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【番外編】GoToキャンペーンについて ~地方移住のコレいい、コレあかん~

ちょっと寄り道します。

【「GoToキャンペーン」って実際どうなのー???】

っということで社会人になりどっぷり漬かってる旅行業界が色々とフューチャーされてるので、少しこれに関して私見を簡単に述べておきます。

ちなみに私は新卒後に大手の旅行代理店に勤め、その後地方の観光協会にもご縁があったりと、いわゆるお客様を連れていく「発地型の観光業」もお客様を迎え入れる「着地型の観光業」も経験しています。

「実際どう思う?」と謎に聞かれることもあるので、下記ご参照くださいませ。

① 旅行業者(代理店、宿泊、旅客運送業、関連業など)の今ってどうなの?

まずはこれについて述べないといけません。何故かこのキャンペーンを揶揄する方でもこの事実関係を知っていないような気がします。まず客観的なデータを知りましょう。

以上は、観光庁から発表されているいわゆる大手旅行代理店の売り上げ速報です。

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はっきり言って壊滅です。ここまでではないですが、宿泊業や旅客運送業、関連業(お土産屋や観光メインの飲食店等)もかなり厳しくなっているということはデータ上でもはっきりとしている。

旅行業界とは裾野のかなり広い産業である。上記の表の通り、大手旅行代理店(J〇BやH〇Sなど)や大手航空キャリア(J〇LやA〇Aなど)がピックアップされることが多いが、地方の宿泊業者や旅客運送業、お土産屋さんやその製造工場、飲食店やそこに納品する食品業者やメーカー、観光戦略を重宝している地方自治体など、連鎖する業態は多岐に渡り、その多くはいわゆる中小零細企業であることが多い

このような裾野の広さを持つ旅行業界の「産業構造」と、現状の売り上げを含む「立ち位置」はまず抑えた上で議論をしてほしいと思います。


② 旅行業界に対する施策(税金を投入する)ってどうなの?

次にこのテーマですが、これは正直判断が極めて難しい。あくまで私は観光業に携わってきた人間であるので、この窮地を救うための施策をしてほしいとの気持ちはあるが、このコロナ禍で苦しんでいる業界は他にもあり、公平性を保ったうえで旅行業界への施策をしないといけないことには同意である。

ちなみにここで「旅行業界なんて平和産業なんだから、疫病や政治不安や不況などで変わるのが当たり前。それ前提で旅行業をしているんだから、税金で救う必要なし」っていう人もいる。

この意見は私個人としては相いれないのだが、意見としては筋が通っており、このような自己責任論はあってもいいと思っている。ちなみに私個人としても旅行業界(正確には代理店)の将来が見いだせなかったことが、代理店を辞めた一つの大きな要因ではある。

しかし、一度でも雇用が守られずに失業者が増えてしまうと、当然そこに悲劇があるのは今までの歴史が物語っている通りである。旅行業界関連の企業もそうだが「人」を守るための助成は一定受け入れられるものだと考えている。

そして、旅行業界といえど(どの業界であっても)大事なのは人材である。今まで旅行業界で育ってきた人材が他業種で流れることで、たとえアフターコロナで旅行業の需要が戻りつつあったとしても、今までの通りの旅行業の形態に戻すのは困難である。会社は融資さえあればすぐに設立できるが、そこに伴う人材はすぐには戻らないことは考えねばならない。

※ちなみに政治家の利権(既得権益がー)を問題視する人も多い。これはこれで勝手に問題視してもらえればいいのだが、あまりに稚拙な議論になるのでここでは述べないので悪しからず。

③ 今「GoToキャンペーン」は必要なの?

結論から言うと間違えなく今必要です。
上記している通り、それぞれ観光業に携わっている事業者の体力はもう既に瀕死の状態と言っても過言ではない。
J〇Bがこの時期にすでに冬季一時金のカットを発表している。旅行業界で圧倒的に体力もあり存在感のある企業でさえ「なんとか存続させる」ことが精いっぱいの状況である。7月・8月という旅行で言えばハイシーズンの時期、この時期に少しでも旅客が周る施策を施さないと、もはや壊滅的被害を受けるのは目に見えている。

「少しコロナが落ち着いてからでいいんでないの?」の意見もある。ただ、それがいつかわからない。9月からは落ち着きますよ、と確定してればそれまで我慢すればいいのだが、その確約も当然ない。むしろ秋に向けてさらに患者が多くなる説すらある中で、「今廃業するか否か」の判断をしないといけない業者が多い現状では、「今決行する」ことについては私は評価したい(というか仕方ない)と考えている。

④ 「GoToキャンペーン」の内容はこれでいいの?

次にスキームについてだが、大きく旅行業界へ助成金を投入する場合2パターンあると考えている。それは(A)直接旅行会社(関連会社)に助成金を投入する場合、(B)旅行者の負担を助成して旅行に実際に行ってもらう場合、の2パターンである。

中には(A)を述べる人もいるが、私は賛成とはいいかねる。まずはこの「GoToキャンペーン」では1兆7千億円との予算が組み込まれているが、この金額では足りなくなる可能性が高いこと、現状では他業種との公平さに欠くこと、救う必要のない業者でさえ救うこととなること、などが考えられるからだ。その中で(B)の旅行者の負担をカバーする施策については妥当だと考えている。

問題は全国的な号令をかけることについてだと考えている。新型コロナの不安が残る中、全国的に画一的な政策をとる国の政策の限界だと感じる。ちなみに今回の発着として東京除外は意外だった。国主体の今までの施策であったらでは一部の地域だけ除外など考えられないからである。

⑤ ではどうすればいいの?

上記でも触れているが、この「GoToキャンペーン」に限らずなのだが、もっと地方に権限と予算を回すべきである。国は当然全体を見ないといけない中で、画一的な施策をとる。しかし、いかに旅行業という一つの産業であろうと、各地方において状況は様々である。

この助成金そのものについては私は反対ではない。しかしやり方については、もっと地方が主体となり、それぞれの旅行業における状況や負担(地域によって旅行業への依存度も異なる)、病院設備や使用状況等を鑑みてするべきだと思う。
都道府県や近隣都市圏と連携し、それぞれの地域性を考慮した上で助成金を活用する仕組みである。今でも各都道府県が主体となり「地域内の旅行に関する助成」をしているところが多いが、これを拡充するものと考えるのがわかりやすいかと思う。

この時期にいわゆる第二波と呼ばれる波が来ており、ここまで感染者が増えてしまったことに関しては、おそらく想定外だったのではないかと思う。もちろん人命は大事なのは異論ないが、この新型コロナウイルスを日常にあることと認識し、徐々に通常の生活(余暇も含めて)へと移行するのも必要だと思っている。
問題はこの「徐々に」ということ。プロ野球やJリーグも無観客から始め徐々に観客動員を増やして実施している。観光業も「徐々に」を意識しながら近場やちょっとした人数でのちょっとした小旅行から地元経済を回し地元の観光業者にもお金を少しずつでも落とし、それが安定してきたら拡充していく。その流れを作るための「GoToキャンペーン」を作ってほしかったのが本意である。

最後に。

相変わらず、マスコミはいい加減にしてほしい。この「GoToキャンペーン」は旅行業界関連の企業は絶対に必要としているのは上記を見ても明らか。もちろん政府の準備不足やこの段階での感染者の拡大もあり二転三転して、現場は混乱してしまっているのは間違えない。しかしいくら混乱してしまっても、必死になりこのキャンペーンをうまく活用し、少しでもこのとんでもない未曽有の苦しい時期を乗り越えられるかには必死であることは明らかである。「政府がつくったキャンペーンで旅行会社は困ってるぞー」ではないのだ。
何でもかんでも政府批判に繋げるのではなく、客観的な報道を望みたい。

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