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【クリエイター向け法律の話】契約書・著作権講座参加レポート

こんにちは!大阪・堀江のWebデザインスクール「クリエイターズファクトリー(以下CF)」のシロクマです。
今回はCFで法務に関するイベントが開催されたので、その参加レポートを書きたいと思います。

※クリエイターズファクトリーって何?と言う方は、こちらをご覧ください


概要

クリエイティブ業界はいろんな働き方の選択肢がある業界なのかなと思います。個人で仕事を請け負う人やチームで制作を行う人、正社員、派遣、業務委託、フリーランスなど、雇用形態もさまざま。
よくクリエイティブ界隈のXを見ていると、下記のようなトラブルで話題になってたりします。

・作品をパクられた
・クライアントと連絡がつかなくなった
・何度も修正をさせられた
・入稿後に間違いが見つかり損害賠償を請求された

万が一トラブルに巻き込まれたときのためにも、契約書や著作権の話はとても重要。これらの知識を少しでも知っておくのと知らないのとでは、雲泥の差であると感じます。クライアントと良好な関係を築くためにも、また、自分の身をしっかりと守るためにも、法律関係のことは頭に入れておくのがいいでしょう。
今回CFでは外部講師をお招きして、そういったクリエイター向けの法律講座を開催しました。

教室とオンラインで同時開催

ゲストは「デザイナー法務小僧」さん

デザイナー法務小僧さんは、クリエイティブ業界を対象にリーガルサポートをされている弁護士集団です。
前述の通り現代はクリエイターの働き方も様々で、会社を通さず個人でクライアントから仕事を請け負うケースも増えました。また、SNSの発達により、著作権などの問題で炎上するケースも増えています。そうしたトラブルに巻き込まれるクリエイターを守り、安心して活動ができるよう法務の面から支援されています

「クリエイターと法務の谷間」を解消し、その架け橋となることで、クリエイターが安心して活動できる環境を作り、社会における新たな価値創造に貢献したい。

デザイナー法務小僧Webサイトより

スピーカーとして弁護士の田島佑規さん宇根駿人さんにお越しいただきました。

講座のタイムテーブル

契約書(基本)+質疑応答→契約書(応用)+質疑応答→著作権+質疑応答

まずは契約書に関する基本的なお話を聞いた後、実際の契約書を一緒に読んでいき、最後に著作権に関するお話を聞きました。途中で受講生さんたちからの質問にも一つ一つ丁寧に答えていただきました。

教室組、かなり熱心にメモを取っていましたよ

契約書についての話

何かお仕事を受けるとき、あるいは依頼するとき、契約書があった方がいいのかな?でもなんかややこしそう!難しそう!めんどくさそう!という悩み。
まさにその辺りの皆の悩みが解消されるようなお話を聞くことができました。

・契約書を交わすべき場面

・規模・金額の大きさ
・相手方の性質(いつもの相手or初めての相手/業界内or外の人間)
・取引の性質・内容(定型的or新しい)

契約書を作った方がいいときというのは、いつも自分がしている仕事と比べてどうか、ということでしょうか。毎回やり取りしている相手と違い、新しいクライアントであったり、いつもより規模や金額が大きい案件というのは契約書があった方がよさようです。

話を聞くと契約書の効力って考えていた以上に発揮するのだなと。
いくら口約束をしていたことでも、契約書があればその通りに動かないといけないんですよね。

また、実は契約書がなくて口約束でも契約というのは成立するそうなのです。(しっかり効力があるのは知らなかった!)なので相手とのやり取り議事録(メールやLINE、チャット)を残して置くことは、非常に大切になってきます。

・契約書を作成するメリットとデメリットを理解しておく

では必ず契約書があればいいのか?というと、一概にそうとはいえないそうで。契約書を作るデメリットもあります。時間的コストがかかったり、クライアントから手間がかかるなら仕事を頼むのは辞めようと思われたり。
ケース・バイ・ケースで契約書を作る必要性を考えるのが大事ですね。

・雛形を持っておく

何かあったときのために雛形を持っておくと便利そうです。
相手から提示された契約書の内容がよくわからないときは、きちんと声にあげましょう。内容によっては修正依頼することも恐れなくて大丈夫。

受講生のみなさんも疑問に思うことがたくさん!

著作権についての話

何が著作権侵害にあたるかどうかの図解がわかりやすかったです。
そもそもどんなものに対して著作権というものが発生するのか?などの基準も細かく教えていただき、勉強になりました。

法務小僧さんのスライドより

・著作権侵害が成立する場合

著作権侵害(いわゆるパクリ問題)は、「類似性」と「依拠性」の両方を満たすと成立するそうです。
著作権侵害は既存の著作物を実際「見た」かどうかがポイントになってくるそうです。世の中の著作物を全部見て作るのは当然ながら無理なので、偶然似た場合はセーフになるんですね。
そこで、自分が見てないことを証明するのに制作過程を記録しておくのが重要だとおっしゃっていました。ただ制作過程を示すのではなく、本当に制作時点で参照したのかわかるよう、保存した日時などもわかるようにするといいそうです。

肝に命じたこと

・渡された契約書には必ず目を通す

これまでも契約書を目にする機会はあったけど、なんとなくざっと見てきちんと意味を考えて来なかったように思います。しかし、仕事をする上で契約書の内容は本当に大事。トラブルを回避することにもなるし、後からもしトラブルが起きたとしても、こちら側が不利にならないようにするためです。
もし、相手から渡された契約書に疑問を抱いたならしっかりと伝えて、ときには修正をお願いすることも大切だと感じました。その方が最終的に、クライアントにとっても自分にとっても良い結果に繋がるのだと思います。

・フリー素材の定義を把握しておく

ネット上から簡単にダウンロードでき、手軽に使えるフリー素材。「フリー」の意味って実はそのサイトの規約によって様々。加工はOK?商用利用・二次利用は?どの範囲までなら使ってOK?
知らないままダウンロードしてWebサイトデザインに使ったものの、公開後に規約違反が見つかったら大変。タダより怖いものはない(?)と念頭において、使い方には十分気をつけたいと思いました。

・記録を残しておく

クライアントとのメールのやり取りもそうですし、自分が作ったデザイン過程もそうです。後で言った・言ってないや、パクリ疑惑が生じたときに記録は何よりも証拠になります。(論より証拠)
そして大事なのは記録を残すときには日時がわかるようにしておくことだと学びました。個人で仕事を請け負う際には意識したいことですね。

印象に残ったこと

・その契約書は双方にとっていい内容か

契約書を作成する際に、自分にとって有利になるものばかりではクライアントの信用を損ねることににもなりかねません。自分が譲れないところを明確にして、勝ちすぎないことが大事だとおっしゃっていたのが印象的でした。
契約書にめっちゃこだわっていては相手から(細かい人だな…頼みにくいな…)と思われては本末転倒ですし、こだわる部分はこだわって、妥協できる点は妥協する、メリハリも大事ですね。

・長期的に影響する部分はこだわってもいい

たとえばポートフォリオに実績を載せていいか承諾を取るということは、意外と大事です。なぜなら金銭面はその案件に対する一時的な報酬だとしても、ポートフォリオは今後の自分の営業活動において自分をアピールする大切な要素だからです。
一時的な損得ではなく、長期的な目線での利益を考えることも大切だと思いました。法務小僧さんが「想像力を膨らませて…」という言葉をしょっちゅうおっしゃっていたのですが、まさにその通りですね。

・安易に著作権侵害をネットなどで公表するのは危険

よくXを見ていると自分の制作物をパクられたや、クライアントとこんなトラブルがあったと呟いている人を見かけます。
しかし、著作権侵害になるかどうかは明確な線引きというのは非常に難しく、裁判官が判断するまでわからないそう。
もし簡単にXに書いてそれが逆にクライアントから「名誉毀損」で訴えられるだなんて可能性もありそうです。
SNSも安直に発言せず慎重にならなければいけないなと感じました。

・クライアントがわからない業界用語は使わない

たとえば制作したものを実績としてポートフォリオに載せたいなと思ったとき、私たちは当たり前のように「ポートフォリオ」と日常的に使いますが、クライアントからしたらなんのことかわからん場合もあるのです。
「ポートフォリオに作品を載せてもいいですか?」と相手に聞いたとすると、「(ポートフォリオ…?なんかよくわからないから怖いな…)ダメ」といったこともあるそうで。

改めてこちら側の当たり前は相手にとての当たり前ではいことを感じました。できるだけ相手の立場に寄り添った言葉遣いをすることを意識したいです。

・著作権法の意義

法務小僧さんがおっしゃっていた「著作権法とは、クリエイターを守るための法律でもあるが、同時に文化や芸術の発展に貢献するための法律」だという言葉が印象的でした。何事もバランス考えることが大事ですね。

著書『クリエイター六法』

最後になんと!法務小僧さんの著書である『クリエイター六法』を頂きました!!(ありがとうございます!)
クリエイターが知っておくべき法律内容や、こんなトラブルに合ったらどうする?といった内容が素人にもわかりやすい言葉で書かれています。

CFの教室に置いています!

本の内容の一部を紹介↓

・案件がクライアントの都合により途中でなくなった
・友達価格でやってと言われた
・何度も何度もやり直しをさせられている
・不採用のデザイン案が勝手に使われていることに気付いた
・他人の作品をパクったと誤解され、SNSに大量の誹謗中傷が届いている

『トラブル対策55クリエイター六法』より

もくじを見るとクリエイターなら日頃SNSで目にする問題ばかりで、こういうときはどうするんだろう?と気になることばかりですね。

中を開くとまず「事例」→「対応策」→「予防策」の順に書かれており、ワンポイントアドバイスまでついています。自分が気になる事例をもくじで見つけて、知りたい内容の結論をサッと見れるのがいいですね!
イラストもあり、オレンジカラーでメリハリあって読みやすいです。長々とした解説ではなく、平易な言葉で書いてくださっているのでありがたいです…!
クリエイターなら何かあったときや、トラブル予防に一家に一冊はおいておきたい本です。(CF生は教室に通える人は借りれますよ)

まとめ

今回は外部講師として法務小僧さんに来ていただき、Web制作やクリエイターにとって大切な契約書・著作権について教わりました。
法律関係って知っておいたほうがいいけどなかなか勉強する暇がない…つい目の前の仕事に追われてそっちのことは後回しになってしまう。契約書の意味をよく理解せずにサインをしてしまう…。ってあるあるだと思います。

今回はピンポイントでクリエイターが知っておくべき法律のことを知ることができ、また日々皆が抱いている疑問にも答えていただき大変勉強になりました。
CFは駆け出しの方や個人で仕事を請け負う方も多いので、内容としてはまさにぴったりだったと思います。

後から実際にそういう場面に直面したときに「そういえばあんなこと言ってたな〜」と思い出して役に立つこと間違いないでしょう。
法務小僧さん、ありがとうございした!
受講生の感想↓

最後までお読みいただき、ありがとうございました!

法務小僧さんのnoteWebサイト

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