Marvel Champions The Card Gameとは?
1人〜4人まで参加できる協力型カードゲームです。各プレイヤーはマーベルに登場する1人のキャラクターとなり、邪悪な計画を遂行しようとするヴィランを倒すことを目的としてゲームをプレイします。
人気があるゲームなのですか?
ボードゲーム(カードゲームなどもこれに含まれます)愛好者のオンラインフォーラム、Board Game Geek(以下BGG)において、84,000種類を超えるボードゲームの中で、総合TOP50以内に入っているゲームです。つまり、ボードゲームのジャンルにおいては、非常に高い人気を誇るゲームです。
面白いゲームなのでしょうか?
前述のBGGに置いて10点満点評価で、24,000票数で平均8.1点を記録し、14,000人以上が8点以上の評価を付けています。平均点なので分かりずらいかもしれませんが、得票数が多くある中で8点を超えると名作といわれています(得票数は最も多い一部のゲームで100,000票前後となっています)。8点というのは「とてもよいゲームで、このゲームで遊ぶのが好きです。私はこれで遊ぶことを提案しますし、誘われたら断ることはほぼありません。」というレベルの評価になります。
ということで、客観的に見ても面白いゲームだと判断されています。
何をするのが目的のゲームですか?
ヴィラン側にはメインスキームと呼ばれる達成目標があり、これを達成させるとプレイヤーは敗北となります。また、ヴィランやミニオンからプレイヤーが攻撃を受けたり、イベントによって傷つくなどして、プレイヤー全員のHPが0になった場合も、プレイヤーの敗北となります。つまり、プレイヤーはプレイキャラクター(ID)の固有能力と与えられた手札で、敵の計画進行を阻止しつつ、ヴィランを殴って懲らしめることが目的のゲームということになります。
プレイヤー側とヴィラン側は交互に目的を遂行します。各プレイヤーのターンが終わったら、プレイヤー側のフェイズは終了し、ヴィランフェイズに移ります。ヴィランフェイズではメインの悪の計画が進行し、ヴィランやミニオンはヒーローに殴りかかります。ヒーローが身を潜めている場合、ヴィランやミニオンは悪の計画を加速します。
これだけならば、状況的にはまだマシ(あるいはストーリー的には盛り上がりに欠ける)ですが、ヴィランが暴れ終わった後には、各プレイヤーごとにイベントが発生します。これは例えばヴィランが追加で殴り掛かって来たり、追加の陽動作戦を発動したり、強力な武器を調達したりといった、ろくでもないことばかりで、プレイヤーを悩ませることになります。
このゲームのどこが面白いのですか?
カードゲームというのは、大きく捉えればアドリブの必要なパズルです。マーベルチャンピオンズカードゲームの場合は、(あらかじめ用意する)デッキからドローした手札の内容と状況(阻止すべき悪の計画、登場しているキャラクターのHPや装備、展開されたフィールド上の条件など)を考慮し、更にのちの展開を予想しながら、その場の最適解を見つけ出し続けるパズルということになります。
このパズルの仕組み的によく出来たゲームになっているのは勿論なのですが、更にマーベルファンにより突き刺さる内容になっているところが、このゲームの評価が高い理由になります。
なぜマーベルのファンに突き刺さるかというと、ゲームに登場する(プレイアブルも含めた)キャラクター(ヒーロー/アライ/ヴィラン/ミニオン)が映画やコミックに登場した時と同様に、そのキャラクターの業や宿命、煩悩、エゴ、能力(特性)といったものに縛られていることが感じられる作りになっているからです。
また、その世界観の構築を補助する一助となっているのが、カードに使用されている美麗なアメコミイラストの数々です。タイトルの元になるような象徴的なシーンが数多く採用されているため、ロールプレイの没入感を非常に高めてくれます。
何度も遊ぶことができますか?
ゲーム本体に5ヒーロー、3ヴィランが含まれていて、この組み合わせだけでも複数回の違ったシュチュエーションでのプレイが可能です。高難度な状況を作り出すカードを追加することでゲームクリアの難易度を調整することも可能になっています。
ただ、このゲームのリプレイバリューを支えているのは、ストーリー性を意識したコーディネイトの部分になります。このゲームを準備することになるゲームマスター(多くの場合は所有者でしょう)は、アニメやシネマを楽しみに待つ視聴者に対する脚本家の如く、シナリオを準備することになります。
マーベルチャンピオンズカードゲームでは、メインシナリオ(=メインスキーム)はヴィランに付随するものになりますが、サブシナリオとして組み合わせることができる課題がモジュラーとして複数用意されています。このモジュラーは基本的にどのシナリオに組み合わせることもできるので、シナリオ全体としての変化をつけることが出来るようになります。モジュラーには強力なミニオンが含まれている場合もあり、カードドローのランダム性が、ミニオンやサイドスキーム(サブ計画)の登場するタイミングを変えてくるために、予期しないタイミングで二正面作戦を強いられたり、味方が各個撃破の危機に瀕したりといった状況が生まれます。
このような多様性を孕んだ展開への対応を、キャラクター特性という縛りの中でパズルとして楽しむことができる人であれば、リプレイバリューは高いといえます。
難しいゲームですか?
まず、読み込む必要のあるカードゲームというジャンルそのものが人を選ぶジャンルです。引いてきたカードに書かれた文字を読んで戦略を立てることに面喰らわないというだけでも、通常は熟練が必要になるものです。このゲームを予習なしでプレイできる人は相当のゲーマーです。
ゲーマーとしての壁を突破した人に対するゲーム難度としては、ネイティブ状態では中くらいだと思います。プレイ人数が少ないほどシビアでミスの許されないゲームになり、プレイ人数が多いほど助け合える機会が増えるため余裕があります。
ゲームシステムとしては、それこそマルチバース状態で、どのような難易度にもシナリオを作り上げることができます。無理ゲーにすることもできればヌルゲーにすることも可能ですので、ゲームマスターとして、よりエキサイティングなバランスに調整することの方がよほど難しいと思います。
準備は大変ですか?
初めてボックスから出した状態(ネイティブ状態)では、コンポーネントの量もそこそこで、一度に使うカードの量もそこまで多くはありません。1度プレイに慣れてしまえば、1人で1シナリオ(ヴィラン)を倒すだけなら、毎晩寝る前に1戦するくらいは、大したストレスなしにプレイ出来ると思います。
別な側面から準備について考えると、大変な労力を必要とするゲームです。まず、言語依存が非常に高く、用語集も付属するゲームになっています。そもそも日本語版が存在しないため、プレイする前に翻訳シールを貼り、処理を解決するために用語集をある程度読み込んで理解しておく必要があります。
戦略性はありますか?
前述のランダム性を孕んだ展開の多様さを、ゲームマスターがある程度予想してコントロールしようとする部分がシナリオ(脚本)ということになりますが、一方で舞台でプレイする演者としてのプレイヤーにも、相手ヴィランの特性から推測した作戦を立てることが可能です。この作戦部分が、様々なカードゲームでお馴染みの「デッキ構築」ということになります。
マーベルチャンピオンズカードゲームの醍醐味が、このデッキ構築にいくつかの特徴的な縛りが効いている点になります。
各プレイアブルキャラクター(ID)には固有のカードがあり、これは必ずデッキに含めなければならない。
プレイヤーはID固有カード、アスペクトカード、ベーシックカードの最大3種類のカードでデッキを構築する。
デッキを構築するカードの総枚数は、40〜50枚の間に収まるようにしなければならない。
同じタイトルのカードはデッキに3枚まで。ユニークカードは1枚まで。
アスペクトカードとは
上記で2番に出てくるアスペクトカードがキャラクターが今回の作戦で担うポジション・役割といったものを決定する要素になります。アスペクトにはリーダーシップ、ジャスティス、アグレッション、プロテクションという4つの種類があり、協力プレイでプレイ人数を増やす場合、この役割を重複させることはできません。つまり、誰かがリーダシップカードが入ったデッキを組んだら、その他のプレイヤーは残りの3種類ジャスティス、アグレッション、プロテクションの中からいずれか1種類のアスペクトを選んでデッキを組む必要があります。
アスペクトには、それぞれ名前が表すような役割に準ずるカードが含まれています。リーダーシップには、アライ(協力者)を活用したり補助するカードが含まれ、ジャスティスには、敵の計画の進行を阻止するカードが含まれています。アグレッションはわかりやすく攻撃的、プロテクションは反対に防御的に構成されています。各アスペクトには、その役割を象徴するような、例えばアグレンションにはハルクが、プロテクションにはブラック・ウィドウといった、アライが含まれています。
ベーシックカードとは
ベーシックカードはアスペクトカードとは異なり、制限無くどのデッキにも入れることができる種類のカードです。役割を問わず使用できるので汎用性が高いということになります。
ニック・フューリーや強力なリソース、ヘリキャリアなど補助の役割を担うものが多い印象です。
拡張性はありますか?
マーベルのキャラクターが星の数ほどいる上に、最初の基本ボックスの中にキャプテン・アメリカが入っていない時点で当然気づくと思いますが、このゲームには多数の追加拡張(追加キャラクターやシナリオ)があります。しかし、このゲームの拡張はLCGと呼ばれる買い切りのカードゲームになっており、拡張のための追加パックを買えば、そのパックには必ず同じ内容の同じ枚数のカードが入っています。つまり、ランダムにカードが封入されており、欲しいカードが出るまでパックを買い続けるといった、ガチャ要素はないということです。
ただ、この拡張パックの上手いところ(エグいところ)は、追加キャラクター、例えばキャプテン・アメリカを買うと、そのパックを開けてすぐに遊べるようにデッキが構築されて、丸々1デッキ入っているところです。キャプテン・アメリカなら、ID固有カードに加えてリーダシップのアスペクトカードとベーシックカードがデッキとして一緒に入っています。
この際、アスペクトとベーシックには本体とダブるカードもありますが、新しいカードも多く入っています(ここがエグい)。更にリーダーシップ以外のジャスティス、アグレッション、プロテクション、ベーシックのカード各1種各3枚が入っています(ここもエグい)。つまり、新しい拡張パックを買うとキャラクターが増えるだけでなく、各アスペクトに属するカードの種類が増え、より遊びの幅が広がるのです。
一方、シナリオパックを買うとヴィランが増えます。例えばグリーンゴブリンシナリオパックを買うと、スタークインダストリーの支社買収を仕掛けるノーマン・オズボーンと街に変異源をばら撒いて眷属を増やそうとするグリーンゴブリンの2シナリオが入っています。更にゴブリン・ギミックをはじめとした合計4種類の遭遇モジュールが一緒に手に入ります。
まとめ
Marvel Champions The Card Game はマーベルキャラクターになりきって遊ぶことができる非常に面白いゲームです。言語依存性の高いゲームで日本語版が存在しないため、準備に多大な労力を要しますが、その部分をクリアすればゲームはそこまで複雑なものではありません。
基本ボックスに複数のヴィランとヒーローが含まれており、モジュラーを組み合わせることによりゲームの展開や難易度に差をつけることができることから、高いリプレイ性を持つゲームとなっています。
別売りの拡張パックも多数発売されており、それらを購入することで新しいヒーロー、ヴィラン、その他のカードが手に入ることから非常に拡張性が高いゲームとなっています。
Board Game Geek(以下BGG)において、84,000種類を超えるボードゲームの中で、総合TOP50以内に入っているおすすめのゲームです。マーベルファンであればぜひ遊んでみて欲しい、おすすめのゲームです。