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ライゾマティクス_マルティプレックス【芸術レビュー】

清澄白河にある東京都現代美術館(MOT)で3月20日から6月20日まで開かれているrhizomatiks(ライゾマティクス)の個展に行ってきた。

ライゾマティクス(以下、ライゾマと表記)は、設立以来、常に人とテクノロジーの関係を探求しています。世界的に活躍するアーティストであるビョーク、スクエアプッシャー、Perfume、ELEVENPLAY、狂言師・野村萬斎や研究者らとのコラボレーションに加え、多様な視覚化や問題提起型のプロジェクトを通して、技術と表現の新しい可能性を追求してきました。斬新なインパクトを持つその時間/空間的表現は、国際的に高い評価を得ています。本展は、ライゾマの美術館における初の大規模個展となります。オンライン上にもハイブリッドに展開する新作やアーカイブを通して、絶え間なく変化する世界と同期する彼らの卓越した試みを複合的(=multiplex)に呈示します。(公式ページより)

個人的には、大学生時代にハマっていたPerfumeのライブに参戦した時から、ステージ演出を担当していたライゾマティクスを知った。(当時は地元に近い大阪の公演に留まらず、東京、和歌山、広島への遠征も重ねていた)
先進的な技術を駆使したダイナミックな演出が、Perfumeというアーティストの近未来的な世界観、キャッチーなテクノポップサウンド、息のあったダンスパフォーマンスと相まって、唯一無二の空間を作り出している様の虜になった。

新技術をフル活用してアーティストの身体パフォーマンスと接続したり、バーチャルとリアルを往来するインスタレーションに応用したり、社会への問題提起としての不可視な事象のデータ可視化に挑んだりと、技術の活かし方がとてもクリエイティブで、「よくこんなものを発想して実装できるな!!」と唸るばかりだった。人類がまだ見たことのないデジタルとアナログの交錯する世界を生み出し続けられるのは本物のプロフェッショナルだと思う。

中庭には衛星によって現在地を測位できる機械が自動操縦されていて、ランダムな時刻に人工衛星に向かってレーザーを放つ仕掛けになっていた。お昼間に行ったのでレーザー照射は見ることができなかった。陽が落ちてから美術館に行くと見られるだろう。

作品制作中の失敗ばかりを集めたメイキング動画「Trial and Error」が放映されていた。ドローンの墜落発火、急に部品が発火して小さな爆発が起こる身を張った実験の様子が記録されている。画面横には「欲しいのは偶然の成功ではなく、失敗の原因です。」と真鍋大度氏の言葉が壁に書かれていた。こうやって作品の舞台裏を見られるのはファンとして嬉しいし、見せられるライゾマのカルチャーも素晴らしいと思う。
作品に使われている技術(プログラミング言語やフレームワーク)も紹介されていて、ソフトウェアエンジニアとして刺激になった。おこがましいけど自分もかっこいい作品作ってみたい。

Perfumeのライブ映像や実際に使われた衣装の一部分、小道具も陳列されていた。それらにも試行錯誤のあとがしっかりと現れていて、自分自身もこれからトライ&エラーを繰り返して成長していきたいと感じた。

お昼頃に会場へ入ったのだが、ちょうど会場を出た14時ごろには入り口で長い入場者の列が。注目度の高さを象徴していた。興味のある方はお早めに是非。


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