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【開催レポート】サステナブルな地方創生を共創せよ ~北海道の“地域のリアル”に出会えるマッチングセミナー~

12月18日(水)、「サステナブルな地方創生を共創せよ」と題したマッチングセミナーを、東京の天王洲アイルにあるEZOHUB TOKYOにて開催しました。首都圏企業の方、自治体の方、大学生など約50名の方にご参加いただきました。
イベント詳細

ねらい

チャレンジフィールド北海道では、過去約4年間、道内機関と連携し地域課題解決を目的とした新事業創出支援を行ってきました。
その中で山田総括エリアコーディネーターを中心に北海道の各地に赴き、地域や次世代のためにと熱い想いをもって奔走する何名ものキーパーソンたちとお会いしてきました。こうした方々がもっと前進していくには何が必要か、私たちなりに思案していました。
一方で、さまざまな首都圏企業や産学融合アドバイザーの方々とコミュニケーションを重ねるなかで、北海道に当たり前に賦存する未利用資源や地域の一次情報が道外企業にとっては魅力あふれる可能性であることも耳にしてきました。
「地域のキーパーソンの抱えている課題や、地域にとっては当たり前になっていることが、首都圏企業にとってはビジネスチャンスと映るかもしれない。」そんな考えから、北海道のキーパーソンと首都圏企業をマッチングし、連携の検討を進めることで、新事業創生と地域課題解決による地方創生を目指すために、本イベントを開催しました。

内容

私たちが今回重視したことは、地域の実情や課題を知ってもらうだけでなく、「キーパーソンを知ってもらうこと」でした。地域にコトが起きるために必要なことは、ヒト・モノ・カネ・情報…いろいろありますが、「人とのつながり」がとても重要ではないかと考えています。「この人と一緒にいるとワクワクするからやっている」「人のご縁でここまできた」…そんな、決して論理的とは言えない個人の感情があってこそコトが起き、そして継続していく様子を多くの地域で見てきました。
私たちが今回登壇者としてオファーしたキーパーソンは、そんな「ワクワクする人」です。

【趣旨説明】
まず山田総括より、今回のイベントのねらいについて説明しました。

チャレンジフィールド北海道 山田総括エリアコーディネーター

また、会場のEZOHUB TOKYOインキュベーションマネージャーの小山さんより、会場のご紹介をいただきました。EZOHUB TOKYOは、「北海道の出島になる」ことを掲げ、北海道と他地域をつなぐだけでなく、新たなプロジェクト創出にも取り組まれており、今回のイベントには、告知や集客、企画の段階から様々なご協力をいただきました。

EZOHUB TOKYO 小山さん

【第一部:セミナー】
6名の登壇者より、地域の魅力や可能性、ご自身の取り組みについてプレゼンいただきました。

苫小牧市の山本さんは、山本浄化興業(株)の代表取締役として、清掃事業を運営しているだけでなく、地域活性化のための(一社)苫小牧マネジメントの理事として、まちづくりにも携わっておられます。
山本さんからは、苫小牧の工場地帯から排出される廃熱やホッキ貝など苫小牧を代表する産業からの未利用資源の活用、MICEの誘致と活用についてご紹介がありました。

苫小牧市 山本さん

帯広市の井田さんは、㈱いただきますカンパニーの代表取締役として、「農場ピクニック」や「アグリンピック」など、十勝の景観や農場をユニークに活用した観光事業をされています。
井田さんからは、都会の方の考える未利用資源は、実は現場ではきちんと利用されており未利用ではないこと、また同じ「農業」「観光」でも地域によって抱える課題が異なることなど、まさに現場にいなければ知り得ない解像度の高い情報提供がありました。

帯広市 井田さん

積丹町の岩井さんは、㈱積丹スピリット・㈱GB産業化設計の代表取締役として、積丹のボタニカルガーデンから採れた植物を活用したジンの製造販売や積丹町のまちづくりに携わっています。
岩井さんからは、ウニ丼の衝撃的な値段の上昇の原因から、ウニの棲みかである「藻場」の形成に向けた取り組みや、温泉の再生事業、ジンの製造を行う積丹スピリットの事業などについて紹介がありました。

積丹町 岩井さん

羽幌町の立花さんは、日々漁業に携わりながら、北るもい漁業協同組合女性部副部長として漁業の振興にも取り組んでいます。
雪が多く人口減少を身近に感じる環境における日々の暮らしや、気候変動による魚種の変化、水産資源保護への取り組み、本当はおいしいのに安価でしか取引されないオスのニシンなど、地域での暮らし・漁業の現状について詳しくご紹介いただきました。

羽幌町 立花さん

別海町の藤本さんは、渡邊清掃㈱の代表取締役として清掃事業を運営するだけでなく、一次産業系廃棄物を飼料や肥料として活用する事業など複数の事業を営まれています。
別海町はふるさと納税自治体ランキングでも上位に入る地域であり、その財源を生かし、地域に新事業創出に関する施策が数多く展開されていること、また交流人口増加を目的としたプロ野球チーム創設について紹介がありました。野球選手は、地元企業で働きながら選手として活動してもらうということで、こちらも人口増を狙う動きのひとつだそうです。

別海町 藤本さん

西興部村の伊吾田さんは、NPO法人西興部村猟区管理協会の事務局長として、エゾシカの個体数管理やガイドツアー・エコツアー開催、ハンター育成などに携わっています。
伊吾田さんからは、エゾシカの増加による農林業における被害の増加や、エゾシカが都市近郊に出没する「アーバンディア」の現状の紹介や、獲ったエゾシカ肉の活用の現状やエゾシカの肉や革の活用の可能性について紹介がありました。「害獣」ではなく地域の資源であることについて、教えていただきました。

西興部村 伊吾田さん

どの登壇者の方もそれぞれの想いがぎゅっと詰まり、15分のプレゼンがあっという間に感じられました。

【第二部:ミートアップ】
登壇者ごとのグループに分かれ、話してみたい登壇者のグループに参加者が加わる形で40分×2回のディスカッションを行いました。
参加者のみなさんには、セミナーを聞きながら「共創シート」に質問したいことや一緒にできそうなことを書き込んでいただいた上でご参加いただきました。

各グループでは、その地域や登壇者の取り組みを象徴する産品を、登壇者にご用意いただきました。食べたり飲んだり、見たり触れたりしながら、地域の可能性について解像度を高めるとともに、質疑応答などを通じて登壇者のみなさんのさらに熱い想いに触れていただきました。

羽幌町からは、甘えび、ニシンの切り込み、たこわさ。ニシンの切り込みはお酒にもごはんにも合うおいしさ!

各テーブルでは、チャレンジフィールド北海道の上級エリアコーディネーターや産学融合アドバイザーのみなさんにもご協力いただき、ファシリテーターとしていろいろな問いを引き出していただきながら進行されました。

【中締め+記念写真撮影】
ノーステック財団専務理事の福島より、中締めの挨拶をし、登壇者・参加者全員での記念写真撮影を行いました。

【名刺交換】
話し切れなかった方々とも交流いただくための、名刺交換タイムを設け、19時30分にお開きとなりました。

まとめ

15時から19時30分までという4時間30分の長丁場でしたが、本当にあっという間でした。

参加者のみなさんからのアンケート回答を一部ご紹介します。

「北海道で活躍される皆様の背景や現在の取り組みを伺い、東京で働く身として、地方にどれほど支えられているのか、また、私自身の仕事において地方の魅力を活かせていないことを痛感いたしました。今後は、上辺の情報だけでなく地方の背景事情をくみ取りその地域とwin-winとなるような仕事を実現・取り組めたら(よいと思います)。」

「地域の課題と解決のための設計をストックしておいて、共創してくれそうな人が出てきたらそこにアサインする、という考え方(が印象に残った)。人が少ない地方だからこそ、準備しておくことで早く動き出せると知れた。」

「地域を支えるキーパーソンがどのような想いで活動しているのかを間近で知ることができた。行政の仕事はこうした方達との連携なくしては進まないと感じています。」

「あっと言う間に40分が過ぎるのが残念ですが、ミートアップの試みは非常に素晴らしかったです。」

「発表者の皆様のプレゼンが非常に上手で引き込まれたと同時に、ミートアップの時間が充実したと感じました。」

「参加した皆さんの表情が良いです。あと北海道の中でもっともっと連携しなければ、と感じました。」

今回のたった1回のイベントで新しい事業が起こるわけでも地域にどっと人が流入するわけでもありません。ただ首都圏のみなさんに、北海道のワクワクする人を知っていただいたこと、また地域の状況の最前線について知っていただいたこと、こうした知識のストックが、いつか何かのアクションに突然つながっていくのだと思っています。
私たちとしてもぜひ参加者のみなさんに、苫小牧市・帯広市・積丹町・羽幌町・別海町・西興部村に足を運び、解像度をさらに上げていただきたい。登壇者の方に会いに行ってワクワクの濃度をさらに凝縮していただきたいと考えており、第二弾として現地ツアーを企画しています。こちらは本イベント参加者を対象としており、イベント参加者向けのポータルサイトでご案内をしています。

初めての試みではありましたが、登壇者のみなさんからも、参加者のみなさんからも、産学融合アドバイザーや上級エリアコーディネーターからも、充実した感想をお寄せいただきました。ご協力いただいたみなさんに、心より感謝申し上げます。



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