ミニ小説 オーバーホール
俺は仕事用のトラックを運転しながら、夜の高速道路を雨が降る中1人走っていた。今夜の現場はとある遊園地で今俺はそこへと向かっている。なぜかというと、その遊園地にあるマスコットキャラクターのロボットの分解掃除を任されたからだ。
そうこうしている間に現場に着いた。冷たい風が吹く中少し錆びれた遊園地のゲートをくぐり、事前に預かっていた鍵でロックを解錠し分厚い鉄の扉を押して奥にある機械室の中へと入った。
機械室には5体のマスコットのロボット人形が並んでいた。鉄の鎖で両腕両足を固定されており、それぞれ1体につき錠前が2つずつ取り付けられていた。
俺はまず、左端に置かれたピンク色のウサギのロボットの分解掃除から始めることにした。別で預かっていた鍵を使って二つの錠前を解錠し、可愛らしい見た目とは裏腹な重さのウサギロボットを専用の台座に仰向けにねかせた。
次にバッグの中から複数の工具を取り出し、ロボット人形の胸のボルトを電動ドライバーで緩め始めた・・・んだが、一瞬後ろから電動ドライバーとは違うモーターが動く音がした。音がした後ろには鎖で固定されたマスコットロボットが4体並んでいる。気にせず作業に戻ろうとしたその時、俺の目の前に仰向けにねているウサギロボットがさっきとは全く違う顔をして笑っていた、鋭く尖った長い牙が生えた口と真っ赤な目をして。
すると今度は俺の顔の真横ににオイル臭い吐息が吹きかけられた。ゆっくりと後ろを向くと、さっきまで鎖で繋がれたいたはずの残りのマスコットのロボット人形達が鎖の外れた状態でウサギロボットと同じような錆びついた恐ろしい顔と目をして立っていた。次の瞬間、仰向けになっていたウサギロボットが起き上がり、錆だらけの太い腕で俺の右腕を掴んできた。それと同時に俺の後ろにいた残りのロボット人形達が牙を剥き出しにして俺に飛びついてきた。
俺が左腕の袖口に隠していた仕事道具を振りかざすまでは。
ロボット人形に取り憑いつていた悪霊達は俺の鎌の刃が当たった瞬間、機械の体から飛び出し、俺のバッグに開いたあの世へ通じるポータルの中へと断末魔の叫び声をあげながら吸い込まれて行った。
バッグのチャックをしめ俺は本来の仕事を終えたわけだが、人間に頼まれた仕事もしなければならなかった。めんどくさいと思いながらも、さっきまでの気味の悪さが嘘のような可愛らしい顔をしたウサギロボットのオーバーホールを俺はオイル臭い機械室の中、ため息をしながら再開したのだった。
ハッピーハロウィン!by ceptor
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