映画『すみっコぐらし とびだす絵本とひみつのコ』をおススメしたい理由
大人でも泣ける。
評判で目にするものは、たいてい好意的だった。
だが、私は、そういうことを求めているわけではないから、泣くハズはないだろうと考えたのだ。
可愛いすみっコたちを見ることができて、ほんわか和めたらそれでいいと思った。ストーリーとか、物語のコンセプトとか、そんなものを重要視していなかったのだ。
ところが私は大泣きしてしまった。すみっコという立ち位置の存在に、自分を投影してしまったのだろう。
すみっコたちは、いわゆる「脚光を浴びる」存在ではない。地味で目立たないことが存在意義とでもいうようなキャラクターたちだ。
そんなすみっコたちが、ひょんなことから絵本の中に迷い込み、物語の主人公を演じることになる。
物語の裏には物語がある。「それぞれが全く別の物語のようでありながら、それらは根っこで繋がっている」といいたげな場面展開。
他人との人生は、繋がっていなさそうで繋がっていて、かといって、「繋がっている」といいきれるほど強固な繋がりでもない。
そんなことを気づかせてくれる物語だ。
自分の立ち位置を受け入れている人はホンモノの優しさを持っている。
人生で感じてきた経験則をそのまま肯定してくれたようなエンディングにも共感できた。
すみっコたちは、「地味で目立たないこと」が存在意義。
そんな彼らの優しさが溢れるラストシーンをお見逃しなく。
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