災害時に本当に必要なもの
熊本地震直後、東日本大震災や他の災害を経験した方々がTwitterなどで、「#被災地いらなかった物リスト」というハッシュタグでツイートをされていたのを、皆さんはご存じでしょうか?
◆「被災地いらなかった物リスト」問題
例えば、被災直後などは「とにかく命を繋がないと!!」という状態です。そんな状態の避難所に千羽鶴や寄せ書きなどを送られても、場所だけをとってしまい、本当に必要なものが送られてきた際に邪魔になってしまうことが考えらえます。
足の速い生鮮食品などを送られてもすぐに腐ってしまうため、余計に避難場所の衛生状況を悪化させてしまいます。
衣類については難しいところで、
着替えというのは衛生的にも必要なものではあるのですが・・・
実際は季節感の異なる服だったり、とても着られないようなヨレヨレボロボロ古着を送る方もいるのが現実で、「被災者なんだから贅沢を言わずありがたく着ればいい」という考えの方もいると思いますが、何の非もなく突然被災して、精神的に追い込まれている人からしたら、それは酷な話です。
また、サイズの仕分けにも時間がかかります。
それらのほとんどが大量のごみとなって、その処理に人員を割かなければならなくなります。
ちなみに、阪神・淡路大震災では物資の処分に、
1つの自治体だけで2,300万円かかったそうです。
◆時間の経過とともに必要な物も変化する
また、物資の内容によっては、いらないのではなく、
受け取る準備ができていない場合もあります。
避難の初期の状態では、現場は混乱しており、
例えば、生鮮食品を受け取ってもどうしようもできないこともあります。
災害では「とにかく食べ物と飲み物が必要だ!」と思われがちですが、
極度の緊張と不安で不眠、少しでも普通に眠りたい
気が付けば何日も同じ服装、着替えたい
水がないため、トイレなど様々な不衛生さが気になる
揺れが落ち着いてくると、自宅や周囲の片付け修復をしたい
などのように、
時間の経過とともに必要な物も変化するという事も考えておくべきです。
前述の羽鶴や寄せ書きなども、ある程度時間が経って、
被災地の環境が落ち着いた段階であれば、
ありがたいと感じられる気持ちの余裕も出てくるかもしれません。
◆個人の物資支援はむずかしい
被災地に物資を送りたいのであれば、やはり公的機関などが発信した情報を見て物資を送るのが確実でしょう。
ただそれも届くまでに数日かかるため、その間に被災地で必要なものは変わってしまい、被災地に届く頃には不良在庫になってしまうことも考えられます。
それと送る場合は、同じ箱に衣類や日用品、食料をまとめない方が良いかもしれません。
古着の件もそうですが、開封して仕分けないと配布も出来ないので、その負担を現場の人たちに強いてしまうことになります。
個人で渡す場合は見舞金が役立つかもしれません。
お金というと冷たい印象を受けがちですが、用途を自由に選べるので、その時に必要なものを手に入れることができます。
特に大きな地震の際などは、自宅の破損部分の修理、電化製品や食器、家具などを合わせるとかなりの高額になる場合があります。
皆が自治体から災害義援金を貰えるわけでは無いですし、申請に時間がかかる場合もありますので、そういった支援は非常に助かります。
◆誰もが被災者にも支援者にもなりうる
無意識のうちに、ボランティアだから、善意だから喜ばれるはず、
感謝されるべき、という一方通行な気持ちになっていないか、
改めて思い返す必要があるでしょう。
誰もが被災者になる可能性があると考えて、日頃から「自分ならどうしてしほしいか」というように想像力を働かせてみるのもいいかもしれません。