理想の機材とは
なぜ人は機材を買うのか。
それは頭の中にある理想の状態に近づけるためである。
では、理想の状態が得られれば、機材を買う必要はなくなるのか?
観測した限りでは、そのような状態になっている人はいない。
新製品が発表されれば、盛り上がるだけ盛り上がって、同好の士と語り合ったり、楽器屋さんに試奏しに行ったり、魔が刺して買ってしまうことがあるだろう。
しかし、少し使ってみると、その機材はあなたの思っている想定とは異なる挙動をする。
それは当然のことで、そもそもその機材を設計したのはあなたとは異なる頭脳であり、異なった人生経験のもとに異なる理想を持っており、また、あらゆる外部からのしがらみによって設計者自身にも望まない機能を含んでいたりいなかったりするからである。
論理的に考えれば、理想の機材を手に入れるには、あらゆるしがらみから解放された上で、自身でその機材を設計する以外に道はない。
それは険しい道である。
それは他人にとって価値にある活動ではなく、自身にとって価値のある活動であり、そのような活動で生活するには特殊な才能、あるいは環境が必要になるだろう。
そしてその道の先にようやく理想の機材を得られたとする。
しかし、初めは理想の機材を得られた喜びに浸っていれたとしても、おそらくすぐに不満を感じることになるだろう。
なぜなら、その機材を開発している間にも人生経験は積み上がっていくし、なんならその理想の機材を使っていること自体も経験として積み上がっていく。
理想とは人生経験から発生するものである以上、それは固定されたものではないのである。
つまり、理想の機材とは人が経験を積み重ねていく限り、決して到達できない概念なのである。
まあというようなことは前提として、オープンソースでグルーブボックス作りたいなーと言うようなことをここ4、5年ぐらい考えているんですが、いい加減作り始めないといかんなーと言う気持ちになっています。
ある意味、自分がモジュラーシンセのフォーマットで機材作っているのも、それが完結した楽器ではなく、アップデートされ続ける理想に追従できるフォーマットだからってのもあるかもしれません。
なんで、モジュラーフォーマットでグルボ作ればいいんでは?とは思っているんですが、モジュラーってだけで無駄に閾値が高くなってしまう感じ、なんとかならんもんですかねー。
まあ、がんばります。