【news解説】炭素繊維強化コンクリートの利用がドイツで加速
Carbon fiber-reinforced concrete accelerates in Germany
TU Dresden and C3 – Carbon Concrete Composite demonstrator aims to reduce concrete material use by 50% and CO2 emissions by up to 70%; Hitexbau touts high-volume automated production for carbon fiber textile grids.
- Composites World 2020/06/12
ドイツのドレスデン工科大学では、実際に炭素繊維強化コンクリートを使用した建築物のデモハウス「CUBE」に着工している。2021年春に完成する見込みで、これは実際に大学の建物として利用される予定だ。
本記事では、炭素繊維強化コンクリートのメリットとして以下の点が挙げられている。
コンクリート消費量の削減、及びコンクリート製造時に発生するCO2の削減
(コンクリート製造におけるCO2排出量は世界全体で6.5%)
高い強度により、構造上の信頼性や安全性の向上
これまでにない新たな建築的戦略、設計戦略の適応が可能となる
建築物の設計戦略が広がることで、芸術性を有する建築物の実現可能性が高まる。
ドレスデン工科大学と協力してきたHitexbau社では,すでに炭素繊維強化コンクリート用の格子グリッド構造の炭素繊維強化材料の生産設備の開発および製造ラインの確保に着手している。
国内での炭素繊維強化コンクリートの現状は、チョップドファイバー(短くカットされた繊維)をコンクリートに混練し固めたものや、コンクリート表層に連続炭素繊維を適応することによるコンクリート剥落防止対策や経年劣化したコンクリート修復に用いられることが多く、鉄筋の代替品としてCFRPロッドを適用する試みは研究段階にあるが実用化事例は未だ聞かない。
そのうえ、Hitexbau社の格子グリッドは曲面にも対応できるため、造型性に富むコンクリートとの相性が良いのも強みの一つである。
海外の展示会に参加すると必ず見かけるCFRPを骨格とした補強コンクリートは、凍結防止剤や沿岸域での腐食(塩害)を避けることができるため、耐用年数の向上やメンテナンスコストの削減が期待できる。また、軽量かつ高強度な建築材料を実現するこの技術は、うまく活用することで建築物の実現性(設計の自由度)向上に寄与するものであると思われる。