実はセテラは昔からイギリス映画好きです。 『ターナー、光に愛を求めて』 セテラ作品の思い出㉓
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マイク・リーがターナーの映画を撮るらしい、ターナー役はティモシー・スポール、という情報が入り、セテラとしては興味ある題材だと思いました。私は昔からBBCやBFI, つまり“イギリス製”の映画が好きで、BBCやBFIのロゴが出てくると無条件で嬉しくなります。
実はセテラが初めて配給した映画はやはりイギリス映画で、『背徳の仮面』という偽医者のサスペンス映画でした。また、『ピーターズ・フレンズ』『司祭』と、90年代にもイギリス映画を配給していましたし、最近では『パレードへようこそ』などもありました。
イギリス映画の何が好きかというと、シェイクスピア、ブロンテ姉妹や、一番好きなジェーン・オースティンなどの文学のコスチュームものの映画化など昔から好きでした。イギリスの田舎の風景が大好きで、またロンドンの街が出てくる映画は無条件に好きなのです。なので、いつもイギリス映画は気になっています。
また、画家の生涯を描いた作品も興味ありますが、基本的には好きな画家のものでないと、モチベーションが上がりません。ターナーは好きな画家でしたから、マイク・リーという名監督が撮るターナーにはとても期待していました。
2014年のカンヌ映画祭でのコンペティション上映では初上映から各国のプレスが、絶賛のコメントを多数寄せていました。実際に見た映画は、さすがマイク・リーだけあって、普通の伝記映画とは一線を画するもので、強い主張がありました。ティモシー・スポールは壮年から晩年の偏屈で生き方に不器用だった人間ターナーを、圧倒的な存在感で演じて、映画祭中に最優秀男優賞有力候補になっていました。この映画は話題作で、競合しそうだと思っていたところ、アルバトロスが共同買い付け・配給を提案してくださって、有難くご一緒することにしました。
やはり独立系の配給会社として歴史のあるアルバトロスとは、バレエのドキュメンタリー映画『ベジャール、そしてバレエはつづく』や、このターナーの後も『太陽のめざめ』『モン・ロワ 愛を巡るそれぞれの理由』などでも共同配給させていただきました。ほかに弊社で買い付けた作品のDVD発売を多数手がけていただいています。昔から地道にコツコツと良質のエンターテイメントから作家主義の作品まで様々な映画を配給していて着実にコンスタントにビッグヒットを出しておられる業界の老舗です。社員の方もずっと同じ方が続けていて皆さん真面目で映画好きでとても健全な会社だと私が昔から尊敬する配給会社です。この『ターナー、光に愛を求めて』でご一緒できてとても感謝しています。
ターナーがどのようにして、あの数々の名作を生み出したのか、この映画ではターナーが見たであろう風景、ターナーの絵に描かれていた景色や対象がたくさん出てきます。まるでターナーの絵画を見ているようで息をのむ映像美を堪能し、マイク・リー監督が描くことで、ヒューマンドラマとしての奥深さが加わり、見応えのある一級品になりました。
この映画を配給した後に、ロンドンのナショナル・ギャラリーに行きましたが、映画を見た後でまた見るターナーの絵は人間ターナーも思い出されてとても感慨深かったです。
ナショナル・ギャラリーにて《ポリュフェモスを嘲るオデュッセウス》
こういう映画が作られることによって、見る人により興味を持ってターナーの絵画に接してもらえるようになるのだと思うのです。その映画も後世に残る完成度の芸術作品でないといけませんが。本作品はカンヌ映画祭後も数々の受賞でそのクオリティは証明されました。
山中陽子
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追記:偶然にも2020年6月18日よりロンドン・ナショナル・ギャラリー展が始まります!劇中に出てくるターナーのあの名作も展示!美術館の予習として、そして復習にも今作はオススメです!
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