ボクの病気日記
〜アブレーション焼却術〜
平成2年4月、ボクは大親友と共に、今の会社に入社した
高校2年のとき、初めて心臓の発作があり、埼玉医大での治療したけど、発作は現れず、不発に終わった
履歴書の備考欄に、WPW症候群 治療中と書いておいたけど、会社はネコの手も借りたいほど忙しく、急遽採用したのだ
ボクの配属先は、モールド工程で、脱型するとクルマのシートが出でくる、まさに夢工場だった
ボクは、キラキラと目を輝かせ、働いた
平成10年3月、ラミネート加工をしている社員さんが、7月に定年退職されると噂を聞いたボクが、まさかの再配属されるとは、思ってもみなかった
ラミネート加工は、クルマのシートに表生地とウレタンを圧着する工程で、完成すると、立派なクルマのシートになるのだ
しかし、検査するときにシワを見逃してしまうとクレームになる、まさに神経を尖らせた工程だった
大親友は、9年間のあいだ、ラミネート加工一筋でいて、まるでベテランのような振る舞いだった
そんなある日、ボクは鉛筆とノートを持ち、メモをとっていた
社員さんが説明することを、このノートを見て、自分の力にしたいからだ
ノートにメモを書いていると、ドン‼︎ と、ボクの心臓に強い衝撃があった
まずい、発作がおきる…
ボクは、ノートと鉛筆を投げ捨てて、瞬時にファイティングポーズをとった
ボクの心臓は、ボク自身で守る… 例えボコボコになっても!
ボクの心の現れだど思う
『ちょっと…待って…ください…』
ボクが、この声を発したとき、発作がはじまった
『おい、どうした? しっかりしろ!』
社員さんの声に、大親友が反応したのだ
大親友は、大声で、
『ラインを止めろ‼︎』
と、叫び、ボクの方へ駆け寄った
他の社員さんは、ビックリして、ラインを止めた
ここから先は
¥ 100
この記事が気に入ったらチップで応援してみませんか?