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C38 価値ある労働者とは?

小さな業務改善ではありますが、収穫改善の効果は高いはずです。喜びにひたる暇もなく、次のトレーを準備しなければなりません。トーマスがシートを渡し、高く積んである収穫用のトレーにシートを敷き、収穫口から果実を適当に取り分けて、次のトレーに平らに敷きます。振り返ると、まだセットしてあるトレーは一杯になっていなかったので、もう一枚トーマスからシートを取ってもらい、もう一段下のトレーにもビニールを敷きました。これで、次の2回分のトレーの準備が完了しました。

手元の作業に先が見えてくると、今度は足元のぐちゃぐちゃにつぶれて汚いブラックカーラントの残骸が気になりました。皆は足でつぶれた実を隅にどけながら自分の足場を確保していましたが、果汁でトレーラーの床が濡れて長靴が滑りやすくなっています。私は自前の靴だったので、茶色の革靴に紫色の果汁が飛び散り、水玉の模様がついていました。

前もってシートを敷くことで、収穫のトレー入替えの時間に余裕が出てきたので、少しずつ時間を利用して、手近にあったチリトリで足元のゴミを集め始めました。と言っても、掃き集めたブラックカーラントの残骸をトレーラーの後部から掃き出すだけなのですが…。それでも私たちの作業当番が終わるころには、それなりに床もきれいになって、気持ちよく次のチームに引き継ぐことができました。

次のチームも私たちがやっていた方法が参考になって、いわゆる「中村方式」で無駄なく作業が進むようになりました。みな作業に余裕が出て、ビートルズの「オブラディ・オブラダ」なんかを合唱しながら、昼までの作業を快調に進めました。

私たちの番が終わり、ホッとして後ろを振り返るとつまらなそうに作業をしているジェームズの姿が目に入りました。相変わらずのろのろと落ちている枝を拾う姿は余計に疲れているように見えました。農場で働くということは大変な作業も伴いますが、ほんの少しの心の持ち方次第で充実した一日を過ごすことができます。ジェームズという反面教師がそのことをよく教えてくれました。

別に自慢するつもりはありませんが、楽に働くと楽しく働くでは、労働の意味がずいぶん違うと思います。今は自分の作業で手がいっぱいだから、ジェームズの面倒までは見る余裕もないのですが、彼がその意味に気がついてくれればいいのになと思いながら、ブラックカーラントの収穫作業は続きました。


補足情報:価値ある労働者とはどのようなことか

価値ある労働者とは、単に業務をこなすだけでなく、自らの仕事に対して積極的に取り組み、改善策を考え出し、実行できる人のことを指します。例えば、作業中に問題点を発見し、それを解決するためのアイディアを提案し実行することで、作業効率が上がり、全体の業務改善につながることがあります。

また、価値ある労働者は、チーム全体の士気を高める役割も果たします。自らが前向きに取り組む姿勢を見せることで、他のメンバーにも良い影響を与え、職場の雰囲気を良くすることができます。これは単に自分の業務に集中するだけでは得られない成果です。

さらに、価値ある労働者は、自己成長を続ける意欲を持っています。新しいスキルや知識を習得し続けることで、自分自身の市場価値を高めるだけでなく、組織全体の成長にも貢献します。

総じて、価値ある労働者とは、自己の業務に対する責任感を持ち、積極的に問題解決に取り組み、チーム全体の士気を高め、自己成長を続ける姿勢を持つ人と言えます。このような労働者がいることで、職場全体がより良い方向に進むことができるのです。

続く…


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