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OpenFOAMを企業で使うことのメリット・デメリット

メリット

OpenFOAMの最大のメリットは、ライセンス費用が無料なことだ。商用のCFDソフトウェアではライセンス費用が非常に高額になるケースが多く、特に大規模なシミュレーションを実行する場合、複数のライセンスが必要となりコスト負担が増大する。例えばANSYSは使用するコア数に応じて「HPC Pack」を購入しなければならず、12/36/128/…とコア数が増えるごとに複数のHPC Packを購入する必要がある。一方、OpenFOAMはオープンソースであり、インストール台数に制限がなく、並列計算用に複数マシンでの展開が可能だ。ライセンス契約に縛られず社内で自由に運用できる点は企業にとって大きな柔軟性を提供する。特に1億メッシュ以上の大規模計算はスパコン利用が前提となるため、フリーであるメリットはさらに大きくなる。ANSYSの場合、同等の計算に1億円以上のコストがかかることもある。

また、OpenFOAMは非常にカスタマイズ性が高い。コードが全て公開されているため、シミュレーション内容や計算モデルを企業のニーズに応じて改造できる。特定の物理現象を再現したい場合や、新たなアルゴリズムを導入する際も、自由にカスタマイズが可能であり、企業の技術的競争力を高める有力なツールとなり得る。

デメリット

一方、OpenFOAMにはいくつかデメリットもある。最大の課題は、サポートや使いやすさの面だ。OpenFOAMはコミュニティによるサポートが基本で、商用ソフトウェアのような公式サポートが存在しない。問題が発生した際は自力で解決する必要があり、そのための技術力がユーザーに求められる。特に、初めてOpenFOAMを導入する企業にとっては、社内に専門知識を持つ人材が不足していると使いこなすのが難しくなる。システムの設定やチューニングにも一定の専門知識が必要で、導入後の教育やスキル習得にはコストがかかることを覚悟する必要がある。

さらに、商用ソフトウェアと比較してユーザーインターフェースが扱いづらいことも注意点だ。OpenFOAMは基本的にコマンドラインで操作するため、GUIに慣れている技術者には使いづらさを感じさせることがある。シミュレーションの設定や結果の可視化には、他のツールやスクリプトを併用する必要があるため、工夫が求められる。ユーザーインターフェースの使いやすさが重視される企業では、導入前に十分な評価が欠かせない。

まとめ

総じて、OpenFOAMはコスト削減や高度なカスタマイズが求められる企業にとって大きなメリットを提供する一方、専門知識や技術的サポートの確保が課題となる。しかし、生成AIの進展により、OpenFOAMの学習コストやサポート不在の問題は今後軽減していく可能性がある。ケースの準備やプリポスト処理も、初心者でも容易に扱えるよう進化しつつあり、特にGitHub Copilotのようなツールがそれをサポートしている。さらに、世界中の研究室や企業で最先端の技術を取り入れたソルバーが利用できる点も、OpenFOAMの大きなメリットといえる。


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