争いの果てに
現在放送中のギーツ冬映画に龍騎参戦と聞いた瞬間に目眩がしたアラサージャニオタです。こんにちは。
いま必死にYouTubeの無料配信で龍騎を追ってるところだったので……まあこれありきで配信してたんだろうけど……20周年ってすごいっすね。ありがたいようなしんどいような。
そこでリュウガというまだテレビ版には出てきてないライダーが出てくるようでしたので、出演を調べたところ映画版に登場したライダーとのことで。
龍騎の映画はタイトルにEPISODE FINALとあるので、すっかり今の放送ペースで言う「夏映画」的な位置付けだと思ってたんですけど、こちらも夏休みに公開されてたので当時の放送ペースだと「FINAL」どころかまだ中盤。
公開初日は29話の2日前。
つまりタイムベント回の直後がこの映画。
とはいえこれは夏休みに子どもが見て楽しい映画じゃないと思う。辛すぎる。
龍騎すごい作品だなあってほんとに思います。
時は遡り………どころかなんと設定は夏休み映画にもかかわらず翌年の2月。先に進むなんとなく珍しいパターン。
この日付が実際テレビ版が終わるころと考えると、タイムベントで作り出されたテレビ版の世界とは違う、並行世界の中でのライダーバトルの結末なのかなと思った。
「タイムベント」は時間が巻き戻ってるという解釈をされている印象だが、発動されたらチェックポイントからやり直しなんだけど、別の世界線に移動して、同じタイミングから新しく時間が進んでいくイメージなのかなって個人的には思ってる。元の世界線とは別に。
だから今回の映画もどこかでタイムベントが発動して発生したテレビ版とは別の世界線みたいな感じなのかなと個人的には解釈。しかしテレビ版でこの世界はやり直しが聞くという設定が出てからこの映画が公開されるの上手いなあ。
まあだからといって、展開が気に入らないからって気軽に世界線新しく作らないで欲しいんだけど神崎士郎。設定上は何度もタイムベントしてるらしいし……
そんなわけで冬。寒い。暗い。なんだか画面がずっとうっすら暗い。物語が進んでいくにつれてどんどん暗くなる。
もちろん20年前の作品だからネタバレに溢れてるし、わたしも一応断片的にはテレビ版の結末を知ってしまってるのですが、当時はこの先の話がまったく分からない状態でみんなこの映画見たはずなので、戸惑ったのでは?と思ったり。わたしはシンプルに困惑した。全容が見えてこなかったバトルの本当の目的や優衣ちゃんの秘密が明かされていったから。テレビ版の真司くんや蓮くんがこの事実を知っていく過程をこれから見ていくと思うと、考えただけで気が重い。。。
劇場版で初登場のライダーは2人。2人というかなんというか。
美穂ちゃんは「浅倉を倒したい、姉の仇を討ちたい」と特定のライダーに対して明確な殺意がある初めての登場人物だったのでは。他の皆さんはバトルに勝ち残りたいという気持ちはあっても、いまのところ個人に対してそういう感情を抱く人はいなかったかなと。ただ、最後の6人まで勝ち残ったってこともありモンスター戦も強いし、変身後が白基調とかもわりと珍しい?羽を舞わせながら華麗に戦う女性初のライダーということでテレビ版出てたらめっちゃ人気だったと思う。
遊園地で龍騎のデッキ取り上げたあとどうしようと思ってたかはわかんないけど(取り上げられたらどうなるんだろう?契約モンスターに食べられちゃう?)最後の思い出づくりだったのかな。
デート楽しかったんじゃないかな。
出会った時からバカっぽくてドジですぐ騙せそうだけど、まっすぐで間違ったことは大嫌いで。ちょっと羨ましかったんじゃないかな、なんて。ジェットコースター苦手なのも可愛いとか思ってそう。その気持ちわかります。でも真司くんファイナルベントまあまあな高さまで飛び上がって宙返りしてるけどそれは大丈夫なんですか?最後は真司くんには何も言わず、靴紐を結んであげてたのは強がりというか、心配かけたくなかったのかなあって。真司くんは自分のことを心配してくれてたから。全く同じ姿の彼とは違って。少しの間だけどやっぱり真司くんって他人を変えれる人なのだ。ま、ちょっと強引だけどね
そんな美穂ちゃんの仇である浅倉を呆気ないほどの一撃で倒したのがリュウガ。正体は鏡の世界の真司くん(型ミラーモンスターみたいなことかと思ったけどその辺の掘り下げはこれからも無いのかな?そんなこと言ったら神崎士郎もある意味ミラーモンスターやないか?)。
現実世界の真司くんがあまりに光属性すぎて、鏡写しのリュウガは闇の部分を全部引き受けていってあんな感じになるのかなあ。本体が絶対に思わないことを思うし、やらないことをやる感じ。美穂ちゃんを素手で殺ろうとした時は本当にゾッとした。攻撃自体はライダーの姿でしか行われてこなかったし、鏡の中の世界ということでバトル自体も現実のお話じゃないとなんとなく感じてたけど、このシーンで久しぶりにこのバトルは「殺し合い」だって強烈に思わされた。
真司くんの願いはここまでの展開でイマイチ言語化されてこなかったし、核心は本人にも掴みきれてないかもだけど、「誰も死んで欲しくない」っていうめちゃめちゃ単純で当たり前のことなんだろうなあ。助けたいとか戦い止めたいとか戦いたくないとかいう気持ちも根源的にここに行き着くと思う
優衣ちゃんの命がかかった戦いと知っても、自分が勝ち残って助けたいという気持ちが真っ先にわかなかったのは、その為に自分含め他の命を犠牲にできるかどうかに悩むからなんだろうなあ。蓮くんみたいに割り切れない(いやあいつも結局割りきれてないか)
ただ、このバトルのきっかけを作ってしまったのは自分かと知ったタイミングでリュウガが現れたから拒否しきれなかったのかなあ。相変わらずこのシナリオは主人公に鬼畜すぎる。
美穂ちゃん退場あたりから泣きすぎてもはや細かいこと覚えきれてないんだけど(もう1回見返す気力もない)、なんなら、ああこれ真司くんの昔話と繋がるんだと思い始めてから泣いてたかも
死を選んだ優衣ちゃんと途方に暮れる蓮くんを見て、リュウガから抜け出した龍騎との一騎打ちはライダーの姿ではあるけど、シンプルな打撃戦で見てるこっちが痛いほどで。アドベントで呼び出されたドラグブラッカーに追い詰められた龍騎を助けにくるかのようにドラグレッダーくんが勝手に出てくるところは胸熱なんだけど、もう辛い悲しいが勝ってしまって。
真司くんはライダー相手に基本ソードかガード以外ほとんど出さないけど、たぶん初めて放つファイナルベントだった
もどってきた真司くん泣いてたし……
こんなテンションで倒したリュウガ気軽に後輩ライダーの世界に持ち込むんか?という気持ちすらある。まあこれまでにも何度か蘇ってるっぽい?けど
泣いてるのを見て真司くんと確信する蓮くんもまた……時間経過考えたら約2年一緒だった優衣ちゃんを失うのは、耐え難いだろうな……恵里さんと優衣ちゃんどっちか選べって言われたらキツい
最後は決着をつけることが果たして必要なのか、もはや空はミラーモンスターで埋め尽くされて外はディストピアと化してるし、バトルの目的である優衣ちゃんもいないし神崎士郎もたぶんもう消えてしまった
いつお互いが最後に残って殺し合わなければいけないかわからない世界の中で、いがみあいながらもずっと一緒に戦って、お互いを友と呼び、お互いに死ぬなよって言えるくらいになってしまった蓮と真司
2人は最後どうなったかわかんない感じにされてるけど、まあ………地上に無事に降りたとは思えない
たぶんこのバトルの数ある世界線の中で1番絶望的な終わり方をした世界なんだと思った
仮面ライダーってどんな形であれ「戦い」を描いた作品ではあるけど、この作品がシリーズ通して伝えたいことって「戦うことは良いことでは無い」ってことなのかなってちょっと思ってる
27話で生意気なちびっ子に真司くんが言った「お前は絶対誰とも戦ったりするなよ」ってのも大きなメッセージだったなと思う。スポンサー的にはおもちゃ売れなくてダメかもしれないけど笑 でも子どもにそう思ってもらう方が大事だよね
争いは争いしか生まず、あとには何も残らない
ただ、テレビ版は最悪のバッドエンドを迎えてしまう前に、何ができるのか、何をしなくてはいけないのか選択肢があるといいな。ほんの少しだけでいいから救いが欲しい。選択肢と時間の猶予がある分、真司くんは悩むと思うけど、絶対に答えを自分で見つける人だから…辛いけど見守りたい
お読みくださった方、ありがとうございました。