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チキンライスとスガシカオ

2004年11月17日、浜田雅功と槇原敬之の『チキンライス』が発売された。

この曲とスガシカオの関係について。





初登場  スガシカオ

『HEY!HEY!HEY!』(2003.12.15)
ゲスト:スガシカオ

松本:さっきもね、前室でね、もう浜田が(スガに)言うわけですよ、「曲を書いてくれ」みたいな事を。ねえ?
浜田:いやいや、「SMAPばっかりに提供せんと、俺にも書いてくれよ、スガ」言うて。
松本:って、言うてる目はマジなのよ
浜田:はははは(笑)
スガ:あれ、あれはマジ?
松本:あれはマジなんですマジなんですよ

『HEY!HEY!HEY!』に来たミュージシャンに浜田が「曲を書いてくれ」というのは過去に何度かあった。
小室哲哉に依頼して実現したのが H Jungle with t 。

浜田:(冗談だとわかって)笑ってたやん。もしかしたら、スガがある時「あ、そういうたら(浜田が)言うてたな?」って、もし思い出してくれれば、ほら。
スガ:でも、「バラード希望」って言ってましたよね?
浜田:そう。はははははは(笑)
松本:そうそうそう。どんな感じの曲が希望なのよ?
浜田:あの『夜空ノムコウ』的なもの。はははは(笑)

SMAP初のミリオンセラーとなった『夜空ノムコウ』の作詞をしたのがスガシカオ。そのようなバラードを書いてほしい浜田。

松本:まあ書いてもらったら、そら浜田としては言う事ないでしょうけど。
浜田:そらそうですよ。うん。まあ、書くでしょ、たぶん
スガ:じゃあ、4~5年待っていただければ
浜田:4~5年(笑)
スガ:たぶん曲ぐらいは出来ると思うんで。

多忙なスガシカオは、浜田に曲を書く時間はない。



作詞・松本人志

『HEY!HEY!HEY!』(2004.5.17)
ゲスト:スガシカオ

松本:なんか前に、前回ですか?出てもらった時に、「浜田が曲を作ってくれ」っていう話あったじゃないですか
浜田:ああ、なんかそんなん言いましたか。
松本:あの後こう、進展とかはないんですか?
浜田:いや、キミ曲書いてくれんねやったら、松本に詞書かしてね
スガ:ちょっと待って!あの時、「バラード」って言ってませんでしたか?
浜田:バラードバラード。
松本:そら「やれ」って言われれば、やれんことはない。

作詞・松本人志 作曲・スガシカオという浜田の構想。

浜田:だからその、おもしろい歌詞にせんといて。みんなが共感できる感じのなんか

松本の書いた”おもしろい詞”には「エキセントリック少年ボーイのテーマ」「日影の忍者勝彦」などがある。

松本:マジですか?でも、どうしても僕はちょっと下(シモ)の方にいってしまいます。
浜田:いや、シモ…
松本:今パッと、本当今正直パッと浮かんだのは「恥骨」っていう言葉なんですけど。
スガ:絶対ダメだと思うんですけど!

浜田:え、歌ってて「恥骨」が出てくんの?
松本:まあ、『恥骨ノムコウ』というかね。
浜田:どう?今の『恥骨ノムコウ』?
スガ:バラードで、すごい「恥骨」はマズいと思うんですけど
松本:でも恥骨ってかわいそうでしょ。なんにも”恥ずかしい骨”じゃないのに、あんなとこにあるいうことで「恥ずかしい骨」にされてるんですよ!なんにも恥ずかしない恥骨!ガンバレ恥骨!!っていうことをね、僕はもっと歌っていっていいと思うんですよね。
浜田:でもそれは、スガくんとの意見もあるやろ(笑)


スガシカオ × ダウンタウン

松本:で、お前が歌うの?
浜田:いや、もうここ(『HEY!HEY!HEY!』)のエンディングテーマぐらいにしとこうや
松本:ああ、そうですか。
スガ:じゃあ、2人(浜田・松本)で歌えばいいのに
浜田:あ、それでもええよでも一応、(松本に)詞も担当させた方がええやん
スガ:そうですか。わかりました。
松本:詞…まあそうですね。

どうしても松本に詞を書かせたい浜田。

浜田:今からじゃあ、まあとりあえずこれ終わったら、もう一回真剣に…
スガ:ちょっと待って!今まだ自分の作ってるんで、締め切りすごいあるんですよ
浜田:ああ、なるほどなるほど。
スガ:なんで、それちょっと一段落してからでいいですか
浜田:オッケー。じゃあまた連絡してくれたらね。

4~5年先ではなく、話は現実的になってきた。

松本:すごいなあ結局やってくれんねや
浜田:じゃあ一応、今のうちから(松本は詞を書いて)
松本:ああ、俺もちょっと今一段落してからね。
浜田:え?
松本:まあアルバムのあれとかあるから。
スガ:ちょっと待って!ちょっと待って、詞が先なの!?
松本:どういうこと?どういうこと?どういうこと?どういうこと?
浜田:アカンの!?
スガ:絶対ダメだよ、そんな事!!
松本:あ、そっち(スガの曲)が先で。
スガ:先にお願いします。すいません。
松本:ええ!マジで!?
浜田:あ、そうなんや。スガくんの場合は曲があっての。
スガ:結構、「曲先」なんで

松本の詞に曲を合わせる「詞先」ではなく、スガの曲に詞を合わせる「曲先」を希望。

浜田:なるほどなるほどなるほど。じゃあじゃあじゃあ、待ちましょう
松本:待ちますよ
スガ:ちょっと時間ください
浜田:ああ、全然待ちますよ。
スガ:のんびり作ってみますんで
浜田:ははは(笑)。のんびりね。わかりました。
スガ:エライことになっちゃったな、もう……

曲をスガシカオが書くことが決定!



久々に槇原敬之登場

『HEY!HEY!HEY!』(2004.7.26)
ゲスト:槇原敬之

前回出演した『HEY!HEY!HEY!』放送翌日に逮捕された槇原敬之。
5年ぶりに登場。

浜田:でもアナタあれですね、SMAPのあの曲がエラい売れて
槇原:おかげさまで、ありがとうございます、本当に。
浜田:ええ、あれはもう。
槇原:ねえ。
松本:だからねえ、やっぱ俺ねえ、ミュージシャンってねえ、ええなと思った。自分が動かんでも、人に提供したりとかすることで
浜田:それがどんどんどんどん、いくんやもん。
松本:そうそう。

2003年、SMAPに楽曲提供した『世界に一つだけの花』が240万枚の大ヒット。

浜田:マッキー、俺に作ってくれへんか?

松本:またかよ、お前!誰が来ても言うてるがな!言えへんかったん、スネオヘアーぐらいや
浜田:(笑)
松本:ほとんど言うてるがな。

SMAP初のミリオンヒットを作ったスガシカオと、SMAP最大のヒット曲を作った槇原敬之に楽曲制作のオファーをする浜田。

浜田:いや、今マッキー作ったら売れると思うでぇ!
槇原:いや、そう思うでしょ?そうでもないんですよ
松本:はははは(笑)
浜田:なんでやねん(笑)
松本:こればっかりは。
槇原:やっぱねえ、”歌う人ありき”なんですよ
浜田:それどういう意味やねん!
槇原:ウソ、ウソ。いや、変な意味じゃなくて。だからその…なんて言うのかなあ、お客さんの耳もスゴく肥えてきてるんですよ。

槇原が作っても、売れるとは限らないという。

浜田:違うねん。考えてんのは、コレ(松本)に歌詞書かせるから
槇原:あっ!
松本:いやいや、ちょっと待って。
浜田:ほんでアナタ(マッキー)曲作ってよ

詞は松本に書かせたい。

松本:なんでやねんな。それやったらちょっと、むしろ逆にした方がええと思うよ
浜田:どういうこと?
松本:マッキーが詞書いて、俺が曲作る
浜田:アカン!アカン!アカン!アカン!アカン!
松本:なんで?
浜田:それはアカン!アカン!アカン!
松本:めちゃめちゃアリやろ!
浜田:アーカン!アカン!アカン!アカン!

作詞・槇原敬之 作曲・松本人志  案は即却下。

槇原:(松本が)詞書きましょうよ!
浜田:詞や!な?
松本:詞なんて書かれへんよ、もう
浜田:大丈夫やって!真面目な詞書いてーや
松本:ええ!?
浜田:ちゃんと。「ごっつこれ売るぞ!」みたいな。
槇原:売れるって。
浜田:売れる曲(マッキーに)書かせるから!
松本:はははは(笑)。マジで?それで俺は何になんの?
浜田:なにがいな?
松本:俺は出ずに?
浜田:いやいやいや、そんなん一緒にやったらええやんか一緒に歌ったらええやんか
槇原:あ、良い!良い!
浜田:そうそうそうそう!一緒に歌ったらええやんか

ダウンタウンとして曲を出す方向に。

松本:え、マッキーは出えへんの?
槇原:いや、僕は別に。
浜田:マッキーは後ろで、なんかこんなん(ピアノ)やっといたらええやんか
槇原:こんなん(ピアノ)ね。
浜田:マッキーこんなん(ピアノ)やっといたらええやんか。
松本:ああ、そう。スゴいなあ。

松本・浜田が歌うことになれば、GEISHA GIRLS 以来9年ぶり。

浜田:ちょっとおもしろそうやろ?
槇原:うん
浜田:これイケるって。
槇原:詞書きましょうよ
松本:詞…これ『世界に一つだけ(の花)』の詞とかあんなん、あんなんよう書かんで、俺
浜田:大丈夫やって!
松本:ふふふ。ああ、そう。
浜田:アンタやったら書ける!やったら出来る子やんか!
槇原:オカンや(笑)
浜田:はははは(笑)

ノリノリの浜田・槇原。

松本:へえ、スゴいなあ。曲はでも出来るんや?すぐ。
槇原:僕はだって、曲作るとき詞から書くんで
浜田:へえ。
槇原:だから詞があれば、もう曲は
浜田:マジで。
槇原:そのね、言葉がそのメロディーを引っ張ってくれるんで。あ、ちょっとアーティストっぽく。初めてかも、この番組で。
浜田:あははは(笑)

スガシカオとは真逆で詞先の槇原。

松本:そうか、でも…
槇原:書きましょうよ!マジでねえ。
浜田:なあ?アンタ待ちや、アンタ待ちやでぇ!
松本:はははは(笑)
槇原:オカンや。
浜田:人志!アンタ待ちやでぇ!
槇原:オカンや。オカンも言うてる。
浜田:あははは(笑)

話はスムーズに進んでいく。


『HEY!HEY!HEY!』(2004.10.18)

番組収録から数日後、浜田・松本・槇原がフジテレビへ集合。
曲作りが本当に実現するのか、3人の意思確認がなされた。

スタッフ:槇原さんはもう…
浜田:マッキーはオッケーやろ?
槇原:もう全然もう
浜田:ほら。

浜田と槇原は盛り上がるも、本気になれない松本。

松本:いや、だから俺がちょっと引っかかってんのは、マッキーが作詞作曲して浜田が歌うことで成立しててね
浜田:してへんやん!
槇原:松本さんが書いた方がいいって!絶対に。ていうか、僕はもう松本さんの詞に曲を書きたいね
松本:だってホンマにわからへんもん。全く今、頭の中に何にも浮かんでないよ
浜田:マジメに書いて。
松本:う~ん……どうなんやろう…

悩む松本に見かねて、槇原から提案が。

槇原:僕ちょっとあるんですけど、いいですかね?
浜田:うん。
槇原:クリスマスソングどうですかね?
浜田:ああ、なるほど。

お題は「クリスマスソング」。

槇原:別に、どんなクリスマスもあるわけじゃないですか。いろんなクリスマスがあるじゃないですか
浜田:まあ、せやな。
槇原:でも今は、一過性のクリスマスしか歌われてないじゃないですか、「キャンドルがどうのこうの」とかさ。
浜田:うんうんうん。なるほど。
槇原:もっと違うクリスマスソング聴きたいやん!っていうとこがあるんですよ、僕の中で。
浜田:はははは(笑)
松本:う~わ!難しいなあ!!
浜田:いろんなクリスマスあるもんね
槇原:そう。いろんなクリスマスがある
浜田:人によってもね。
槇原:人によって。
浜田:ああ、そらそうや。

槇原:松本さんのクリスマス「松本さんなりの」っていうんですかね
浜田:ああ、なるほど。
松本:まあね。
槇原:それを歌って、僕らも歌おうかな、みたいな
浜田:なるほど。
槇原:これめっちゃ楽しみですよね。
浜田:これは楽しみ。

1時間半にも及ぶ打ち合わせが終了。

松本:まあまあ、やるだけやって。
槇原:うんうん。

このような経緯があって、松本人志なりのクリスマスソング『チキンライス』が誕生した。


だが、”あの話”の行方は?


怒りのスガシカオ

『HEY!HEY!HEY!』(2006.4.17)
ゲスト:スガシカオ

松本:なんか怒ってらっしゃるみたいですね?
スガ:さっそく噛みついて申し訳ない。
浜田:はははは(笑)
松本:怒りましょう。怒りましょう。
浜田:どういうこと?どういうこと?
スガ:あのね、一応僕、スタッフの方に言ったんですけど、スタッフの方がVTRに全部それをまとめてくれたということなんで
浜田:ああ、そうなの?
スガ:ちょっとその怒りのVTRを、ちょっと見てください。
松本:これは相当怒ってますよ。
浜田:はははは(笑)

スガシカオへの楽曲提供の話から、槇原敬之へ移っていく一連の流れを観ることに。

浜田:ちょっと申し訳ない。スガくんは僕に依頼された後、本気であの考えてくれてたの?
スガ:僕、あの1週間後か2週間後にですね、曲のデモテープを作って、お送りしてるんですよ
松本:う~わ!
浜田:ちょっと待って。
松本:人の気持ち、人の気持ちというものを考えな。
浜田:うるさい!
松本:今日のテーマはですね「人の気持ち」ですよ。
浜田:はははは(笑)

なんと!
既に曲を作っていたスガシカオ。

浜田:ホンマ?
スガ:僕は、今のやつ(マッキーとのやり取り)を、ちょうどテレビで観てたんですよ。
浜田:なるほど。
スガ:で、浜田さんが歌うたって松本さんが歌詞を書く。あれも僕の提案なんです。覚えてます?
浜田:覚えてますよ。

放送されていたのは、スガシカオが曲を書いた後に松本が詞を書くという提案。

スガ:で、僕てっきり自分の曲だと思ってますよね?「いや~、『チキンライス』かあ」とかつって、「スゴい歌詞にしてくれたなあ」なんて思って。
浜田:はははは(笑)
スガ:「作曲・槇原敬之」(笑)
浜田:はははは(笑)

デモテープを送っていたスガは、てっきり自分の曲に詞を書いて出来たのが『チキンライス』だと思っていた。

松本:それはショックでしょ?
スガ:クリスマスも真っ暗ですよ。
浜田:違う、スガくん。スガくん、ちょっと待ってえや。まさかマッキー乗ってくる思えへんねんもん
スガ:そうかなあ?
浜田:ただスガシカオが、あの1週間後に曲を作ってたという情報は、こっちへ入ってきてなかったんですよ
松本:これはスゴいですね。
スガ:いや、ていうかね、あのテープ返して
浜田:はははは(笑)
松本:ホンマそうですよね!ホンマそうよ。そんなもん(笑)

デモテープの存在を知らされていなかった浜田・松本。

浜田:スガシカオのファンからの批判のFAXが殺到したらしいですよ(笑)
スガ:「批判」っていうかね、「あれ?スガさんじゃなかったんですか?」っていう。
浜田:あのオンエアー観てるからね。
スガ:結構、僕、その後ラジオで結構カマしたんですよ
浜田:……
スガ:オンエアーの後に「俺がイクからよ!」みたいな。
浜田:ははははは(笑)
スガ:「俺なんか浜ちゃんに歌唱指導だよ!」
浜田:ははははは(笑)
スガ:ガンガン言ってて。
松本:「俺にとうとう頼ってきた」と。
浜田:はははは(笑)
スガ:(笑)
松本:それはねえ(笑)

依頼されたから作ったものの、無かったことにされていた。

浜田:いやまあ、俺もまあ”言わされた感”があった、みたいな。
松本:なんでやねん!完全に自発的やないか!
浜田:まあまあまあまあ、いいですよ。真摯に受け止めますよ、それは

スガシカオが作った曲はどうなるのか?

松本:これはもう、もう無い話なんですね?
浜田:これはスガくん的にはもう…
スガ:もういいっす
浜田:ははははは(笑)
松本:そらそうですよね!そらそうですよね!アホかっちゅう話ですよね!こっちはスガシカオじゃい!と。全部カタカナやねんぞ!と。ナメんなというのはね、そらありますわ、そらあ。

スガシカオとの話が順調にいっていたら、『チキンライス』という曲が誕生することはなかったのだ。


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