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来年の春、土星の輪が消えます
先日のYahooニュースで、以下のような記事が出ていました。
果たして本当に土星の環が消えてしまうのでしょうか?
結論から言うと、本当に消えるわけではありません。
但し、2025年春ごろに土星の環は地球からほとんど見えなくなります。
でもご心配なく、環はその後すぐに「再出現」します。
なぜそうなるのか、その原因を紐解いていきます。
◆地球も土星も傾いている
その前にまず説明しておきたいのが、地球は太陽から見ると片側に傾いているという事実です。
赤道は軌道面から約23.5度傾いており、その結果、太陽の周りを移動するときには、片方の半球を下へ傾け、もう一方の半球を上へと傾けている状態です。
自分のいる半球が太陽に向けて傾いていると、昼間が夜よりも長くなるので、春と夏になり、逆に傾いていると、昼間が短くなり、夜が長くなる、これが秋と冬です。
これが地球上に季節が存在する理由です。
一方、地球と同様に土星も季節があります。
ただし、土星の季節の変化は長く、地球の29倍以上もあります。
地球の赤道が23.5度傾いているのに対し、土星の赤道は26.7度傾いており、地球の公転周期が365日に対して土星の公転周期は29.4年です。
そして地球と太陽から見ると土星も顔を上げたり下げたりしているように見えます。
この互いの星の傾きと公転周期の違いが、地球からの土星の見え方に大きく影響してきます。
◆土星の環がなぜ見えなくなるのか?
環が見えなくなる理由はいたってシンプルで、土星の環は非常に薄いため、薄い紙の厚みを真横から見てもほとんど見えなくなるのと同じ理屈で、環が見えなくなる瞬間が訪れます。
土星の季節が進むにつれて環が傾いていき、土星の公転周期(つまり土星の1年)の中で2回、傾きが南と北に最大になる時に、環が地球に対して水平に向く事で、環はほとんど見えなくなります。
これが地球から土星の環が見えなくなる仕組みです。
◆とはいえ、いつかは本当に消える
実はこの現象については昨年秋ごろから話題となっていて、直近で土星の環をはっきり観測できる最後のタイミングという事で、天文学ファンの間でも騒がれていました。
前回同様の現象が起きたのが2009年で、その次が来年2025年の春、という事になります。
じゃあ、一時的に見えなくなるだけで、土星の環が消失する事は無いのか、というと実はそうでもなくて、Yahooの記事にも書いてありましたが、土星の環を構成する粒子は、重力に引き寄せられ、土星の表面に向かって落ちていく「環の雨」という現象を起こしていて、秒あたり最大3トンの氷の微粒子を失っているそうなのです。
ちなみに、環の寿命は約8億年ほど。今はその半分ほどが経過しており、今後3億~4億年後には消える可能性があると予測されています
とはいっても、早くても3億年ですので、僕らが生きている間には消えません。ご安心ください。