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【開催レポート:チャレンジフィールド北海道シンポジウム#8】ガストロノミックサイエンスが支える北海道の『食』
チャレンジフィールド北海道では、「チャレンジフィールド北海道シンポジウム」と題し、北海道内のさまざまな課題に対して関係者同士をつなぎ、イノベーションを創発するための場づくりを令和4年度から開始しました。
第8回目はテーマを「ガストロノミックサイエンスが支える北海道の『食』」として、11月24日(日)に北洋セミナーホールにて開催し、食品メーカー、食品材料メーカー、研究者、ショコラティエ、パティシエ、一般の方など70名以上の皆様にご参加いただきました。たくさんの方にご参加いただき、ありがとうございました。
イベント詳細
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ねらい
本シンポジウムは、北海道の食素材の魅力と可能性を、ガストロノミックサイエンスの視点から専門家の知見を分かりやすく共有するとともに、北海道ガストロノミックサイエンス研究会の多方面への認知度向上と札幌市等関連組織との関係強化を同時にはかることをねらいとして実施しました。さらに、今回は北海道フードフィルムフェスティバル(HFFF)での関連催事として実施しました。
内容
講演① 『北海道産素材からチョコレートを!~北海道の可能性~』(広島大学 名誉教授 佐藤 清隆 氏)
世界シェア6割を占める西アフリカのカカオが、異常気象と病害による価格高騰のため、代替チョコが必要とされている現状やその可能性についてわかやすい説明がありました。ホエイを酵素分解することで付加価値をつけるなど北海道の食材の可能性を感じる良い機会となりました。
講演② 『日本型ブラウンチーズについて ~北海道産乳清の新規活用~』(日本獣医生命科学大学 准教授 三浦 孝之 氏)
原料乳の重量9割を占めるホエイから作られるノルウェーの「ブラウンチーズ」を、消費者により受け入れられるよう酵素分解を利用して改良した日本型ブラウンチーズについて紹介がありました。チーズ生産者がご家族と一緒に聴講され質問もいただき、北海道産ホエイの活用についてより理解が深まりました。
オープンディスカッション『北海道の食材革新がもたらす未来の可能性を語ろう』
・広島大学 名誉教授 佐藤 清隆 氏
・日本獣医生命科学大学 准教授 三浦 孝之 氏
・ファシリテーター 札幌保健医療大学 客員教授 荒川 義人 氏
科学者と生産者、商品開発者、消費者が一堂に集ってよりよい議論や試行錯誤ができ、ガストロノミー活動らしい効果だと感じました。
参加者アンケートからは、両講演とも「非常に満足」との回答をいただきました。また、こうした講演に加えて実技や実習の実施に関するご意見もあり、本日オープン予定の「エア・ウォーターの森」キッチンラボでの活動にも展開していきそうです。
まとめ
今回、関係者の皆様から、北海道ガストロノミックサイエンス研究会への注目度がますます上がったことを実感した機会となりました。
またディスカッションを通じ、例えばカカオもチーズも「発酵」が重要な成立因子でありながら、2つの異同点を見出す作業もガストロノミックサイエンスの一部であると認識することができました。
こうした機会を、高度なサイエンスを現場に生かせるよう広めていく足がかりにしていきたいと考えています。
ちなみに…ごぼうチョコはごぼうの風味豊か、ブラウンチーズはキャラメルや生チョコに近い味わいでした!みなさんもお手に取る機会があればぜひご賞味ください。