インドとかどうでしょう

インドに行くと人生観が変わる。

そんなよく聞くような言葉があるけど、まあ、自分の場合、これまでもあちこち行ってきたし、さすがにもうインドに行ったとて今更何も変わらんだろう。

と、思ってインド行ったら凄かった。

人生観が変わるかどうかはわからんけど、なんかもう全てが濃くて、まとわりつく人の熱のようなものと、香辛料の香りと、独特の空気と、今までとはまったく新しい世界だった。

生物としての人間の部分に、何層か挟まるものがいろいろあって、社会生活する上での人間の部分があると思うのだけど、インドはそれが極端に薄い部分と、分厚すぎて神聖なほどになっている部分の厚みが違いすぎて、それによって体現されている街や生活が濃厚すぎるんだよな。

それに疲れちゃう人は、それだけでもうホテルから出たく無くなってしまうのではないだろうかね。

俺もニューデリーに着いた日は、もう街の全てがうざくて重くて疲れた。

2日目、やっと少し慣れきたけど、お土産屋に監禁されそうになり、逃げ出したらプロレスラーみたいなインド人に殴られそうになった。なんとか逃げて助かったが、またホテルに引きこもりたくなった。

そのお土産屋に騙して連れてこうとしたインド人、ホテルの近くで次の獲物を狙うべくウロウロしてるんだけど、監禁脱出後からは俺も人としてみられるようになったのか、会う度ににこやかに挨拶されるようになった。いや、極端すぎるだろ。どういう神経してんだよ。

ニューデリーから早朝の電車でタージ・マハルに向かうとき、その線路の脇で100人以上が野糞しているのを見た。誰しもがする行為なのに100人がしていると凄いんだよ。貧しい家は家にトイレがないので多分衛生上一番良さそうな(?)線路脇でするのだろう。

その光景が凄すぎて、その後のタージ・マハルが霞んでしまった。どんな遺跡よりも100人野糞の方がインパクトが強い。そして糞自体は誰でもする。みんな凄いものを持っている。自信を持って生きよう。

ここからカレーの話をするのもあれなんだけど、めちゃ並んでいるカレーの屋台があって、まあ、インドの屋台で飯とか食うとかなりの確率で腹壊しそうなんだが、そこはまあ今まで数々衛生上やばそうな屋台を経験してきた自信というか、無謀さでチャレンジしみた。地元民が並んでいる屋台は確実に旨いので。

料金表なんてないので、多分ぼったくってくると思って、周りの人の払っている料金みて、俺も黙ってそれを出して買おうと思い実行した。
無事に買えて、列から離れて歩いてたら屋台のおじさんが走ってきて「お、金が足りないとかぼったくってくるのか?」と思ったら「払い過ぎだわ」とお釣りわざわざ届けてくれた。
いいやつばかりじゃないけど、悪いやつばかりでもないってのは当たり前ではあるんだが、振れ幅が広すぎるんだよ。人間性が濃すぎるよ。

さっきの野糞のニューデリー駅、身体の不自由な人が駅でも物乞いとかしてるのだけど、それを鉄道警察なのか普通の警察なのかが、警棒フルスイングで殴って追っ払う。どうやったらあんなフルスイングで人殴ろうとできるんだろう。

殴られそうな方も下半身が不自由そうなのに、上半身だけで見たことないくらいの速さで逃げてて、もう、なんか、凄かった。総合格闘技であの速さでタックルこられたら、誰も切れないと思う。

身体が不自由でも生命体として強くなければインドじゃ多分すぐ死ぬんだろうな。道路にも寝ているんだか死んでるんだかわからない人がいっぱい転がっている。多分何人かは死んでて、何人かはこれから死ぬ。

ニューデリーの駅、駅員らしき人に何番ホームに行けばいいか聞くと、これまたお土産屋に連れて行かれて監禁されるから要注意だ!

ニューデリーからアーグラまで行く電車、座席指定で朝飯までついていた。朝飯付きなの知らないで、駅の売店で謎のカレーパンみたいの買って朝から腹一杯になった。
一緒に座ったのが、インドで車の営業やってるおじさんで、インドは外車の関税が100%だから外車乗ってる奴は超金持ちとか、息子がいて家族はこうでとか写真見せてくれたりとか、楽しく終点まで移動できた。

そのおじさん、帰りも同じ電車でしかもすぐ近くの座席。
多分往復で取るとその順番で座席番号が発券されたりするんだろうな。
おじさんも仕事でアーグラまで行くとか行ってたのに、ちゃっかりタージ・マハルも行ってきたみたいで、写真見せてくれた。
インド人もタージ・マハル行くんか。と言ったら、インド人も観光で行くらしい。日本人が清水寺行くようなもん。

そんなわけで帰りに夜のニューデリー駅に着いたわけなのだけど、もうホームで足の踏み場も無いくらいにホームレスらしき人たちが寝ている。

いままでめちゃ親切でやさしかったおじさんが、ここで鬼の形相になり、ホームレスを蹴飛ばしながら「こいつらはちゃんと働かない怠け者だからこうなんだ!良くない!日本人はよく働く!えらい!」みたいなこと言いながら、モーゼのように道をつくりながら進んでいった。そのあとを追う俺。

インドのおじさん、ホームレスには容赦なかったけど、全然知らない俺には親切にしてくれてほんとありがとうございました。

いや、インドのこといろいろ書こうと思ったら、ほとんどニューデリー駅の話になってしまった。なんで駅だけでこんなに濃いんだインド。

そして俺はこの後、インドの北部、旧ラダック王国に行く。
チベット民族の住んでいる所というと中国を想像するけど、インドの北部にも住んでいて、こちらの方が迫害が少なくそのまま文化が残っていたり、のんびりしていて旅行にはいいんです。
中国の方は政府の許可取らないと行けないからね。

まあ、標高が富士山より高いので人によっては高山病になっちゃうんだけど。。。

気が向いたら、ニューデリー駅以外のインドの話かラダックの話でもまた書こうと思います。

そしてまたインドは行ってみたいです。ベナレス方面は行ってないので今度はそっちの方に行ってみたいな。








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