地磁気が逆転する?~地球の内核の動きが与える影響
2日前のニュースですが、
これまで地表より速く回転していた地球の「内核」が一旦止まり、現在は逆回転しながら、さらにその回転速度が地表よりも遅くなっている可能性があるとする論文が23日、英科学誌ネイチャージオサイエンス(Nature Geoscience)に掲載されました。
◆地球の「内核」とは
「内核」とは、地球の核(コア)のうち、中心に近いものを差し、地球の中心部を占め、地下およそ5,100kmから6,400kmに位置し、固体の状態であると考えられています。
「内核」について分かっていることは少なく、解析は、地震や核爆発による地震波が地球の中心を通過する際の小さな差異を測定することで行われます。
また、「内核」は、液体金属層の「外核」に浮かんでいるため独自に回転できますが、「内核」がどのように回転しているのかについては研究者の間で議論されてきました。
ちなみに先ほどの論文筆者である、中国・北京大学(Peking University)の宋暁東(Xiaodong Song)教授らはAFPの取材に対して、「内核は、地表に対してブランコが前後しているような位置関係で回転していると考えられる」と話し、「1回の周期は約70年」だと説明しました。
論文によると、「内核」は1970年代初期に、地球の他の部分に比べて少し速く回転するようになりました。
しかし速度は徐々に鈍化しており、「内核」は現在、地表よりも遅く回転しており、次の変化が訪れるのは2040年代半ばとの見方を示しました。
◆地磁気に影響が?
この「内核」が方向はともかく回転している、ということは地磁気の逆転にも関係する現象です。
地磁気は不安定で揺れ動き、平均で20数万年〜数十万年ごとに地磁気が逆転してきたそうです。地磁気の逆転には液状である「外核」の対流が関係しているのでは、という説もあり、「内核」の回転が「外核」の対流になんらかの形で影響し、その結果として地磁気の逆転が起きる可能性もあるそうです。
◆懐疑的な意見も・・・
しかしながら、他の専門家からは今回の研究結果に懐疑的な意見も出ていて、南カリフォルニア大学(University of Southern California)の地震学者ジョン・ビデール(John Vidale)氏は、「優秀な科学者が数多くのデータを基に非常に慎重に行った研究」と評価した上で、「どの(数学)モデルも、すべてのデータの説明としては不十分」だと述べています。
同氏は昨年、内核の速度変化周期はずっと短く、約6年ごとに起きているとの研究結果を発表しておりました。
さらに、内核は2001~13年に大幅に動き、それ以降は静止しているという説もあります。
◆確実なことはまだわかっていない
先ほどの論文著者の宋氏によれば、「内核」の動きが地上に与える大きな影響は今のところほとんどないとしていますが、「内核」から地表まで、地球のすべての層の間には物理的な相互作用があると考えられるとも述べており、「われわれの研究に触発されて、地球全体を一つのダイナミックなシステムと見なすモデルを構築する研究者が出てくるのを期待している」と語っております。
つまり、地表上にいる我々への影響がどの程度のものかわかるのはまだ先になりそうです。
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