横浜と東京
去年の秋頃、用事があって横浜で一泊。東京で一泊することになりました。
僕は関東にしっかり降り立つのは、これが初めてだったので、期待や憧れを抱きながら地下鉄の駅から出た瞬間。
目の前をパトカーが3台。
「ウー」言いながら横切っていった。
「こっわい街。」
これが横浜での第一声でした。
とりあえずホテルに荷物を置いて、近くにあったやよい軒で、この世で一番おいしいとされているチキン南蛮定食を食べた。
ホテルまでの帰り道、銭湯を発見。
僕は銭湯が好きなので入って帰ることにした。入り口を開けると、番台が真ん中にあって、風呂はおっきい浴槽がひとつ。壁には富士山。ドリフのコントで出てくるような昔ながらの銭湯でいい雰囲気だった。
番台には60歳くらいのおばちゃんが座っていた。
微動だにしない。
前方直視している。
僕の存在に気付いてないはずはない。
「あっ、えっ、あっ、」ってなってたらおばちゃんの後ろの壁に「大人400円」と書いてあることに気付いた。
そういうことかと思って400円を番台に置いた。
無言でサッと400円を回収した。
「つっめたい街。」
心の中で言うた。
服を脱いで、風呂場に入ると誰もいなかった。
身体を洗おうと思ったらシャンプーもボディーソープも置いていない。
大阪で僕の知っている限りでは、どこの銭湯もシャンプーとボディーソープが置いてある。
「つっめたい街。」
心の中で言うた。
仕方ないので身体はシャワーで流し、湯船であったまることにした。
「熱いっ!」
温度計を見ると50℃くらいある。
「街は冷たいのにお湯は熱いんかい!」
声に出して言うた。
結局熱すぎて浸かれないので滞在時間5分くらいで出た。
身体を拭き、髪を乾かそうと思ってドライヤーの元へ行くと、コンセントが機械につながっていて、「一回300円」と書いてある。
どんだけ高いねん。
「つっめたい街。」
心の中で言うた。
頭ビチョビチョのまま帰ることにした。
タオルで頭を拭きながら番台の前を横切り銭湯から出た。
せめてもの抵抗である。
こんな高いドライヤー誰が使うねん。という。
次の日は東京永田町のホテルに泊まった。
近くになにがあるのかと思いグーグルマップを見ていたら、徒歩10分のところに銭湯を発見した。
行くしかない。
リベンジ銭湯。銭湯リベンジである。
小雨のなか銭湯に向かった。
入り口を開けると、同じく番台が真ん中にあり、造りも似ている。
番台には同じく60歳くらいのおばちゃんが座っていた。
「いらっしゃい。」
微笑んでいる。
「400円ねー。」
400円を渡した。
「はい、これねー。」
チョコの詰め合わせをくれた。
「これなんですか?」
「サービスです。」
「やっさしい街。」
心の中で言うた。
服を脱いで風呂場に入った。
シャンプーもボディーソープも置いてある。
湯船はどうか。
ちょうどいい温度。
「やっさしい街。」
心の中で言うた。
結局30分くらい浸かっていたかもしれない。
常連のおじいさんと喋ったりもした。
しっかりあったまって風呂を出た。
身体を拭き、髪を乾かそうと思ってドライヤーの元へ向かった。
「一回30円」と書いてある。
安い。
しかもコンセントはそのまま繋がっていて、隣に置いてあるちっさい箱にお金を入れるシステム。
使おうと思えばお金を払わず使える。
このお客さんの良心に任せている感じもすごくいい。
ここは僕も男である。
なぜなら僕は男湯に入っているから。
50円。
入れさせてもらいました。
気持ち分とっといてくださいおばちゃん。
もし東京に住むことがあれば、永田町に住もうと思う。
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