温泉地ゆうてもねぇ…普通にしてたら客来んのよ♨
一時的かもしれませんが、感染拡大も収まってきて、ようやくマトモに人の移動が出来るようになってきたと見てるところですが、そんなところに嵐が吹き荒れるのがTwitterなんですわ。
何でも温泉むすめが荒れていて、それに対抗するかのように「#温泉むすめありがとう」タグが出来ていた。そのタグ使ってツイートしてる人には観光案内所の人もいて、なかなかに穏やかな光景ではないですね。
私は駅メモプレイヤーですから、コラボでんこ求めて京都へ南紀へと行ったりしてますが、この2年の京都は本当に酷い惨状でありました。
去年の3月、桜も咲いてきてる頃なのに、誰もいない円山公園。
今年の1月、いくら冬の京都が閑散期と言っても誰もいなすぎた産寧坂。
2月になってインスタやってるような若者達と一部の関西圏の人が緊急事態宣言に逆らいながら京都旅行を愉しんで、一時的に宣言解除かと思えばGWにまた宣言再発令だったわけです。
「こんな時に京都行くの?🤢」
「こんな時だから京都行くの!👿」
なんて遣り取りを会社の人と交わしたものですが、ともあれ、ようやく観光業界の人がマトモに仕事出来るようになってきてるわけです。
ところで今年のGW、京都は確かにガラガラ過ぎたのですが、奥多摩や江の島は激混みだったと帰ってから聴かされた時には、耳を疑ったものでした。
ただ、訪日外国人がいない場合、割と「そういうものか」という気がしないでもないです。
町興しの一環である「萌え興し」には「気持ち悪い!」という意見は目にします。まぁその気持ち自体はあっても良いものだし、生理的に無理なものを受け入れられるようになれというのは不可能ですからね。
ただ、温泉むすめが展開されてるところ、全体的に首都圏から離れてます。
ついでに言うと、江の島じゃ萌え興しなんて殆どやってません。なんでって「やる必要が無いから」です。
熱海も温泉むすめが設定されてますが、熱海も温泉むすめは前線に出るような感じは無い気がします。久しく熱海行ってないですが、熱海は温泉むすめ居なくても普通に観光客が集まるんで、江の島同様「やる必要は無い」とは思います。
🚈関東人は基本的に熱海から西は行かない
ところで江の島は萌え興しなんてやってない(私がしらないだけの可能性もある)し、やる必要もないんですけど、それは何故かって言ったら「江の島はパリピがお金を落とすから」です。
江の島の主なお客はパリピやカップルなので、何をわざわざアニメ風キャラに依存する必要があるんだって話なんですよね。熱海は幾分か客層が変わりますけど、熱海もカップル客多いので萌え興しをする必要性があまりないわけです。
ただし、問題は熱海から西です。
熱海から西ですが、そこに至ると関東人、殆ど行かないんですよ。例えば沼津。東京発の東海道本線は一部が沼津まで直通しますが、そもそも藤沢以西はあまり人が乗らない。東海道本線の終点は小田原か熱海になることが多いこともあって、人流は熱海で堰き止められます。関東人にとって日帰り旅行の限界範囲もちょうどこの熱海では無いかと思われますし、1泊して遊ぶちょうど良い範囲ってのもまた、熱海なんですよ。
小田急は昔、特急あさぎり号は沼津まで行ってました。今、御殿場までしか行きません。なんでって、アウトレットにしか用がないからです。沼津なんて誰も行かない。だから御殿場が終点になっちゃった。
京都だって実は関東人は行かないのです。前々から「京都に行くのは修学旅行生と桜&紅葉期のシニアしかいない」なんて言われてました。
なんで、如何に熱海で人の動きが堰き止められてるかって言うのは、西へ行けば行くほどわかってきます。
因みに北限はどこかって言うと、軽井沢になるんじゃないでしょうか。首都圏民は北関をバカにしてますし(現に魅力度ランキングで北関三県は常に最下位争いをしている)、悲しいこと言うと首都圏民の脳内地図に東北地方は殆どありません。地震、津波のイメージが残ってるくらい。たいていは東北をすっ飛ばし、飛行機で北海道に行きます🛬
🌎熱海より西は海外が比較対象になってしまう
実際問題として、地方の温泉街は2019年以前から観光客集めには苦労してたはずです。
例えば関東の人に聞いてみたいですが、南紀白浜には温泉があって、碧くて綺麗な海が広がってると聞いて南紀白浜に行ってみたいと思います?
多分、それだけでは行こうとは思わない。だいたいからして新横浜からでも往復交通費で3万5000円掛かります。南紀白浜空港があると言ってもJALの1日3便しか無いので飛行機代が割と高い。
首都圏人から見た南紀白浜は電車で行くと遠い(片道5時間掛かる)飛行機で行くと高いので関東人は行かないんです。
首都圏人の場合、熱海から西の国内旅行は台北、ソウル、上海と比較され、基本的に海外に客を取られます。
逆に言うと、関西圏の人間にとっても名古屋から東への旅行は海外と比較されてるかもしれません。
日本旅行業協会の提示する海外旅行者数の推移は大いに参考になるところです。
2019年の海外旅行者数は2000万人を超えました。勿論1人の日本人が複数回海外に行ってるケースも考えられますので、実人数は少なく見積もってその4分の1としましょう。これでも横浜と川崎の人口がまるまる海外旅行をしてることとなり、非常に多くの日本人が海外旅行を愉しんでいることがわかります。
🛬ライバルは台北・ソウル・上海になってしまう
拾い画ですけど、特急ひたち号で上野ー仙台に行くお金があったら、上海に行けてしまうのです。一連のパンデミックが終われば再び大航空時代は再会されるでしょう。
先ほど新横浜~南紀白浜で往復3万5000円掛かると言いました。これ、LCCだとどこまで行けると思います?
バンコクへ行けます。
知っての通り日本は今も東京一極集中で、東京23区だけで930万人も人口がいます。首都圏全体では3400万ー3800万で、これが海外から見たTokyoのイメージでしょう。間を取って3600万人が首都圏人としても、6人に1人が貧困な今は旅行出来る人口は3000万人。観光地からすれば、この3000万からなんとか収益を得たい。
でも、飛行機代は海外の方が安いし、何より「国内の温泉と海外どっちに行った方がステータスになるか」って言うと、やっぱ海外なんですわ。
こんな中で、果たして国内の温泉地が「この町は温泉も綺麗な碧い海も美味しい魚介もあるよ!」と、そんな光景のPR載せたとしてですね、皆さん往復10時間、3万5000円かけて行く気になります?
多分ならない。
「もう1万積んでプーケット行けば良くね?」と言われて反論できるかって言うと、結構厳しいです。だいたいそういうPRって実は国を問わず、どこもやってるようなPRなんで、差別化も出来ないし(要は人の記憶に残らない)。そんなわけで首都圏民で熱海以西に行くのは、海外旅行に抵抗がある人、飛行機が嫌いな人、私みたいに鉄道が好きな人間みたいに対象が狭まってるんです。
だからねぇ、実は萌え興しなんて、本当は観光地からしても「やらずに済むならやらないに越したことはなかった」と思うんですね。
ただ、現状維持しても海外に客持ってかれるだけなんで、萌え興し以外だって打てる手はなんだって打とうとしてるわけですよ。
まぁ南紀白浜は比較的萌え興しに頼らずとも上手く行ってる方(あくまで比較的)で、スーパーシティ案件やワーケーションの取り組みなんかもやってるから何とかなってるわけです。
茨城県の大洗町なんかはガールズ&パンツァー、静岡の沼津なんかはラブライブ・サンシャインと絡めたPRをやっていますが、そうしたPRに不快な感情を持つのは別に良いと思うんですよ。
人間、どう頑張っても不快に感じるものは不快に感じるものなんで、不快になるなと言う方が土台無理な話です。
ただねぇ、元の収入が低すぎる場合を除いて、この2年で収入が殆ど落ちなかった(或いはアップした)人って、それだけで強者に位置するんでないかと思うのね。
旅行業界に関しては天王洲アイルで胡坐掻いてたJTBはさておき、地方の観光地なんて碌すっぽ経済支援も貰えず、廃業が相次ぎ、生死に関わるような場面に直面してきたわけですよ。
だから温泉むすめなりなんなり、観光地は大変な思いをしてプロモーションしてるわけで、不快に感じたとしても「ものの伝え方には相手(観光業界)を思いやる言い方をした方が皆が生きやすい社会になるんでないの?」とは思うんですけどね。
ま、私が言うのもなんだけど、みんな怒ってばっかで余裕って言うのが無くなって来た世の中ではあるよね。
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