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普通の地方公務員が、ある日突然システム担当になったら(開発設計編)

今回はシステム構築編(前編)です。

最初にすること

 調達が終了し、無事に契約を交わしたら、いよいよシステム開発に向けて進めていきますが、最初に次の点を確認しておきます。

①体制図
 システム事業者側の窓口担当者、開発責任者など開発体制が書かれた体制図を提出してもらいます。
 何かあった時は体制図の連絡先にメールや電話で連絡を取ることになります。

 最近では、発注者も含めたシステム開発に関わるメンバー内で、独自のコミュニケーションツールを使うこともあります。
 
②定例的に進捗会議を開催
 システム事業者のほうで、開発に向けて作業を進めていますが、発注者側は開発状況が見えないので、進捗状況を報告してもらったり、その時に抱えている課題をみんなで共有し解決していきます。

仕様の打合せ  

 システム事業者と打ち合わせを重ねて、システムの仕様を確定します。

 打ち合わせの中で、仕様を追加したいとか変更したいとか要望も出てきますが、この過程では、入札で提示した仕様書の業務要件(業務のやり方)の部分を修正することは不可能ではありません。
 システムのプロトタイプを見せてから、ユーザの意見を聞くやり方は、そもそも修正が入ることを見込んでいます。

 ・ウォーターフォール型
 ・プロトタイピング型
 ・アジャイル型
 など、いろんな開発方法がありますが、いずれの開発方法をとったとしても、仕様を凍結(確定)する時期がやってきます。
 その後の仕様変更はNGになります。

 仕様の変更をしようと思えばできますが、追加費用が発生しますし、納期に間に合わなくなります。
 ですから、仕様凍結の際は、システム事業者から「以降は変更できません」と、念押しされると思います。

 実際、システムが動き出してから、やっぱりこうすれば良かったと思うことはもちろんあると思います。

 ですが、例えば、
 上司から「資料を50部コピーして、ホッチキス止めをして」と言われ、
言われた通りに資料を綴じこみが終了し、家に帰ろうと思ったら、勤務時間外に、上司から「資料を1枚差し替えて」と言われたら、どうでしょう。
 一度終わった作業なのに、ホッチキスを外して、1枚差し替えて、またホッチキスで止める作業をしなければなりません。
 加えて残業手当が発生します。

 システム開発でも同じように、仕様を凍結した後に、仕様を変更すると、当然、人件費がかかるので、追加費用を請求をされます。
 新たに作業が増えているわけですから、納期までにシステムが完成しなくなります。

仕様を決めるときの注意点

①業者に丸投げをしない
 システムがわからないからといって、仕様決めをシステム業者に丸投げしてはいけません。
 システム事業者は、システムのプロであっても、業務のプロではありません。
 業務の流れは、業務の担当者しか決めれないからです。
 丸投げしてできたシステムは、だいたい発注者の意向と異なったり、使いにくいシステムが出来上がります。

 あとで、何でこんな使いにくいシステムを作ったんだというときは、だいたい発注者側が責任をもって仕様を決めず、システム事業者に丸投げしていることが多いです。

②一人で仕様を決めない
 丸投げができないなら、発注者側の誰かが仕様を決めなければなりません。
 ですが、一人で決めずに、必ず、上司や同僚やユーザー(実際にシステムを利用する人)を巻き込んでください。

 なぜかシステム担当が任命されると、上司や同僚は、担当者できて安心するのかシステムの仕事から離れていきます。
 その割に、システムが稼働した後で、使いにくいだの改修しろだの指摘をしてきます。
 あとで、上司や同僚にそう言わせないためにも最初から巻き込んでおきましょう。これが一番難しいかもしれませんが。

 また、実際使用するユーザーは、仕様を決める段階から必ず巻き込んでください。
 ユーザーの声はなかなか厳しいですが、その声を反映したシステムは、操作性がよくなり、使いやすくなります。
 また、稼働後のクレームが減ることになります。

 前にも書きましたが、システム稼働後にシステム改修するとお金が発生しますので、関係者は当初から巻き込んでおいて、問題点は早めにつぶしていきましょう。

③議事録に注意
 打ち合わせの議事録は、通常、調達時の仕様書で、システム事業者がつくるように仕様書で定めていることが多いので、だいたいシステム事業者が作成してます。

 仕様を決定したことが経緯を含め記録されていることになりますが、事業が書いた議事録をよく見ると、こちらと認識がずれていることが多々あります。

 後々、トラブルが起こった時、議事録を見ると、そこで決まっていたということもありますので、議事録は複数の目でよくよく確認を行ってください。

まとめ

 システムの仕様を、業務担当者が責任を持って決めることが、使えないシステムができあがるのを防ぐことになります。
 また、ユーザーの目線を入れることで、操作しやすいシステムが出来上がります。
 仕様を決めることができる体制を、発注者側がきちんと構築することが、いいシステムを作る肝になります。 

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