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違う世界を覗き見する〜②大工編〜

ニート中、全く違う世界も見てみたいと思い、職業訓練的なところで大工さんの世界を学びに行ったことがある。

看護師には、大工さんの世界は、全く関係ないと思われるかもしれない。しかし、訪問看護の仕事をするようになったら家や住宅とは密接な関係があることを知った。
介護事業の中で住宅改修事業をしている事業所もあるくらい。
だからといって、大工さんの勉強をかじりに行く人はあまりいないことはうすうす気づいている・・・。
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この半年間の学びの中では、CAD(コンピューター支援設計・一般的にパソコン上で機械部品や建築物の設計・製図などを行うソフト)や建築一般的な座学、実技が含まれていた。足場も組んだし、なんならフォークリフトの免許まで取った。
何かの時に一生に一回くらい「あ、私、運転できますよぉ」とか言っちゃって、お役に立てたらいいなぁ。
そんなシーン、私にはあまりなさそうだけど。今は、フォークリフトの免許を持っているってだけで笑ってもらえるので、その時のネタでしか使うことがない。


CADは、3ヶ月間学んだけど私には難しかった!
ただ、3DのCADソフトを使った世界は、想像力が膨らみ、お人形さん遊びが大好きだった子供の頃を思い出してテンションが上がった。
自分が選んだ屋根、壁、部屋の間取り、壁紙、ドア、玄関アプローチ、植栽など全てその3DのCADの中で表現できるのだから。
でもきっと建築の世界って、そういう理想的な生活の夢を形にしていく仕事なのだろうと思う。

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そして、あとの3ヶ月は、座学やみんなで実際に小屋を建てたり、壁紙を張ったりした。
ノミ、カンナ、金槌、丸ノコ、ノコギリ、タッカー、水平器、墨壺、電動ドリル…など沢山の道具を使った。名前も忘れてしまったけどマニアックな機械も沢山あった。

大工さんが建ててくれた家に御世話になっていながらほんとに何も知らずに住んでたなぁと反省した。
柱一本を作るのにこんなにも大変だったのかと驚いた。
「柱に足が向けて寝られない!」と言いながらもどこかの柱には足を向けて寝なければならないわけだけど。

・・・・・・

木が、森の中で枝や葉っぱをつけていた時、彼らは太陽の光の方向へと成長していく。
だから 木の断面をみると、太陽の光が沢山あたる南側の年輪は幅が広いと言われている。
木は、切ってからも息をしているという人もいる。
何十年先も見越して、乾燥や湿気なども考えながら向きや特徴を間違えずに適切に使わなくてはならない。大工さんたちにとっては当たり前のことなのだろうけど、知らない私にとっては、そんなことも新鮮に感じられた。

私は、手が器用な方ではないので、ノコギリ一つとっても、そう簡単ではなかった。
墨付けした線通りにノコギリを引くだけ!って言うけど、簡単ではない。
自慢じゃないけどハムですらまっすぐ切れないのに。

大雑把人間の私は、1ミリくらいの差は、気にしない生活を送ってきている。でもこの世界は、この1ミリでも大切。
雑なせいで、うまく柱がつなげなかった。
墨付けも難しかった。大工さんの墨付けは一発で迷いがないから綺麗にパシッと一発でつく。
とにかく大工さんたちは、丁寧な作業の積み重ね。
カンナの仕上げもここまでこだわるのかと驚いた。

そして、他の仕事にも通ずるところだけど、大工道具の手入れが仕事にひびいてくる。
カンナの角度も何度直したことか。
私も手入れの真似事をして、ノコギリの刃にオイルをつけた。
道具を大切に手入れしている自分のことをなんかいいじゃん!と思った。

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住宅のことを学ぶ時間も結構あったけど、火災や地震などの災害から守るために道路と家の距離などの取り決めや家自体の地震に耐え得る壁量計算の必要性なども。

今までは、光が少ないなら窓を沢山作ればいい!くらいにしか思ってなかった。
ちょっとだけかじった私は、そんな単純じゃないぞ!ってことくらいは分かるようになった。

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私の職業が活きた授業もあった。
麻痺がある人のリフォームを考えるという授業もあり、これは、想像力全開となりワクワクした。
手すりの位置や車椅子が回れる廊下のサイズやら玄関アプローチのスロープの角度だったり。
家の周りに使うのは、麻痺の方の足元が滑らないように雨が降った後でも大丈夫なようにインターロッキングにするなど、全体像を絵を描き、色鉛筆で色を塗った。麻痺の人と家族の人たちが喜んでくれそうな絵が出来上がった。

家が建つ迄には、大工さんだけじゃなく、実に多くの人が関わっている。
測量の実習もあったけど道路でよく見かける測量士さん。なるほどこういうことをされていたのねと、改めて知る。

CADを教えてくれた先生は、住宅展示場に行くのが趣味らしい。
この屋根の勾配は、どれくらいなのかなぁとか思うらしい。

私も屋根を学んだ後に住宅街でさまざまな屋根を見て、お!この屋根は、切妻屋根!お!これは、寄棟屋根!とか言っていた。
神社に行くと今まで関心のなかった屋根の内側をみてしまう。


最近の家は、サイディングもステキなのが沢山あり、サイディング一つで家の外観のセンスも大きく変わってくる。

この違った世界をみせてもらったことで、色々な家を見るのが楽しい。
仕事で訪問したお宅が、ちょっと面白い家だと、ついつい、こだわりを聞いてしまう。聞いてみたらやはり大概、ご家族や建築士さんのステキな思いやストーリーが詰まっていることが多い。

違う世界を覗かせてもらって家という構造物を含めた生活ということにも視野を広げることが出来た。人生、無駄はないというけど・・・ほんとにそう。因みに患者様・お客様にも大工さんや建築業界の人はいらっしゃるわけで、話が盛り上がったのは言うまでもない。
人生一度きりなんだからいろんな世界を覗いてみたい。

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大切なものを覗かせてくれてありがとう。







ありがとうございます😭あなたがサポートしてくれた喜びを私もまたどなたかにお裾分けをさせて頂きます💕