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ラモス瑠偉が親友に捧げたループシュート
現役プレイヤー
『新春大売出し!さんまのまんま』(1995.1.2)
ラモス瑠偉(ヴェルディ川崎)が子どもを連れて訪問。
息子 ファビアノ 9歳、娘 ファビアナ 6歳。
さんま:ケガ大丈夫?そんな事より。
ラモス:ええ、だいぶ良くなったんです、おかげさまで。
さんま:歳取って無理するからねえ。
ラモス:いや、歳まだ取ってないよ別に。
さんま:取ってるじゃない、もういい加減。
ラモス:全然。もうバッチシ。
さんま:考えたら、元気な36やよね。
ラモス:7です。
さんま:もう7になった!元気な37やよなあ!ねえ。
37歳で現役のサッカープレイヤー。
さんま:あと何年やるの?
ラモス:いや、まだその辺はわかんない。
ファビアノ:17年!
ラモス:17年!?やめとけ!
さんま:あと17年もやるわけ!?
ラモス:パパいじめてどうすんだ。
さんま:53歳のサッカープレーヤー。「(フラフラで)ワテもうあきまへんねや」。
ラモス:ははは(笑)
さんま:もうあと17年ぐらいやってほしいの?パパには。
ファビアノ:うん。
ラモス:いや、この人は、ずっとやってほしいって言う。
さんま:そらそやわねえ。
パパにはずっと現役でいてほしい息子ファビアノ。
ラモス:目の前40ですよね、もう。
さんま:もう40、俺も。俺も今年40やもん。
ラモス:わたし、あと2年だもん。
さんま:とんでもない40が出来上がりました。
明石家さんま 39歳。今年で大台に乗る。
全員ナンバーワン
前年までジャイアンツのバッティングコーチを務めていた中畑清が合流。
中畑:お互い去年はね、日本一で。
ラモス:最高です。
さんま:両方優勝だ、去年は。
中畑:そうですよ。バンザーイ!
ラモス:バンザーイ!
さんま:読売コンビで。
ラモス:(中畑は)野球でナンバーワン!(ラモスは)サッカーでナンバーワン!さんまさんは?
さんま:俺?俺ね、借金ナンバーワン!
ラモス:おお!バンザーイ!
さんま:バンザーイ!言うてる場合か!
Jリーグでチャンピオンシップも勝ったヴェルディ川崎。
日本シリーズを制した読売ジャイアンツ。
離婚して借金を抱えた明石家さんま。
3人のナンバーワン。正月から縁起がいい。
カリオカ
長嶋茂雄がキッカケで野球を始めたという中畑清の話から。
さんま:カリオカは、やっぱジーコがそういうタイプでしょ?
中畑:ペレじゃない?
さんま:あっ、カリオカはガリンシャとかだ。
ラモス:ガリンシャとかペレの時代が。リベリーノとかね。
ラモスはリオデジャネイロ出身の「リオっ子」という意味の「カリオカ」という愛称で呼ばれている。
1994年のJリーグ
さんま:正直な話するとね、野球っちゅうのは、やっぱおもしろくしてくれましたよね。去年、サッカーは怪我人が多くてね。
中畑:あ、それはいたねえ。
さんま:怪我人は多いわ、ラモスが出てない試合がいっぱいあるわ、都並は出てないわ。やっぱ結構おもしろくなかったんですよ、ぶっちゃけた話すると、前半。
ラモス:はいはい。
さんま:ね?これはねえ。
中畑:でも、最後やっぱりヴェルディ優勝した事によってね、ジャイアンツが優勝した、ヴェルディが優勝した。
ラモス:すごいですよね。
ヴェルディの前身が読売クラブ。経営母体はジャイアンツと同じ。
さんま:最後の(チャンピオンシップ)2試合はよかったですよ。
中畑:2試合はね。ボクも真剣に見た。
前期・サントリーシリーズ優勝のサンフレッチェ広島。
後期・ニコスシリーズ優勝のヴェルディ川崎。
この2チームが戦ったのがサントリーチャンピオンシップ。
1994年11月26日。2試合のうち初戦を 1対0 で勝利したヴェルディ。
ラモスのループシュート
さんま:最後の1点、あれええシュートやったしね。
ラモス:いやー、ミスキックです。
さんま:(笑)。また?また?
ラモス:また。
1994年12月2日。2試合目はラモスのループシュートが決まり、合計スコア 2対0 でヴェルディ川崎が優勝した。
しかし、このループシュートは、ある世界的な選手との因縁がついたゴールでもあった。
ミスキック?
『Jリーグスーパープレー大賞Ⅳ』(1995.1.12)
「満身創痍の中、チーム優勝を決めた執念のループシュート。
芸術的なゴールは日本中のJリーグサポーターに熱い感動を与えてくれた」
という理由で、スーパープレー大賞に輝いたラモス瑠偉。
さんま:あのシュートよ!トーンと浮かしたやつ。
ラモス:あれは、ただの「ミスキック」ですよ。
さんま:そんな事言うたらキリないわ。
ラモス:リネカー選手に言われたから、もしかしたら、そうじゃないかと思ったんですよね。
さんま:はははは(笑)。リネカー選手が「あれはミスシュートだ」とね。
中井美穂:「ミスキック」だってねぇ。
元イングランド代表で名古屋グランパス所属のリネカーが、ラモスのゴールを「ミスキック」だと発言。
さんま:「ミスキック」だと言ったのは、カリオカ、腹が立ったでしょ?
ラモス:当たり前やん!
さんま:あれはでもね~、今日見て、あらためてミスキックじゃないとわかりましたよ、カリオカ。
ラモス:そうですか。うれしいねぇ。
年間ベストゴールであり、歴代ループシュートの第1位にも輝いた。
盟友・加藤久
SMAPの木村拓哉・森且行も合流。
木村:去年の試合あったじゃないですか、最後の。
さんま:最後の(サンフレッチェ)広島との。
木村:俺、あん時の1点入った時……これ嘘じゃなくて、俺泣いたわ、テレビで観てて。俺スポーツ観てて泣いたの、あれ初めてだった。
チャンピオンシップでのラモスのループシュートで、初めてスポーツを観て涙を流した木村拓哉。
木村:最後に加藤(久)さんに、あの時の引退試合で、「加藤さんに捧げる」って言って。もうやっぱ、この人はただものじゃないな、”ミスター・ヴェルディ”って感じ。
ラモス:いえいえ。
あの試合は、ラモスの親友・加藤久の引退試合でもあった。
カリオカとキュウさん
加藤久(ひさし)は、その名前から”キュウさん”とも呼ばれている。
さんま:でもいいのよ、ハートがあるのよ。だって、キュウさんをこっち(ヴェルディ)に連れ戻したのカリオカやからね。
ラモス:いや、うちの社長が…
さんま:キュウさんとラモスのドラマは映画にしたいよね。
ラモス:ね。『Jリーグのきんさんとぎんさん』って題どうですか?(笑)
さんま:(笑)。『Jリーグのきんさんとぎんさん』。「2人とも古いの~」いうやつやから(笑)。でも、サッカーに2人とも客が入らない頃から、ずーっとやってんねんから。キュウさんも。
100歳の双子きんさんぎんさん。
38歳で引退した加藤久と37歳で現役のラモスは、サッカー界では年長者。
移籍からの復帰
さんま:キュウさんも最後、読売出てくときにね、「サッカーをやりたいから」っていう一言で。
ラモス:(うなずき)ね。
1993年、読売クラブ一筋だった加藤久が、出場機会を求めて清水エスパルスに移籍した。
さんま:もうね、カリオカは反対してんけども。キュウさんは、それを押し切って行ったけど、また連絡して「最後は読売ヴェルディで試合をやれ」って言って、カリオカが戻したのよ。
ラモス:いやいや、ボクじゃないですよ。いろんな人の力で。
1994年、シーズン途中でヴェルディに復帰。
さんま:いや!俺は今まで黙ってたけど、今日は言わしてもらう。
ラモス:やめなさい。
さんま:いやホンマ、カリオカ、おまえなあ……評判ええよ(笑)
ラモス:(笑)。そのままやないか、別に。
さんま:いやホンマに。あれは良い物語。本当に世間は、ほとんど知らないような事やろうけどね。2人の話は良い話が、いっぱいあるんですよ。
結果、チャンピオンシップで日本一になり、加藤久はラモスと同じチームで現役を終えた。