【ネタバレ有】宝塚歌劇『CITY HUNTER』-盗まれたXYZ-を見た原作ファンの感想

ネタバレありの宝塚歌劇初見である、しがないシティーハンターファンの感想。(情報量が多くまだ少し混乱している)
☆千穐楽LIVEビューイング一回目

■各キャラクターについて

○冴羽獠
冴羽獠の頭身って八頭身を超えていて現実離れしているのに、あの脚の長さと頭身が再現されていたことに感動!!
獠 の香への態度の再現度が良かった。
宝塚版は、香への態度がちょっと優しくなるのかな?と予想していたらいい意味で裏切られた笑
それどころか、原作より香への想いが不器用に感じた。これはかなり驚いた。
(私は)原作の獠ほど不器用なのはいないと思ってたのでその上を行くとは…
獠は自分の気持ちを基本言わないので、台詞以外の背中や態度で表現する彩風さんの演技が印象的。
ミックや海坊主、槇村 はみんな獠と親友ではあるけどそれぞれ関係性が異なるので、それがちゃんと三者三様に表現されていて各コンビ見ていて楽しかった。

○槇村香
原作より男言葉が多めで、初期の香っぽい。
外見が可愛らしい感じなのでギャップがあってこういう香も良いなと思わせてくれる。
応援したくなる健気さがある。朝月さんの一挙手一投足がとにかく可愛い。
そして何よりハンマーの使い方が上手い笑
ハンマーの文字が都度変わっていたのが原作リスペクトのギミックとして良い。

○ミック・エンジェル
原作でも屈指の人気キャラだが原作の後半にしか出て来ないのでアニメや実写化では基本描かれない。
そんなミックが満を持しして登場!朝美さんのミック見られるだけでも舞台化した意味があったと思う。
獠しか考えられない香を、振り向かせられるんじゃないかと思える圧倒的ビジュアル。
ビジュアルだけではなく、ミックのスマートな優しさ、ライバルキャラなんだけど憎めない感じを上手く演じられてて素晴らしかった。

○槇村秀幸(推し)
容姿は冴えないという設定なので、綺羅びやかで美しいタカラジェンヌがどうやって…と思ったが、ちゃんと立ち姿まで槇村だった。
綾さん凄い……
槇村は見えないが実は実力者であるという設定は本当に大事なのでそこをちゃんと描写してくれてありがとうございます!!!!!
亡くなっていつものように退場かと思いきや、まさかの亡霊で解説役!最初どういう気持ちで見たらいいか悩んだが、原作でもギャグで亡霊として登場したことがあるからまぁいいか笑
獠を誰よりも認めている一方で、不器用さを理解し、香のことと同じくらい獠を心配している部分が好きで、本作は存分にそういうところが描かれていたと思う。

槇村秀幸は良いぞ…

○海坊主
ビジュアル面MVP。海坊主を演じられるタカラジェンヌがいるとは…
よくぞ登場させてくれた。
あれだけ、細身な縣さんなのに舞台ではガタイのいい大男見えるから不思議。CGでも使ってる????
寡黙だから難しい役どころだが、優しく頼りがいがあるところがちゃんと出ていた。
サングラスで顔が見えないのを逆手に取ってサングラス外しでファンサービスとギャグを同時に行ってしまうのは感心した笑

○野上冴子
一番原作のキャラクターに近い演技で脱帽もの。セクシーで、品があって、芯がある冴子だった。
宝塚でシティーハンターをと聞いたとき、さぞ美しい冴子が拝めるんだろうなと思ったが、それを想像以上の形で実現してくれた。
制服姿も可愛かった。ずっと見ていたい。

○その他キャラクター
北尾…大抵原作通りには描かれない男(アニメでは存在を消される)で、宝塚でもそうなった笑
原作では槇村と容姿が似ている設定なので、改変は納得。

美樹…北尾を除くと、一番性格の改変があったのが美樹。
海坊主にスイーパー辞めてとは絶対言わないだろう女性なのでその言動には正直びっくり…

野上警視総監(野上三姉妹父)…想像の十倍活躍していた笑

■宇都宮乙の依頼

原作第一話の依頼人岩崎めぐみの話がベースになっている。
獠と海原との親子関係があるからこそ、獠の豊への言葉に重みが出る。

■アルマ王女の護衛依頼

アルマ王女の中身は女子大生依頼人、片岡優子。
屋上のエピソードはアルマ王女のエピソードで、新宿プライベート・アイズでもオマージュされた印象深いシーン。
原作を知っているが故に、サリナの裏切りには驚いた。

■獠と海原

オリジナル要素が多かったが、非常によく纏まっていた。
(色々原作との違いを書いているが、原作のエッセンスにさえ忠実であれば表現は問わないと思っている)
獠の海原に抱く愛と尊敬と悲しみが描かれていたので満足度が高かった。
海原の役者さんが予定と変わったと聞いていたが完璧に仕上げてきた夏美さんにただただ拍手。

■獠と香とミック

獠と香の関係で考えれば、ミック編と銀狐編がベースになっている。
ミックが、獠と香の味方でふたりを大切に思っていて、ちょっと損しちゃう役回りがもう好きだ。
アルマ王女が攫われて、それを理由にパートナー失格と香に告げる獠には違和感があるが…突き放してミックの元に香を行かせる流れはエピソードを上手く組み合わせて自然で良かった。
また、自分の手で自分のミスを取り返そうとするのは銀狐編の香らしいエピソード。

獠がミックに香を渡す契約をするのは原作と真逆の展開。原作では、自分と同じ裏社会の人間であるミックに香は渡さないと明言している。
(獠は、表社会に戻って暮らすのが香の一番の幸せと考えていたから)

■香の敵討ち問題

香が槇村の敵討ちをするシーン。原作ファンが一番気になっただろう部分で、私も北条先生が台本チェックされていると聞いていたので一番の衝撃がそこだった。
香の手を汚させないというのは原作でかなり拘ってた(と思われる)設定なので何故?というのが正直な感想。
香の銃の照準を狂わせてでも香に殺しはして欲しくないと思っていた獠。
そしてそれは槇村も一緒。獠曰く『そんなこと(人を殺めること)させたら死んだ槇村にとり殺されちまう』
香の手を汚させたくないという獠の想いが「甘すぎる」と美樹にも非難されるけど最後まで曲げなかったシティーハンター根底の設定。
だから、香の身を守るためとは言え、香が人を殺めるのを結果として手助けしてしまう槇村や、香が発砲しなきゃいけない状況にまで追い込んで守れなかった獠には違和感を覚えてしまった。
香の手を汚させないというのは、裏社会に引き込んでしまった香への獠の愛の形でもある…
原作初期でも香に槇村の影が重なって発砲するシーンはあるが、あくまで香が槇村の銃を使っていたので冴子視点でそのように見えたというのと、結局香の銃弾は外れてる。(当てたのは獠)
このシーンのオマージュなのは分かったが本作では香の銃弾が当たっているように見受けられる。

とは言っても私は一回しか見ていないので、その解釈はおかしいぞという場合や、実は撃ったのは獠かミックで香ではないという場合はどなたか教えて下さい(切実)

■好きな部分

アニメの主題歌の使い所がどれも非常に良かった。
香の歌う、初代OP『City Hunter~愛よ消えないで~』や皆大好き『Get Wild』は、エンディングで皆使いたくなるけど中盤に使うのも格好良いなと思った。
なんと言っても獠がミックと香を見送る時の『STILL LOVE HER』(シティーハンター2のED)の使い所が一番良かった。
『Get Wild』 とは違って、シティーハンターのために作られた楽曲ではないが、この瞬間間違いなく冴羽獠のための曲になっていた。(TM NETWORKは神)
こんなに獠 の心境とマッチしたことある?というレベルで合ってる。
"STILL LOVE HER(まだ彼女を愛してる)"というタイトルと"想いが伝えられなかった" "君を離さなかった"という歌詞が獠の想いと重なって、それを獠が歌っている。一番感情移入したシーン。

更に『STILL LOVE HER』の歌詞に即して、ラストシーンがクリスマスイブ(12月)なのがなんとも粋である。

■小ネタについて(正直ほとんど追えてない…)

・映像演出
どれも面白かった。原作者:北条先生のキャラ登場に思わずにっこり。

・ミニクーパーのナンバー
原作1919(自主規制)/ アニメ版3298(ミニクーパー)/宝塚版 0326(獠の誕生日)
香が決めた獠の誕生日で二人が初めて出会った日でもある。
これを獠があえて自分の車のナンバーにしたことを思うと幸せ。

・キャッツアイ登場
北条先生の連載デビュー作。新宿プライベート・アイズでも登場したが本作にも登場するとは…

・自白剤
フランス版実写シティーハンターネタ。自白剤が原因で敵内部でトラブルが発生する展開も同じ。

・ホトトギス
原作最終エピソードで登場する美樹のウェディングブーケに使われた花。
獠が香に気づかれないように襟につけ、(偶然を装って)香に渡した。(作者公式設定)
花言葉は『永遠にあなたのもの』

・実写映像→原作の獠と香の扉絵
アニメシティーハンター2のエンディング映像はアニメーションと実写を組み合わせている。
そしてそのエンディングで使用されている扉絵が本作でも使用されて感慨深い。

■脚本、全体について

あれだけの登場キャラクターたちを90分に納めて動かしていたのは本当に凄い。
ただ、詰め込み感は確かにあった。シティーハンターは本来登場人物少なくて成立してしまう作品だから余計にそう感じてしまうのかもしれない。
今回は舞台化なのでなるべく多くキャスティングしなければならない事情なのは、十分理解できる。

キャラクターの再現度は各演者さん自身の中に落とし込んでいてプロの凄さを改めて感じた。

シリアス3割(2割でもいいくらい)、コメディ7割がシティーハンターだと思っているのでコメディ要素を多めに作ってくれてそこは感謝しかない。

最初、原作の名シーン詰め合わせになるかな?と思ったら単純にそういう感じでもなかった。
絶対入るだろうなと思ったシーンで入ってないものもあった。
本作は、原作の獠と香の重要シーンは意外にもそこまでは多くは登場していないので、原作も読むと新たな発見があり、より楽しめる。
原作未読の方は原作も読んでください!!!!

獠と香が、ただふたり一緒にいるという結論を出し、この街でふたりこれからも生きていくのがとてもシティーハンターらしいラストだと思った。

FOREVER,CITY HUNTER!!

最後に

お披露目公演という大切な公演にシティーハンターを選んでくださってありがとうございました。
東京公演が無事開催されますように!

正直まだ見きれていなくて、見落としや考察が浅いので2回目を見てアップデートしたいです。

今回はライブビューイングでの観劇でしたが、生で拝見できるのを楽しみにしています。あの非日常感に包まれると思うと今から自分がどんな気持ちになるか分からずちょっと怖くすらあります。

以上。


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