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アニメオタクのオススメする今期アニメ・21年冬編①『装甲娘戦機』

※この記事は無料で最後まで読めます。

みなさん、アニメ見ていますか?

他人に特に誇れるような趣味もありませんがわたしはアニメが好きで、今期アニメといればそれなりには流行を追っていると思っています。一応今期は今の所本数で言うと30本ってぐらいでしょうか、アニメを見まくっている人からするとそこまででもない気がしますが、見ていない人からするとそれなりに見ている部類なんじゃないかなと思います。今期は普段よりも放送が多くて、だいたいこれでやっと半分、というところですが。

そんなわけでせっかくなので何かしらの凄みを出そうと考えたのですが特に思いつかず、「アニメを全部見ている」などの肩書もありませんが、しかしそれなりにアニメを見ていると思っているわたしが、面白いけれどそこまですごく注目されていなかったり、あるいはされていても面白すぎて声を上げたくなるようなオススメのアニメをここでは紹介していきたいと思います。気がついたら今期ももう半分過ぎていますからね、追いつくなら今のうちがチャンスですよ。

ということでそんな映えあるオススメアニメ第一弾は……『装甲娘戦機』です! いやこのアニメ本当にいいんですよ。

今日から私はスナイパー……!?
日常を奪われ、その肢体に〝LBXユニット〟と呼ばれる
戦術兵器を纏う5人の少女――〝装甲娘〟たち。
選ばれし転移者である少女たちの使命は、多元世界をまたいで蝕み増殖し続ける
金属生命体・ミメシスの掃討と殲滅。
時空を超えて強いられた傭兵暮らし、それは世界の「希望」と「絶望」とを垣間見る
命がけの修学旅行だった!

(公式イントロダクションより)


『ダンボール戦機』をもとにしたパラレル作品

『ダンボール戦機』から発展したメカ少女コンテンツとして、ゲーム『装甲娘 ミゼレムクライシス』などメディアミックス展開をしている装甲娘のプロジェクト。本作は紆余曲折を経て結果的に独立した立ち位置の作品になっているようですね。今までのダンボール戦機や装甲娘のシリーズをあまり存じ上げなかったのですが、そうした経緯に関してはこちらのインタビュー記事が大変参考になりました。

プロデューサー・高篠秀一さん(以下、高篠):
ゲーム『装甲娘』(旧装甲娘)が立ち上がる前後に、メディアミックス企画として展開しようという話が弊社内で持ち上がったのがプロジェクトのきっかけです。本家『ダンボール戦機』がそうであったように、ゲームを中心として横への展開が広がるように、という考えだったと記憶しています。企画当初のメモを読み返してみると、最初は旧装甲娘から派生した、オリジナル要素が強い外伝だったんです。本家の別働隊……いわば、『機動戦士ガンダム』に対しての『第08MS小隊』みたいな感じですね。アニメ版の敵が「ミメシス」、というのは旧装甲娘の敵の名前で、当初の企画の名残です。

(インタビューより抜粋)

わたしもいきなりこの『装甲娘戦機』から見たオタクなのですが、あくまでこれはひとつの独立したオリジナルアニメ、ということで楽しむ上ではアニメ単体でも全く問題ないと思います。
むしろちょっと戸惑うとしたら……このアニメの持つ独特の空気感でしょうか?

メカ娘×異世界×修学旅行?

本作の主人公であるリコは、平和な日本で暮らす平凡な女の子。しかしひょんなことから異なる世界に転移することになってしまいました。なんとそこは謎の機械生命体の巨大怪物「ミメシス」が跋扈し、危機に面しているとんでもない世界! リコは自身を助けてくれた、同じくかつて他の世界から飛ばされてきたという他の装甲娘とともに、傭兵暮らしを強いられてしまいます。

さてこうして設定だけ見てみるとさぞかしシリアスな戦記ものなのではと思ってしまいますが、このアニメの独特の特徴としてとにかく「ゆるい雰囲気」ということがあります。とにかくコミカルなシーンが多いんですよね。食べ物ではしゃいでみたり、温泉ではしゃいでみたり……。過酷な世界観なのでそういう貴重なイベントの嬉しさもひとしおというのは理解できるんですが、とにかくゆるく楽しい雰囲気をかなり強く感じる作品に仕上がっています。

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『装甲娘戦機』4話より

さて、東京からひとまず脱出した一行は、ミメシスとの決戦のために西へ西へと進んでいくのですが……しかしこのアニメですからバトルの連続、という感じではなく、意外なほどにのほほんとしたシーンがたくさんあります。
ロードムービー的な魅力も大きい本作ですが、こんなシリアスな設定の上で「修学旅行」なんてあまりにも平和な要素を感じさせてくるのもすごい。リコはかつて修学旅行に行けなかった経験があるので、こういう同年代の旅行(?)になんだか人一倍ワクワクしたりするんですよね。それに引きずられてか、なんだか一行も観光っぽいことをどんどんやってしまったりするわけなんです。

この主人公のリコがあまりにも平凡なんですよね。こういう主人公ってわりと異世界に行ったらすごい才能に目覚めたりするじゃないですか。でも本当に平凡なリコは本当に戦闘面では最初いいところがないんですよ。スナイパーなんですけど全然命中しないし。
ですが、「まあでも普通の女の子がいきなり銃を持ったってうまくいかないよな」っていう納得感もあります。こういう部分にとてもナチュラル志向の人物造形を感じるんですよね。もちろんリコって普通いないだろうっていうような元気で可愛らしいアニメキャラなんですけど、そういうのが効いて不思議と地に足ついたリアリティを感じると言うか。このあたりの設定はかなり絶妙だなと思います。
そしてここで強調されているのは「兵士」というよりも「女の子」としての姿なんですよね。一見相反する「兵士たちの過酷な生存のストーリー」と「女の子たちの修学旅行ストーリー」が、ここでは奇妙なバランスによって並走しているのです。

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『装甲娘戦機』7話より

つい非バトル方面のことばかり饒舌になってしまいましたが、もちろんメカ少女としてのカッコよさもきっちりある作品です。ヒロイックなメカ少女デザインとは裏腹に、待ち伏せや地形を利用するなど泥臭い戦闘描写を繰り広げるこの作品の魅力です。バトルにおいてもこの作品は"自然派"とでも言うべき堅実な描き方をしています。
日常がメカ・バトル展開の引き立て役でないことと同時に、メカ・バトル展開もまた日常の引き立て役ではありません。一見噛み合わないようなこれら要素が不思議と融合して一つの作品になっていることを感じます。

過酷な世界だからこそ、力強く輝く"日常"

思った以上にゆるふわな雰囲気の本作ですが、一方で相変わらず危機的な世界ということには代わりありません。当たり前のように人が死ぬことだってある世界です。少女たちの明るいゆるふわさは現実逃避ではなく、そんな世界のなかでも目の前の喜びを精一杯味わう、という生への力強さを同時に感じさせます。

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『装甲娘戦機』7話より

脳天気なリコにほだされていくように、どこかドライで、そしてシビアな傭兵集団であったはずのメインメンバーは、次第になんだか同年代の友達の集まりのようになっていきます。そういう”ふやけ方”に、なんだか上手く言えませんが、わたしはじーんと来て感動してしまいます。
厳しい世界だからこそ、そんな「普通の女の子」っぽいことをしているようなシーンの素晴らしさが、一つ一つ普段以上にずっしりと重く感じられるんですよね。だってリコたちって普通の女の子なんですから! いくら世界がハチャメチャになったって、リコたちが普通の女の子っていうのはとにかく揺るぎない事実なんですよ。人間を人間として描く、そういうところを本当に大切にしている作品です。
こうした普通さを強調するという点で、平和な世界から転移してきたという設定が世界観と裏腹に脳天気な人物、というギャップを出すことに関しても上手く機能していますね。

カップ麺ばかりのところでちゃんと料理された食事ができると嬉しい。なかなかお風呂に入れないと体の臭いだって気になって来てしまうからたまにお風呂に入れると本当に嬉しい。過酷な世界だからこそこうした一つ一つの"日常生活"を大切にしていく、そんな作品のスタイルにとても暖かい気持ちになります。

今本編では結構進んで来ているのですが、次第にわたしも戦いのこと以上に「次はどんなところに行くのかな?」ということにワクワクするようになってきています。
このアニメは紆余曲折の末に今年2021年の放送になったようですが、あまり気軽に大人数で旅行なんてできなくって、きっとリコのように修学旅行の思い出が作れないような人もいるかもしれない、そんな現実世界になってしまった2021年です。それでもこんな作品が放送されているということに、なんだか無性に元気や希望をもらえるような気がしています。

ところで、先にリンクしたインタビューでも、同じく元永監督の手がけた『銀河機攻隊 マジェスティックプリンス』の名前が上がっていましたが、ああいう空気感が好きな方には特にオススメできるんじゃないでしょうか。マジェプリもかなりシリアスな設定のロボットアニメなのですが、一方で個性が豊かすぎる登場人物がわいわいにぎやかにやっているのがとても魅力的だったアニメでもありました。わたしもとても気に入っているアニメ作品のひとつです。

そんなわけでみなさんもぜひ、リコたちのバトルあり友情ありの命がけの楽しい修学旅行に、一緒に旅立ってみませんか?

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