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ファーストタトゥーを入れる

 2021年夏、初めてファッションタトゥーを入れた。 痛かった?何が不便?などはよく質問されるけど、それはみんな一緒だから。私は何で入れることにしたのか、シェアしたいと思う。

 もともと私もタトゥーは「親からもらった体に、傷をつけるなんて!」みたいな、世間のお手本にはなれない人たちのものというガチガチのイメージを持っていた。ファッションタトゥーはかわいいけど、いつか堅い会社に転職することになるかもしれないし自分がタトゥーを入れるなんてありえないと思っていた。それから数年で、海外旅行中や、東京ではフッションタトゥーを目にすることがかなり多くなり「いつか(未定)欲しいな」と思っていた。それがついに「入れよう!」に変わったのはハネムーンで行ったニュージーランドで。きっかけは3つある。

 ニュージーランドまで成田から直行便で約10時間。着陸した飛行機を降りて空港内を歩いている最中に通った待合室に、スキンヘッドで頭部全部にタトゥーが入っている人がいた。衝撃だった。頭部だけじゃない、頬や唇、顎まで、頭全部につながった文様のような青緑色のタトゥーが入っていた。旅行の間にあれはマオリ民族の伝統的な文様であるということを学んだ。観光客用に用意されているマオリ族ステージで、私たちはHAKA(ラグビーの試合前にやるあれ)も見た。それぞれのステータス・結婚などによって、タトゥーを入れる場所に決まりがあるらしく、文様は日本でいう家紋のように同じものはないというようなことを英語で解説していた(ので私の英語力であっているかどうかはあれですけど)。とにかく、マオリ族のタトゥーを大事にしている姿勢を見て、素敵だなと思った。それが一つ目の理由。顔に入れるつもりはないけどね。

 そして、ニュージーランド人のほとんどにタトゥーが入っていた。マオリ族ではないいわゆるニュージーランドの人も、マオリの影響なのかみんなタトゥーを持っていた。ショーウインドウに飾られているサンタさんのイラストにさえ、腕にいくつかタトゥーが入っていた。街を歩いていてもタトゥーショップがたくさん目に入った。そんなわけで、ロード・オブ・ザ・リングのロケ地ツアーに参加したときも、スタッフが「ロード・オブ・ザ・リングのタトゥー入ってる人いるー?」という話題をしていたくらいだった。#lotrtattoo(ロード・オブ・ザ・リングのタトゥーの意味)で調べるとものすごい数の写真がヒットする。世界レベルで、ロード・オブ・ザ・リングのファンだと言いたいのなら、タトゥーを入れるところはまだスタートラインだ、と思った。それが2つ目のきっかけ。ファンである証明にタトゥーが欲しい!

ニュージーランド旅行中に出会ったタトゥーたち。左下がパフォーマンス中のマオリ族。


 というわけで、モチーフはロード・オブ・ザ・リング関連のいくつかに絞られた。12歳のときからずっと好きな作品だから、今更嫌いになることもないし、一生体に入れるならこれしかないと思った。これが3つ目のきっかけ。後悔しないモチーフに出会えること。最初のタトゥーが意味のないものだなんて人は少ないと思う。自信を持てるモチーフを見つけられるかまでが長い。

好きすぎて、聖地ニュージーランドで、ロード・オブ・ザ・リングのロケ地巡りをしました。


 私が入れたタトゥーはロード・オブ・ザ・リングに出て来るゴンドールという国の国旗だ。ここで映画のストーリーを長く語るつもりはないが、私は社会人になってから、このゴンドールのファラミアという人の考え方にすごく救われて来た。世界で起きていることの全部を見渡すことはできず、自分が大きな流れの一部分であることしかわからない。自分のやることで、世界の運命が変わるかもしれない。そんなときに、目先の利益に囚われず、人を信じて正義だと思う方を選ぶ。こういう考え方だ。自分の仕事も大きなプロジェクトの中でどの立ち位置なのかわからないまま動くことがあるし、良いと思ったけど上の人に疎まれたり、正直体力の限界ですみたいなときがある。そういうときに、個人の欲望でなくて、プロジェクト全部のために良いことをしているのか、または会社全部のためになる発言をしているか。そんな考えるときに、私の中ではファラミアを思い浮かべるとまぁ少しは頑張れますってなもんで。いつだって腕にあったらいいなと思った。自分からも相手からも見える場所に入れた。首の後ろとかもかわいいけど、自分から見えないからやめた。

 ラッキーなことに、ずっとインスタで見ていた韓国人のアーティストにタトゥーを入れてもらうことができた。当日、お店でフランス人のアーティストが「あなたが今から入れるタトゥー、ロード・オブ・ザ・リングでしょ?」と言ってニコニコしていた。そしてその人が担当していたオランダ人男性(すでにタトゥーがたくさん入っていた)に「あなたはロード・オブ・ザ・リングのタトゥーある?」と聞いた。男性はTシャツの袖をまくって指輪のモチーフのタトゥーを見せてくれた。え、タトゥー入れてる人、みんなロード・オブ・ザ・リングファンなの?と言いたくなるような確率で笑う。良い体験だなったな。

これが私のファーストタトゥー。ゴンドールの民となりました。

 ちなみにタトゥーは入れるつもりないけど、理解を深めたいと言う人におすすめのコンテンツがある。YouTubeのVOGUE JAPANにある「20歳の女の子が人生初のタトゥーに挑戦。| NEVER TRIED | VOGUE JAPAN」という動画だ。私のように初めてタトゥーを入れる女の子の話なのだが、アーティスト含め、愛に溢れていて優しい雰囲気が良い。Netflixの「タトゥーお助け隊」というシリーズもおすすめだ。こっちは逆に変なタトゥーに後悔してる人たちが、上からタトゥーを入れ直してもらう(カバータトゥーと言う)というバラエティムードの番組。タトゥーに免疫がなくても、どちらも楽しめるコンテンツだ。


 タトゥーが入っていて一番嬉しいのは、これでいつロード・オブ・ザ・リング関係者、ファンの人に会っても、語学力なしでファンだということが証明できることである。どんな妄想をしてるんだかって感じですけど、いつかその日は来るつもり!つくづくオタクのラブパワーって強いですね。

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