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24/10/21 26時のニオイがする

午前2時。目を開ける。カッと開ける。くさい。

目が覚めるほどの臭気である。

絶対に絶対に絶対に、何かが燃えているニオイがする。CAUTION!すぎる。

田舎出身の人だけにわかる表現をしますが、田舎では昔、無許可に道路上で草焼いてる人いたでしょう。あのニオイがしました。

寝室を見回す。私はタバコを吸わないしアロマキャンドルも使わない。火元はない。リビングに行く。やっぱりくさい。空気清浄機も真っ赤にうなっている。火災は起こっていない。キッチン、お風呂場、玄関、トイレ。どこもない。コンセント付近もチェックした。何もない。

大通りに近い寝室の窓を開ける。冷たい空気が顔にあたって目が冴えた。湿ったニオイ。隣の家の蔦伸び放題。このニオイじゃない。わからない。

異なる面の窓、こちらにはベランダが付いている。開ける。

ここだ!!!!!

部屋の内側の何倍もわかる。でもベランダに出て周りを見渡すも、午前2時が横たわるのみ。静かだ。ニオイだけがある。

自分の部屋より少し下のあたりのマンションの壁に目をやると、何かの光が反射している。オレンジの色がゆらゆらしていた。

いやこれ火災ですよね。下の階ですよね。

財布とスマホを持って、上着を着て、クロックスを履いて部屋を出る。正確にはクロックスじゃなくて、ダイソーで買った100円ではない裏起毛になった平たいサンダルだけれども。共用部ではニオイはしなかった。

コの字型のマンションを、自分の部屋の反対側まで走って、共用廊下から身を乗り出す。自分の部屋、そして下の部屋が見える。マンションは真っ暗で、自分の部屋だけ明かりがついていて、その下の部屋に炎のようなものが見えた。でも小さい。アロマキャンドルより大きく、焚き火より小さい。フランベくらい。あれ?これは何?火災か???寝室でフランベごっこしてる場合だってあるもんね。いやないだろ。でも間違いなく煙は上がっている。あとくせぇ。絶対にくせぇ。

119か。下の階をピンポンして叩き起こすか。まだ起きている人にLINEで相談したら、即レスだった。「知らない人の家に女ひとりが夜中に行くな」(大意)。それはそう。119することにした。消防車を待っている間にオレンジ色は見えなくなった。部屋は真っ暗なので様子は全くわからない。

消防隊が到着したら全部一気だった。オートロックを解除したら警報が鳴って、部屋が見える共用廊下を案内して、該当の部屋のインターホンで反応がなく、その隣の部屋にも連絡がいき、消火栓にホースがつながれ、人が行き交い、マンションの他の住人も起きてきて、危ないから部屋に入っていろと注意される。しばらく後、玄関で待っていたら消防隊の人が来た。

「火災も火種もありませんでした」

マジかよ。

おそらくタバコのニオイが強かっただけだと言われる。タバコで夜中に目を覚ますまで上の階がくさくなりますかね。あんなにもうもうと煙が上がりますかね。消防隊を案内するとき「たしかにニオイしますね」って言われたのなんだったんですかね。下の階200人くらいで同居しててカートンで一斉にタバコ吸ってるんか???嘘じゃないもん…炎見たもん…。

30分後、LINEで相談した人がタクシーで来てくれたとき、玄関を入って第一声が「あ、くさっ」だった。そうだよね!くさいよね!

くさくてよかった。私だけのニオイじゃなかった。幻覚でも幻臭でもなかったことに、私はただひどく安心したのである。







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