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4月生まれの先行者利益

※他人からワンテーマもらって、テーマに合わせた即興エッセイを書いていたときの再掲です。


 生きるのがうまいやつって、たいてい「早め」な気がする。

 4月生まれとか、5月生まれとか。「早め」に生まれたやつのほうが、性格は明るいし、何事もうまくやるやつが多い。やっぱあれだ、ひとつの学年の中で見ると早めに身体が大きくなったり、早めに能力が高くなったりするので、学校内カーストで上位に行きやすくなる。背が高い。足が速い。

 で、上手く行って「できる」という気持ちが上手に醸成される。きちんと承認欲求が満たされている。自分に自信もある。それが小さい頃に身についていると、その後の人生も上手くやるクセがついている。小学校では脚が速いやつがモテるのだ。最初にモテたやつは、そのあとモテるクセもついている。

 だからおうし座は穏やかで周りに安心感を与えるし、ふたご座はフットワークが軽くて自由だ。なんという先行者利益。

 名前だってそうだ。「早め」は注目を集める。クラスで何か発表しなければならないとき。体育で実技をしなければならないとき。行う順番は「出席番号順」だ。最初の方の人は、ちゃんと話を聞いてもらえる。注目して、期待される。

 順番が進むに連れ、周りは飽きる。見てもらえない。聴いてもらえない。出席番号が進むに連れて、残念ながら「遅い」やつはモブキャラになるのだ。そしてモブとしての負けグセがついて、人生は進む。

 伊集院も朝倉も久我も主人公キャラっぽいし、市川や木村は絶対メジャーな部活に入って活躍していると思う。モブじゃない。

 早めに生まれたやつ、早めの出席番号に生まれたやつには、もう勝てないのだ。諦めよう。そして連帯しよう、モブたちよ。

 …とここまで書いといて気づいたんだが。今日のテーマは「先負」である。

 先負は六曜の「午後がいい」。という話だ。つまり「遅め」の方がいいのだ。「早め」が強い話をしてしまった。痛恨のミスである(ついでに言えば今日23日は先勝だ)。

 どうしたものか。すでにモブたちは連帯してしまった。モブの足音が聞こえる。革命の地平は見え始めてしまっている。モブは蜂起し、年度始めを10月にすることや出席番号制度の廃止を求めるだろう。起こせ革命、はみだせラインダンス。国会前はモブが踊り、シュプレヒコールで溢れている。

 モブに光りあれ!これがのちのフラッシュモブである。


 ……終わっていい?

 えー。今日のテーマ、「先負」でした。


 ちなみに、テーマくれる方がいたらまた即興エッセイやります。

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