見出し画像

正直、資産がいくらあっても油断はできない

宝くじで1億円当たったら人生安泰、と考えている人。会社を2億円で売却できれば悠々自適、と妄想している人。日本では、いくら資産があっても油断することはできない。

会社員+NISAくらいだと、資産5000万くらいが目指せるギリギリであるから、資産5000万でも油断すると陥ってしまう罠について話していこう。

1つ目の罠は、インフレである。100円のジュースが120円に値上がりするのはインフレの兆候であり、僕らは20円分負担が重くなる。20円なら大したことはないかもしれないが、1000万なら200万円分も負担が増えることになる。つまり、今持っている資産5000万をそのまま使おうと思っているなら、実際には6000万必要になる。

これがインフレリスクであり、日本円の価値が下がるという前提においては、インフレに対処しないと、持っている資産(円)は目減りしていく一方である。

インフレ対策として一般的なのが、外国株式への投資である。日本円の価値が下がるということは、相対的に他国(主に米国)の価値が上がっているように見えるわけだから、外国の株式を持つことで、資産価値を上げることができる。ただこれは、インフレリスクを考慮した場合であって、円高が進めば、外国株式の価値は下落傾向に向かうため、両側面から見ておくことが重要だ。

資本主義社会では、富は増大していくものであり、基本的にはインフレに備えるのが良い。しかし、未来はどうなるかわからない。

2つ目の罠は、資産売却時の税金である。1つ目の罠に対応すべく、資産5000万円をインフレ対策資産に替えたあなたは、いよいよその5000万円を使うときが来た。日本では、100円のジュースが120円になっており、5000万円分使うためには6000万円が必要になっているが、資産価値も同様に上がっているため、今は6000万円の資産を保有している。

さて、6000万円を使おうとなったわけだが、現金化するときに、20%の税金がかかることを忘れてはいけない。6000万円分の株式を持っていても、値上がりした1000万円に対して、20%の税金がかかるから、現金としては5800万円しか持っていないことになる。

インフレ対策を考慮しただけでは足りず、税金によってさらに多くの資産が必要になるわけだ。対策の1つとしては、NISAである。1800万円分までなら非課税になるから、資産が1800万円以下の人なら、NISA口座を使ったほうがいい。5000万円持っている場合は、残りの3200万円をどうにかしないといけないわけだが、正直現実的に非課税で乗り切る方法はない。課税されることを考慮して、さらに資産を増やしていかないといけない。

別のところで節税して、実質非課税にするとか、法人で株式を保有しておいて、損金を使う方法もあるが、一般的ではない。

3つ目の罠は、相続税である。資産を使い切れなかったけど、次世代のために残した資産であるから、子どもたちにこの資産を使ってもらおうと考えている。しかし、相続する場合は、相続税がかかり、5000万円全てをキレイに相続できるわけではない。

相続税には控除額があり、配偶者と子ども2人であれば、4,800万円が控除される。したがって、課税されるのは200万円に対してだけであり、税率が10%だから、課税額はたったの20万円である。これだけならさほど問題にならないと考えるかもしれないが、実際には現金以外の資産もたくさん持っているはずだ。

例えば持ち家があれば、適切な価値評価がなされて、資産に組み込まれるし、株式や車、ブランド品なども資産とみなされることがある。また、生命保険金も支払われた後は現金扱いとなるため、意外と多くの資産が残っており、課税されてしまう。

結果、資産が多く残っているならいいことじゃない、と思うかもしれないが、不動産や車は即座に売るわけではない。にもかかわらず、現金で税金をおさめなければいけないのだ。極端な例だが、現金を1円も持っておらず、不動産だけ立派なものを持っていたとしよう、不動産に対して100万円の税金がかかってしまったら、どうにかして100万円を捻出しないといけない。もし払えないなら、不動産を売払い、100万円を支払った後に、他の物件を買ったり、賃貸しなければいけないのだ。

現金や株式なら問題ないが、家や車、貴金属などはすぐに売るとは限らないので、注意が必要である。

資産を相続するなら現金、株式がベスト。現物資産はなるべく持たないというのも対策の1つである。

いいなと思ったら応援しよう!