも売ってるし、レストランでも食べれる。小学生のころ、パンを食べるとなったら絶対メロンパンだったわたしからすると、嬉しい再会である。
この日のおもしろい言葉。
前日にスーパーで買ったconchaを食べると言ったら、ホストファザーがわざわざミキサーで牛乳とチョコレートを混ぜてchocolateを作ってくれた。
浸して食べるのがおいしいらしい。
そしてこの動作を表す造語まであるのだ!
CHOPEAR: to dip in chocolate/チョコレートに浸す(動詞)
SOPEAR: to dip/浸す(動詞)から派生してできた造語らしい。なんて素敵な言葉!!
○お買い物
食材(特に野菜)の値段はスーパーの仕入れ量と売値に結構左右されるらしい。
jitomate(赤いトマト)は、この日は$31.8/kgだったけど、安いときは$15/kgで買えるらしい(ちなみに$1≒¥9)。
4/25
○まるで手巻き寿司、可能性無限大
お昼ご飯に食べたtostadas。
tortillaをパリパリに焼いたのをtostadasという。
のせるものはなんでも。チキンや、ビーフ、ポーク、マグロのマリネ、などなど可能性は無限大。
自分で好きなだけ具材をのせて作るのが、手巻き寿司みたいだなと思った。
これを家族に伝えると、「例えとして出てくるのはやっぱり日本食なんだね」と姉から一言。たしかに、生春巻きとかではなく、手巻き寿司だった。
ちなみに、下に引くお豆、frijoresは冷蔵庫に必ず入ってるものらしい。
サルサソースの辛さがクリーミーなお豆でまろやかになる。めちゃめちゃ重要な存在。翌朝はパンの上にfrijoresとチーズを載せたものを朝ご飯に食べた。もちろんサルサをかけて!
4/26
○mole:チョコレート入りソース
お昼ご飯にはじめましてをしたmole。
moleはいろんなものをすりつぶして煮込んだソースの総称。材料が異なる色違いのmoleがいくつか存在する。緑とかオレンジとか。
この日のmoleはmole poblano。いくつかの種類のチリとスパイス、チョコレートなどいろいろ混ぜて煮込んで作られる、moleの中でも王道っぽいもの。
これをtortillaでチキンを巻いたenmoladaにかけて食べた。最初は甘みと酸味が感じられ、あとから辛さがくる。この辛さが結構あとを引く。そしておいしい!
ちなみにtortillaもいくつか色違いがいる。赤とか青黒いのとか。
コーンの色の違いで色違いができるのだが、最近は着色料が使われているものもあるらしい。伝統的な食べ物から、ファンシーな見た目だけ抽出されて再現される。なんだか残念な話。
○タコスにもルールがある
タコスは挟むものによって色んな種類があるのだが(メキシコ人もきっといくつあるかは知らない)、決められた時間にしか食べれないタコスが存在するらしい。複雑だったので、今度また勉強しなきゃだ。
ホストシスターとその彼氏とおしゃべりをしていた時、「昔は3つで$6(550円くらい)だったタコスも、今では$10(900円くらい)になっちゃったよ」と言っていた。学校帰りのおやつとして気軽に食べていたタコスも物価上昇の影響を受けているらしい。
○「拙さ」は儚いものであると信じて
さて、食べ物意外の生活がどうなっていたかというと、かなりくらっていた。
ホストファミリーの話していることが1/4もわからないのだ。一文の中で2単語くらい拾えたとしても、想像力だけでは補えずに、呪文が右から左へと流れていくようだった。
スペイン語を聞いたり話したりする時のわたしの頭は、基本的に英語を介している(気がする)。伝えたいことのスペイン語訳が出てこず、そのまま英語を話すという、何しに来たんだ状態が生じていた。ホストファミリーが英語がペラペラなのもあって、全然英語でコミュニケーションが成立する。意思疎通ができない辛さはないけど、かなり悔しい、苦しい。
今しかないこの「拙さ」はいつかなくなるもの。「できない」というこの状態をいつか「儚い」ものとして捉えられるように、日々精進したい。
4/27
○chillな時間
ホストブラザーが先生をしている陶芸教室に連れて行ってもらった。
パティオがついたかわいい建物の屋上にある教室。ろくろを回してお皿を作らせてもらったり、手でこねてお着物を作らせてもらった。as you like, it's an experimentって好きなようにやらせてくれた。
教室がない時間はみんな好きなように作品を作っている。本当にみんな自由につくっていた。心が宿っていそうなモンスターだったり、くねくねのコップだったり。
作りながらビールを飲んだ。
メキシコでは遊びに出かけたりするときは、caguamaと呼ばれる1L瓶のビールを買ってみんなでシェアするらしい。chillだね〜ってホストブラザーの彼女さんと話していた。
○メキシコ人の不満
メキシコシティの物価や地価上昇には少なからず外国人が関係していて、メキシコ人のアメリカ人に対する不満は結構大きそう。
聞いて理解した範囲と、少し調べた範囲でしか書けないけれど、一度ここに残しておく。
聞いたこと
・アメリカ人達が移住してくると周辺の地価が上がる。
・辛さを外国人に合わせるために、当たり前のようにかかっていたサルサソースは自分でかける店が多くなった。
・メキシコ北部のビーチリゾートで、伝統的に行われてきたバンド(結構大きな音でビーチで演奏するらしい)が主なリゾート客であるアメリカ人の苦情によって禁止された。長い歴史をもつものが観光客の要望で禁止されるなんておかしいし、嫌なら来なければいいのに。
・地方のリゾート地において公共の展望台がアメリカ人団体客によって占拠された。メキシコ人の小学生の女の子がアメリカ人のおばさまに訴えかけている動画がtiktokでバズったらしい。公共の空間をなんだと思ってるんだ。
・アメリカ人を揶揄して呼ぶときにgringoという
少し調べたこと
・ビーチリゾートの話
Mazatlanというメキシコ北部で起きた話。
バンドはもともとビーチを歩きながら演奏をし(かなり爆音で)、人々からお金をもらっていた。メキシコの伝統的な音楽おヨーロッパの影響を受けているもので、modern Mexican traditionであるといえる。
ビーチリゾートで静かに、ゆったり日没を眺めたい外国人観光客の不満や要望(カナダ人やアメリカ人が多いらしい)で、一部のホテルが演奏できる時間や場所を制限した。
これに対する反応は人によって様々で、伝統を禁止するなんて信じられない、音楽にルールを儲けるなんて、や、やっと落ち着いて過ごせる、などなど。バンドマンたちは演奏で生計を立てているのもあり反対運動が起こり、ホテルオーナーや街の代表との話し合いが行われ、11:00〜19:00が演奏可能な時間に指定された。双方納得という結果なんだと思う。
バンドの音楽が嫌ならその土地を選ばなきゃいいのはごもっともな意見だけど、「伝統」を末長く残していくには変わっていく時代に合わせて少しずつ「伝統」自体も形を変えなければいけないことを実感した。
①https://www.foxnews.com/world/beach-bands-mexico-allowed-continue-playing-music-after-complaints-threatened-end-noise
②https://mexiconewsdaily.com/culture/the-battle-over-banda-music-heats-up-on-the-beaches-of-mazatlan/
・gringoという言葉について
gringoはもともとアメリカ大陸に住む人々、スペイン語を全く話さないラテンアメリカの先住民、白人の人々、など複数の意味を持つ。100%ネガティブな言葉ではなさそうだ。
ただ、少なくともこの話をしてくれた人は今の状況をあまり良いとは思っていなかったし、gringoという言葉をネガティブならニュアンスで使っていた。
日本で使われる「外人」という言葉と似たような言葉なのかな、と思った。何も気にせず使う人もいれば、少し含みを持たせて使う人もいる。そしてどちらにせよ使われた方は、その言葉の背景を知っていたらいい気分ではない。
色々つっこんだことも話してくれる人が周りにいることが、とてもありがたい。
4/28
○リッチなストリート
土日の朝ごはんは外で買ってきたり、外に食べに行ったりすることが多い。
Plancoという日本でいう表参道みたいな高級エリアに朝ごはんを食べに来た。どのお店も混雑している。
この日のごはんはcrepa de huitlacoche gratinada。
huitlacocheの歴史
Plancoはちょうどflower weekで、どのお店も店頭を植物で飾り立てていた。カラフル。歩いている人はお金と時間に余裕がありそうな人ばかりで、ゆったりしたときが流れていた。
Plancoはアメリカ人やイスラエル人、日本人などの外国人が多く住む場所で、地価がものすごく高くなっているらしい。
二人部屋で住めるサイズのアパートの一室を借りるのに$70000/monthもする。
平均的だと(ホストブラザーカップルのお家)$10000/monthくらい。
Planco以外にも外国人が多く住む地域は地価の上昇が激しく、メキシコ人が住めなくなってきていると嘆かれている。「おしゃれ」なカフェやレストランが立ち並ぶ地域はたまに遊びに行くにはいいけど、好きにはなれないと話すホストファミリー。
たかが1週間、されど1週間。
生活に慣れてきたときに見える景色はどんなだろう。