みんなが同じ方向をみるチーム。新規事業に必要なロール
新規事業のリーダーには多くの役割を求められます。顧客課題を発見して、その解決策をつくっていく製品開発(プロダクトマネジメント)。意思決定権をもつマネジメント層に企画を提案し、予算を獲得するための社内交渉。
とくに難しいのは、チームの方向性を揃えること。少人数で取り組んでいる間ですら、方向性のズレに悩まされ、「なにをやりたかったのか」わからなくなり迷走してしまう。「いまなにをすべきなのか」もわからなくなる。。
そんなとき、必要なのはリーダーを支える『ファシリテーター』なんじゃないか。ひまわりが太陽をみるように「いまなにをすべきか」を示してくれるガイドのような存在が必要なのでは?というのが、こちらのnoteの主旨だ。
問題意識① リーダーは異動する
メーカーに転職して6年。自社技術を応用した製品の量産にこぎつけそうなところまできました。事業企画のリーダーを担当していると、その企画の実現のために、事業部へと案件と一緒に異動する、ということがあります。
本人にとっては0→1を経験し、成果を上げることに情熱をもって取り組み続けられるのでプラスな面もありますが、組織にとってはどうでしょうか。新規事業企画部門は、経験者が毎年のように卒業してしまいます。貴重な事業立ち上げの経験値は、報告会で伝聞してはもらうものの、困ったときに話を聞くには気を遣う距離感になってしまう。。
『ファシリテーター』がいたらどうでしょうか。立ち上げのプロセスに関与して、その変遷を目の当たりにするという経験を何件も並行で重ねられ、その案件が事業部へ移管されても、ファシリテーターはその役目をまた別の案件で果たし続けられます。プロセス上の細かな学びを蓄積し、先人からの学びの伝道師として力を発揮し、社内ネットワークのハブにもなります。
ファシリテーターという立ち位置なら、スキルを磨き続けられるのです。
問題意識② 企画の注力ポイントが分散する
新規事業は、顧客課題・市場性・実現可能性・優位性・収益性といった要素をすべて満たしたビジネスの全体像を組み立てていくのが仕事です。そのため、発展途上の企画を周囲に披露すると、とにかく多面的なフィードバックをもらってしまいます。
「こんな課題をお客さんは抱えているのか」
「市場規模は、どのくらいあるのかね」
「他にも代替手段がある。比較は十分できているか」
「うちの会社でこのようなことが本当にできるのか」
「マネタイズの仕方をよく考えた方がいい」
毎回網羅的なコメントをもらっていると、企画担当者は混乱します。「いまやるべきことは何なのか」がわからなくなり「今回もらったコメントについて今週来週検討をすすめて、次回の報告会までに案を考えよう」という方針を立ててしまいます。企画を効率的に仕上げているようで、数ヶ月たってみると「結局、どの要素も生煮えじゃないか。。。」と呆然としてしまう。。
『ファシリテーター』がいるとどうでしょう。数カ月間のプロセス全体を設計してくれ、ステップ・バイ・ステップで「いまなにをするべきなのか」をガイドしてくれる。関係者を集めてアイデアを集めるときも「今日どんなことを考えるのか」を決めてくれ、わかりやすく考え方も伝えてくれるため、安心してその日のアウトプットに集中できる。
アウトプットにメンバーは集中できる環境を、ファシリテーターはつくる。リーダーはアウトプット。プロセスに責任をもつのはファシリテーター、と役割分担することで、WhatとHowを整理できるようになるのです。
問題意識③ 企画中に関係者が入れ替わる
何年間もかけて新規事業企画を続けていると、部署異動やメンバー増強でチームの人員構成が変化します。報告先の管理職もかわり、またイチから説明しないといけないことに。。下手するとこれまでやってきたことが人事異動が原因で続けなくなってしまう、、というホラーストーリも。。
新規事業を担当する社員たちは「使命感くらい、個人でみつけろ」と、個人に動機づけを丸投げされがちです。事業部にいたころは部長が方針をたて、課長がそれを課の目標に変えて、個人はその目標達成に必要なアクションをすることに集中できたのに、新規事業部門ではそうはいきません。
「なぜあなたがやるのか」
「なぜうちの会社がやるのか」
「なぜ今なのか」
といろんな切り口で、「この案件に取り組む意義」を問われます。それは担当者の立場からみると「この案件に取り組む意義はないのでは?」というメッセージのように聞こえてしまうものです。。
『イノベーション・アサインメント』という、このプロジェクトの使命を明文化するワークショップを実施すると、そんな不安(と負のメッセージ)は払拭されます。「あなたはなぜ〇〇で新規事業をするのか」「〇〇でだれを120%ハッピーにしたいのか」といった問いを、メンバーがペアになって問いかけ合う対話の時間をもち、ファシリテーターがそこから集まった答えをストーリーにしてまとめていく。こうした時間をもつかことで、その後の数ヶ月間が変わり組織内で新規事業を取り組むための推進力がかわります。
・・・ファシリテーターというロールの大切さ。ほんのりとでも伝えられていたら嬉しいです。とはいえ「ファシリテーターなんてやったことがないし、そのために必要な準備をするのも大変。。」という方も多いハズ。
新規事業のためのファリシテーションの方法論にForthメソッドというものがあります。NTTデータと日産、Swapの協業でも活用されているようです。
2022/7/31にオンラインイベントもあるようなので、よかったら。
うちの会社でもForthを使ったワークショップをやってみました。その後の活用については、また後日。ここまで読んでくださり、ありがとうございました!気になったことや感想など、コメントもらえると嬉しいです。